十七話『液体の効能』
俺の宣言に、女は薄気味悪い笑みを浮かべる。
彼女が話すのは、示杞が自ら体内に注入した液体の正体。
「あれは能力を解放する薬よ」
「能力を?」
「そう普段は憑依する能力だけれど、それは抑制されている状態にすぎない…………まあ、こんなところね。あとは内緒よ」
「……………………」
「そんな不機嫌そうな顔しても、教えないわよ?」
「……ありがとう。この事態の元凶に言っても仕方ないけどな」
「あら、律儀なこと。じゃあ、私は帰るわね」
「見届けなくて良いのか?」
「まあね。結果は目に見えているもの、私が手を下す必要もないわ」
「…………お前」
「あの子もいるみたいだしね」
「あの子?」
「何でもないわ、気にしないで」
女は色々と話したが、最後の言葉はよくわからない。
でも、どうやら俺を信頼しているのか、もしくはただ客観的な状況判断からなのか。
意外にも彼女は俺が勝つと思っているらしい。
「それより、お前ってのもあれね。今度からpHAntOm――――可愛くないから、Haoって呼んでちょうだい」
「…………気が向いたらな」
「あら、つれないわね」
「敵だしな」
「まあ、そうね――――じゃあ精々頑張りなさい」
女は応援の言葉を口にして部屋を去っていった。
残された俺は早速、靄の対策を考える。
――――『能力の解放』。憑依は能力の本質ではないと言っていたけれど、本来の能力について考えても今はわかりっこない。
重要なのは、あの液体が何なのか。なぜ示杞があのようになったのかだけ。それはもう話を聞いて理解した。
ならば、その対策を実行するだけ。
「行くぞ、示杞! お前を呼び覚ましてやる!!」




