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vs 聖騎士ランスロット①

 もうもうと煙が立つ。

 その奥から、大きな影がフロアに侵入してきた。


「鎧……!? デカいぞ!?」


 高さ5~6メートルくらいだろうか。

 アニメのロボットを思い起こさせるようなサイズの巨大な甲冑だった。

 白銀に輝く鎧。人間の身長の倍以上ある肉厚な大剣を握っている。


「何よあれ……!? リヒャルト! どういうこと!?」

「どうやら、遺跡の深部に侵入したときに、封印されていたデンジャラスなエネミーを起こしてしまったようでね! 強烈な歓迎を受けてここまで逃げてきたってわけさ!」


 そしてアボイドの群れに囲まれた、と。

 そういう話らしい。


「ああーもう、このバカ!! やっぱり助けるんじゃなかったわ!」

「ミアさん! 来ますよ!」


 頭を掻きむしって悶えるミアに、マールが言う。

 巨大甲冑が、剣を腰だめに構えて――――一気に跳躍した。


「しまっ――!?」


 図体からは想像のつかないほどの鋭い踏み込みに、避ける間もない。


 ――ガギッ!


 しかし、その大剣が俺達の目の前で止まる。

 リヴィアが瞬間的に氷の盾を生み出して剣を防いだのだ。


「〈炎尖牙〉……!」


 リヴィアが放った炎槍を、甲冑は剣の腹で受け止めて斜めに弾き飛ばした。

 甲冑が大きく飛びすさって距離を取る。


「コージ、こいつはさっきまでの敵とはわけが違うよ。人間の姿じゃ少し手こずるかも」

「なんだって……!?」


 俺は巨大甲冑を〈観察〉した。


【聖騎士ランスロット 〈幻獣〉

 LV:5,800

 HP:197,218/197,218

 マナ:0/0

 AP:500/500

 攻:49,304 防:49,304

 種族:神人

 スキル:全武器術 聖剣技 パリィング 自己回復

 状態異常:(くさび) 】


「〈幻獣〉……レベル5,800だって!?」

「なっ……!? 〈幻獣〉!? こんなところに!?」


 俺の言葉に、ミアが絶句する。


「私の〈観察〉でも確認しました。本当に〈幻獣〉です……。伝説上の生き物だと思っていたのに、こんなに近くにいたなんて……!」

「マーヴェラスなモンスターだろう!? 近づいただけで真っ二つになりそうだよ!」

「ど、どどど、どうしましょうミアさん!?」

「逃げるしか無いでしょ! 出口まで走っ――」


 瞬間、聖騎士が剣を引き絞り、横一文字に振るった。

 大剣が白い光を放ち、剣閃が力場となって放たれる。


「〈聖剣技〉……! 伏せて!」


 リヴィアが叫びながら氷の盾を生み出す。


 ――バギィッ!!


 爆発的な衝撃音。

 マールの悲鳴が響く。

 氷の盾に弾かれた〈聖剣技〉は、背後の壁を大きく破壊した。


「通路が……!」


 瓦礫が退路を塞いでしまう。

 もう一方の通路はあるが、それは聖騎士ランスロットの向こうだ。


「逃げ場なし、ってことね……」

「イグザクトゥリィー(その通りでございます)」

「アンタのせいでしょうが!」


 向こうでランスロットが再び剣を引き絞る。

 レベル5,800。HPだけでも19万だ。

 いかに手練のミアやリヒャルトでも、渡り合える相手ではない。

 俺は覚悟を決めた。


「リヴィア、いけるか?」

「もちろん!」


 リヴィアが背中越しに答える。


「よし! マール、結界は張れるか!?」

「はい! それくらいのマナなら回復しています!」

「ミアとリヒャルトと一緒に隠れて、結界で護っていてくれ!」

「……! あなたはどうするのよ!?」


 ミアが叫ぶ。


「あいつと戦う! マール、二人を頼んだぞ!」


 俺はマールにそう言い残すと、


「リヴィア、行こう!」

「りょーかい!」


 リヴィアと共に駆け出した。


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