九話『誘われた先にいる者』
――――何が、何が起こっている!?
憑依によって人々が倒れこんでいく。
だけど、俺は何もしていない。
誰かが俺と同じ能力でこの事件を起こしているんだ。
「おい、大丈夫か!」
倒れた人を心配する声が聞こえる。
「う、うう…………」
「…………!」
――――意識は、あるか。
どうやら話に聞いた『天の癇癪』より被害が少ないらしい。なら、まだ救いようがある。
けれど、この異常事態は終わる気配がない。
すぐに原因を止めないと。
――――アイツか。
この異常の原因。
それはアイツに決まっている。
『全部消してやる。お前も。お前の周りの全てッ!』
アイツは俺を憎んでいる。
それが、アイツをここまでさせたのだろう。
俺が止めなければ。どうやってかは知らないが、俺の能力を利用しているアイツを。
そう思って俺は町を再び歩き始める。
アイツがいる場所は知らないが、なぜか足が動く。
本能が俺の体の位置を理解しているのか。
アイツの思惑通りなのか。
どちらにせよ、進む他はない。
足をゆっくり進め、やがて自然と足を止める。
――――ここは。
見覚えはまるでないのに導かれるようにたどり着いた場所。
そこは人気はまったくない廃校だった。
鉄骨が風化し、窓ガラスも割れ、もはや何かに使うことなどできないほど、朽ちていた。
辺りはもう暗く、薄気味が悪い。
「ああ、来たんだね」
廃校のグラウンドに見える影。
「待っていたよ」
俺の体を奪った者にして、この異変の元凶。
「さあ、何から話そうか」
俺が、解決すべき問題が確かにここにある。




