表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
二章「インターフェース」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/244

十八話『靄との接触』

 能力が解放される要因。

 それは、能力を抑制する力を弱める、もしくは能力を急激に活性化させることだろう。


 俺が示杞の体に憑依していたときもそうだ。


 レム睡眠かノンレム睡眠による違いがあるかはさておき、少なくとも俺が起きている間は、示杞は出てこれなかった。

 それは俺の憑依の能力が示杞を押さえつけてたからだ。

 逆に俺の無意識下では、示杞が出てくる。

 

 これがあの靄にも適用されるならば、あの靄が無意識ような状態、つまりは機能停止状態に陥れれば、示杞を助け出すことができる。

 

 すなわち、殺さず倒せばいいってことだ。


「よし。考えが纏まった」


 最早、目の前の靄の能力は憑依ではなく、生物の操作の如きもの。

 一斉に人間や他の生物が襲ってくる。

 だが、操作が拙い。生物特有の動きがわかっていない。

 だから、何とか避けれる。

 問題は――――


「――――どうやって攻撃するかだ」


 隙をついて靄を殴って見るものの、まるで冷気に当てられたようにひんやりするぐらいで、感触があんまりない。


「くっ」 


 手探りをしているうちにも俺は追い詰められていく。

 そして、後ろへ足を動かしたとき、何かにぶつかった。


「っ、こっちにも敵!?」


 すぐさま振り向いて構える。


「つぐもっ!?」


 だが、目の前にいたのは放心状態のつぐもだった。


「何でここに!? 桃李に保護されたんじゃなかったのか!!?」

「――――、――――? 示、杞くん? どうしてここに?」


 どうやら無意識のうちに、ここに来てしまったらしい。

 これが靄の手引きなのか、それともただの偶然なのか。どちらにせよ、この状況はマズイ。つぐもを守りつつ戦うのはほぼ不可能。

 

「つぐも、とにかく俺の後ろにっ!」

「う、うん」


 そういってつぐもは俺の後ろで俺の服にしがみつく。


「数がッ」


 けれど、さすがに操られている生物の量が多い。

 今にも人海戦術で押しきられてしまいそう。


「っ、つぐも、危ないっ!」


 俺が前方の敵に気を取られているうちに、靄がつぐものほうに近づいていた。


「っ来ないで!」

「!?」


 靄を前にして、つぐもは怯えたように手をパーにして前に出した。

 たったそれだけで自身を守った。


「これは……?」


 確かにつぐもは靄に攻撃されようとしていた。

 だが、つぐもの手は靄に()()()()()()()()()()()()のだ。

 

――――触れられた? どうして? いや――――


「今はとにかく――――つぐもっ!」


 今は考察どころではない。

 一時撤退だ。


 そう思い至り俺はつぐもを抱えて、部屋を抜け出す。


「どけっ!」


 途中にも操られている人がいたけれども、何とか突破できた。

 そして、人気(ひとけ)も肉眼で見えるサイズの生物もいない、ある部屋へとたどり着いた。


 俺の経験上、憑依は微生物とかにはしない。

 ここなら問題ないはずだ。


「っし、示杞くん。もう、大丈夫――――だから」


 つぐもは顔を背けて、声が小さくなりつつも俺に訴える。

 ふと、つぐもを抱えたままだったことに気がつく。


「っ! ごめん、咄嗟で」


 つぐもの反応に俺も恥ずかしくなってつぐもを急いで、でもそっと下ろす。


――――違う違う。今はそういう話をしている場合ではない。


 俺たちが今考えるべきはあの靄の対処法だ。

 気を取り直して、つぐもと靄との接触について話す。


「つぐも!」

「は、はい」


 さっきのことが原因か、何故かつぐもが敬語になっているのはおいておこう。

 とにかくつぐもが靄に触れたことは、靄を打倒することに繋がる。

 だから、俺はつぐもに告げる。


「お願いがあるんだ」


 勝利のための、お願いを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ