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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
一章「サーフェイス」

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十一話『辺境の憑依位置』

「名織……どういうことだ? 該当する研究所がないって……!」

「そのまんまの意味だな。どこかで間違っていたか」


 どの研究所も探している研究所の条件に一致しない。

 それが示唆するのは、何かが間違っているという事実。

 考えられるのは――――


「…………」


――――俺が作成した地図。

 憑依の位置のデータは大量にあるけど、範囲が日本全域となるとまだ十分な量ではない。

 データが同心円状に広がっていると突きつめたものの、その法則は近似的なもの。

 誤差が生じている可能性もある。


「まあ、地図を見直すには早いぞ、ゴビ」

「?」


 俺の中に生じた不安。

 それは、名織の言葉によって疑問へと変わる。


「可能性の一つとしてだけど、気になるところがある」

「どこだ?」

「……ここだ」


 名織は俺の地図上のある場所を指さす。


「ここが……?」


 その場所は、俺が最初に選択肢から外し、可能性もないと思われていた場所。

――――町の隅にある、人の出入りが少ない山だった。


「そうだ。さっきも言ったけど可能性としてだけどな!」

「……行ってみる価値はありそうですね」


 綿さんも名織の意見に賛成の様子。


「けど、それは困難」

「…………確かにそうだな」

 

 だけど、そのとき直面する問題。

 町の隅にある山は立ち入り禁止とはなっていないものの、誰も近づかない。

 一度、興味本位でそこに踏み込んだ少年はしばらくして顔が青ざめて帰ってきた。

 その噂が広まってから、誰も近寄らなくなった。

 そこに俺たちが入ろうとすれば、当然怪しまれる。

 そこが目的の研究所であるという確証もなくそれは避けたい。


「そこで、だ。ゴビに頼みがある…………ゴビにしかできないけど、危険も伴うし推奨はしない」


 名織が俺に提案する。

 内容をまだ知らないとしても、つぐもを助ける方法がそれしかないのであればやる他ない。


「いや、俺はやるぞ。何をすればいいんだ?」

「それはだな――――」


 俺がその提案を承諾すると、名織は少し俺に近寄って小声でその内容を話した。



 ※ ※ ※



「――――なるほど。よし、時間を計算しようか」

 

 女性二人は何が起こっているのかわからない顔をしている。

 だけど、俺は目的を果たすために行動し始める。

 全てはつぐもの記憶を取り戻すために――――


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