はじめての、そしていきなりのボス戦②
何考えているんだ?
ここはその脚がどんなすごい性能なのか長々と説明するタイミングだろ?
リインの額を汗が流れた。
無理矢理剣に力を込め、ロザベールを弾き返す。
「中々の力ですわね…でも血塗られし宿命のこの脚には敵わなくてよ!」
再び蹴りが炸裂する。
血塗られてんの…?もっと分かんねえよ…
気になって集中出来ない…
「だからその脚は具体的に何なんだって!」
「教えませんわ」
またも目前に迫る謎の脚をリインが余裕なく受け止める。
視線がどうしても脚に向いてしまう。
その太刀捌きが先程とは明らかに精彩を欠いている事に気付いたロザベールがニヤリと笑った。
「どうしたのタコ?怖気付いたのかしら?」
「違う!全然違う!あと俺はタコじゃなくてリインだ!」
休む間も無く繰り出される蹴り技をリインは防ぐだけで精一杯だった。
剣の呪いの攻撃力が高まるメリットがあるとはいえ、全ての技を防げるという事は本来自分の方が強い事は分かる。分かるのだが…
リインは再びチラッとロザベールの脚を見た。
何故だ。何故脚について教えてくれない。
さっきは何だか「コオオォ」みたいな音が出ていた。
一体どんな装備なんだ。何の必要性があって付けていてどんな特性があるんだ。
秘密にされたらなおさら気になるじゃないか。
リインは忘れようと頭を振る。
その隙を逃さないロザベールの目が光った。
「隙あり!わたくしの必殺技を堪能なさい!」
「しまった!」
リインが間合いを開けようとするもすでに遅く、ロザベールが華麗な超回転を始める。
「un!」
その超回転の最中、鋭く素早い中断の蹴りがストレートに向かってくる。剣で受ける手が痺れるくらいの威力だ。
「deux!」
続いて先程より深く重い回し蹴りが襲う。
くるぞ、この流れは次で1番でかいのがくるぞ!
リインは防御に精神を集中させる。
「trois!」
ビシッと普通の蹴りが入る。
おっ?さっきと同じくらいの攻撃だがどうなっ…
「quatre!!」
「ウグッ!?」
しかし次の瞬間ロザベールの拳が華麗な回転と同じスクリューの様な風の切り方でリズムを崩したリインの腹に深くめり込んだ。
4で最後は卑怯じゃないか?変拍子かよ?
しかも脚じゃなくて拳なのかよ。
「グ、ハ…ッ!」
やっぱ腹に拳を入れられるとこんな声が出てしまうんだな。
とどこか他人事の様に思いながらリインが崩れ落ちる。
「た…頼む…戦いに集中出来ないから教えてくれ…」
「嫌ですわ」
悶えながら尚も食い下がるリインを見下ろすロザベールが真顔で答える。
「もうとどめかしら?つまらない…あなたがここまで退屈なタコだとは思いませんでしたわ」
フン、と鼻で笑うロザベールの謎脚が今度は青白い光を帯び始める。
繋ぎ目から光が活発に動いている様子が分かるが、それが何なのかは全く分からない。
お願いだからもう、これ以上気になる要素を見せないでくれ…!
その脚がリインの顔目掛けて振り上げられると同時にリインは眼を強く瞑った。




