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はじめての、そしていきなりのボス戦①

そこは天井がガラス張りの、それ以外はローマの闘技場のような円形の広いホールになっていた。

中心を囲むように設けられた本来客席である段にはおびただしい量の筋トレ用の設備がびっしりと整っている。


「何の部屋だ……?」


トレーニングマシンに囲まれて見下ろされる、普通はまず体験出来ない不気味な状況にリインはキョロキョロ周りを見ているしかなかった。


「待っておりましたわよ」


どこからか声が聞こえる。ロザベールの声だ。


「ここは私のジム兼プライベートコロシアム。お父様に頼んでその年の税を重くしてもらって、そのお金で作りましたのよ」


「くっ、なんて悪役令嬢なんだ!」


リインが思わず怒りの拳を握る。



「牢獄を破り、さらにあの扉を開けてここまで辿り着いた度胸ある動物はあなたが初めてですわ」


客席に設けられた1番高い場所に位置する台座にロザベールが仁王立ちしている。

多分そうやって立つために作られた台座なのだろう。

天井からの光の差し込み方も完璧で、そこから感じる圧は悪役令嬢というより覇王だ。


「うるせえ。俺は動物じゃねえ」


睨み付けるリインに令嬢が意地悪く目を細める。


「あなたが動物か否かなどに興味はありませんわ。世界には、わたくしかわたくしではない負け犬の2種類しかおりませんもの!」


ロザベールが高笑いをしながら飛び上がった。

そしてその人離れした跳躍力でリインと同じ地面に向かって下降する。

着地と同時に金属が地面の石を切り裂き砕く音がした。

こういう世界の美少女が鳴らす音じゃ無いし着地ポーズじゃない…やはり足に何かを装備している。


そうだ。多分俺はあの金属みたいな脚に蹴られて気を失ったんだ。


リインは生唾を飲んだ。手汗がすごい。

これは、ボス戦か?

はじめてのボス戦に突入してしまうのか?


ロザベールが着地の姿勢からゆっくり立ち上がる。


「この時を待っていましたのよ…わたくしはもっともっと強くならねばなりませんの。だから、貴方に死してわたくしの力の糧になる栄誉を授けますわ」


近未来感のある金属音を立ててロザベールが迫ってくる。


「さあ!舞踏会の始まりよ!!」


間合いに入った瞬間、ロザベールが回転しながら鋭く上段蹴りを繰り出してくる。

リインはとっさに剣を抜き、それを防いだ。


辺りに聞いたことのない金属がぶつかり合う音が響く。


剣で抑えるロザベールの脚は近くで見ると更に謎めいていた。光沢のある白銀色の装甲で、繋ぎ目が呼吸するように青白く光っている。


何これ?この世界ではハイテク過ぎない?

ただの装備にしてはいちいち意味深すぎない…?


リインの口から呟きが漏れる。


「なん、だ…この脚…?」


ロザベールが真顔になる。


「教えませんわ」


「なにぃ!?!?」


「教えない」だと!?


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