十話『俺に潜む』
薄暗く、人の気配が全くない静かな廃校。
そのグラウンド。
名前も知らない体を扱っている俺と、俺の体を掌握する彼。
「っ」
そして、彼の周囲に転がっている夥しい数の人の体。
彼に気を取られていた俺は遅れてその存在に気づく。
「お前ッ!」
「大丈夫さ、無事じゃなきゃ意味がない」
「こんなことまでして、一体何がしたい!?」
目の前にしてもわからない。
彼が俺の体を奪い、町の人まで巻き込んでここまでする動機が。
「わかるだろう?」
「……………………」
けれど、俺が理解できるはず、そう彼は言った。
彼の言葉に俺は考え込む。
他でもなく俺を狙う理由。
俺の能力、彼の言動を考えるならば、一つ思い浮かぶ。
それは、俺にとって最悪の事実で、できることなら考えたくなかった事実。
でも、それが本当なら――――
「あーあ。君自身に気づいてほしくてせっかく僕の日記を途中で区切ったのになあ」
「!」
――――やっぱり、そうだ。
あの日記は、コイツのもの。
『くらい』、『夜』。日記のその言葉によって、推測が確信へと変わる。
あの日記は、コイツが夜に――――いや夜にしか書けなかったんだ。
「いや」
だって俺が寝ていないから。
「理解できた」
「おっと?」
「お前は――――」
――――お前は、俺が起きている間ずっと――――
「俺の体の中にいたんだろ?」
――――俺の中で眠っていたんだ。




