vs 聖騎士ランスロット②
『オオォォォ……!』
白銀の鎧が不気味な重低音を上げる。ランスロットが聖剣技を放った。
「リヴィア! 〈炎尖牙〉!」
俺の言葉でリヴィアが炎槍を繰り出す。
聖剣技と炎尖牙が衝突して、炎と光が渦巻き対消滅する。
俺の頭の中に、リヴィアの持つ力がリストのように流れ込んできていた。
俺が自らその力を行使するような感覚でイメージすると、リヴィアは言葉よりも速くそれをトレースしていく。
「これが召喚師の戦いか……!」
リヴィアと俺の精神がシンクロしていくのが、心に伝わってくる。
『オオォッ……!』
ランスロットが剣を振りかぶって跳躍。
「……っ!」
――ズガッ!
恐ろしく鋭い踏み込み切りを、リヴィアが両手で受け止めた。
「リヴィアっ!?」
「大丈夫だよ! これくらいじゃ、あたしの〈硬化〉は破れない! ……りゃあっ!」
その小さい身体のどこからそんな力が生まれるのか、リヴィアはランスロットの巨体を思い切り弾き返した。
リヴィアのHPがごく僅かに削れる。
後ろに跳んだランスロットが、着地ざまに剣を頭上高く掲げる。
剣先がきらめくと同時に、そこから無数の光の帯が降り注いで破壊を撒き散らした。
「……っ! 〈水膜〉!」
俺とリヴィア、さらにマールたちまでを覆う大きな水の防御膜が張られた。
薄い水のバリアが、聖なる光を中和して遮断する。
「早く倒さないと、遺跡自体がもたないよ……!」
「分かってる!」
俺は脳内に流れ込んでくる膨大な量のリヴィアの技と魔法から、破壊力を一点に集中できるようなものを探した。
「……これだ! 〈流鋭刃〉!」
俺が命じると周囲の水の膜が崩れ、リヴィアの全身に水の帯となって纏わりついた。
「はああっ……!」
リヴィアが全身を使って腕を振り抜くと、水流は長大な刃となってランスロットの胴体を斬りつけた。
『グオオッ!』
ランスロットが大きく体勢を崩し、聖剣技の光が霧散する。
「りゃあっ!」
再び薙ぎ払ったリヴィアの流鋭刃を、ランスロットが剣で打ち払った。
そのまま、肩から突進するようにリヴィアに肉薄。
剣を叩き下ろす。
「――っ!」
腕をクロスして受け止めたリヴィアの足が、とてつもない重量で地面にめり込む。
リヴィアのHPがまた僅かに削られるが、全HPから見れば極微量だ。
「思い出した……、キミのこと。何度か会ったことがあるよ。気高き聖騎士、ランスロット……!」
リヴィアはそう言ってランスロットの剣を両手で掴んだ。
『オオオォ……!』
剣をガッチリと掴まれたランスロットが拳をリヴィアに叩きつける。
リヴィアの小さな体はそれでもびくともしなかった。
「思い出せないの? 魔帝国の最期に何があったかは分からないけど……。寝ぼけてるなら叩き起こしてあげるよ!」
「リヴィア! 決めるぞッ!」
「うん! あああッ……!」
リヴィアが満身の力でランスロットごと剣を投げ飛ばした。
ランスロットが剣を取り落としながらピラミッドに身体を打ちつける。
その鎧の中心を、流鋭刃が貫いた。
ランスロットが低い断末魔を上げる。
「コージ! 今ならカード化出来るかも!」
「……! 〈観察〉!」
現れた照準を合わせる。
【聖騎士ランスロット 〈幻獣〉
LV:5,800
HP:2,220/197,218
マナ:0/0
AP:440/500
攻:49,304 防:49,304
種族:神人
スキル:全武器術 聖剣技 パリィング 自己回復
状態異常:楔 】
HPが大幅に減少している。
俺はランスロットに手のひらを向けてカード化の言葉を叫んだ。
「〈マナ・カルダード〉!!」
――バシュン!
強い光がランスロットを包む。
収まると、そこには白銀に輝く一枚のカードが浮かんでいた。




