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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
二章「インターフェース」

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二十一話『密集した生物』

 靄の周りには、生物がたくさんいる。

 人間だけじゃなく、蚊、蜂などの虫も。

 サバンナにいるような猛獣がいないのは幸いだ。

 でも、これだけ複雑に生物が存在していると、そう簡単には憑依できない。


 俺の憑依の位置は、俺を中心に同心円状に広がっている。

 憑依する時、俺はこの法則を利用している。


 けれど、今、対象が密集しすぎている。

 これじゃ、うまく憑依の照準を合わせられない。


「分散させるか、それとも靄だけを捕らえるか」


 分散させるといっても、周囲の生物を操っているのは、おそらくあの靄。

 個々の生物の習性を活かすことはできない。


 となると、強制的に後者となってしまう。

 これもかなり難易度が高い。


「……つぐものおかげだ」


 だが、解決策を思いつく。

 靄を攻撃できなければ、不可能な解決策を。


「じゃあ行くぞ、ついてこい!」


 でも、ここじゃいけない。

 ()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()まで行く必要がある。

 だから、俺は教室から飛び出し、その場所に向かう。


「くっ」


 靄を誘き寄せつつ、周囲の生物の攻撃をいなすのは至難の技。

 靄と一定の距離を保ち、生物の攻撃を避け続けなければいけない。


「傷つかせるかあ!」


 けれどこれは俺の体ではない。

 俺が守らないといけない人の体。

 無傷で向かわなければならない。

 

「絶対に、あの場所まで!」


 全身はかけられないけれども、全力で。

 


 ※ ※ ※


 

「やっと………!」


 靄と生物を引き連れてようやく目的地へとたどり着いた。

 ()()()()()()()で、俺は立ち止まる。


 周囲の生物を分散させられないのは、あの靄が生物を操っているから。

 だが、逆にそれが弱点になりうる。


 この場にいる憑依の対象はすべてあの靄が操っているんだ。

 なら、あの靄が反応しきれない攻撃をしたらいい。

 

「――――――――ふぅ」


 息を整える。

 最大威力の攻撃を繰り出す準備をする。


 示杞の体では、力も足りないし、そもそも触れられもしない。

 だけど、この体ならそれができる。


「つぐも、借りるぞ!」


 今までで一番の力を振り絞って。

 ()()()()()()()()勢いをつけて。


「吹きッ飛べッッッッ!!!」


 靄に最大の攻撃をお見舞いする。

 つぐもの体で繰り出される異常な威力の攻撃。

 靄はその場に留まりきれない。

 そして、長廊下を吹っ飛んでいく。


――――あ、あ。来た。


 俺はこの体で力を使い果たすほどの威力の攻撃を放った。

 気が、遠くなる。

 けれど、これで、いい。

 靄が廊下を吹き飛ぶ速度、加速度も…………計算内。

 靄の周囲には肉眼で見える生物は存在しない。


 ()()()()()()()()()()()()()()()


――――あ、とは、アイツを――――…………………………。

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