5,依頼の内容
「……それで、この依頼を引き受けたんだ…」
酒場から貰った依頼書をパラパラとめくりながらクロアは言うが、それどころではない俺は返答しなかった。
「なんでこんな依頼を引き受けてくるんですか!」
「ウルセェ!俺だって好きで引き受けたんじゃねぇー!!」
その時、自分の剣が無い俺は、ナーダのポールアームを白刃取りの要領で受け止めていた。しかし、俺は床に座っているというより、身を起こしているという無理矢理な体勢なので、ヤバイ。このまま続けば巨大な刃が俺の頭上に落ちてくる。しかも、ナーダの目は半分本気だ。
「ねぇ、今回はどんな依頼なの?」
一人、話についていけないキルの発言により、ナーダはポールアームを下ろし、キルに説明し始めた。
「今回の依頼は、この町の東南にある洞窟に棲息するモンスターの討伐で、Bランクの依頼ですが、そのモンスターが問題なのです」
「何を相手にするの?」
「……『鬼』だって。しかも、数が多過ぎるのがちょっとね…」
『鬼』とは、俺達と似た姿形をしているが、頭か額に角を生やしたモンスターの事である。
俺達より二、三回りもある巨体は筋肉と言う名の鎧に覆われ、一般人では傷つける事が出来ない。知能が高くはない代わりに、その筋肉から生み出されるパワーは自分よりも大きな岩を素手で破壊するほどだ。しかし、それは普通の『鬼』の話しだ。この依頼書を見る限り、この洞窟に棲む『鬼』達は棍棒などの原始的ではあるが、武器を使い、群で動くと書かれていた。
「ただでさえ危険とされている『鬼』が武器を扱い、群で行動すると言う依頼を引き受けるなんて…、レイド。貴方は何を考えているのですか?」
溜め息をつきたいのか、ナーダは深呼吸をする。きっと、ここで溜め息をついたら、残り少ない幸せが逃げると思ったのだろう。
「でも、いつかは誰かが退治しなくっちゃいけないんでしょ?それなら僕らがやろうよ。早くしないと、町の人困るもんね」
とても18歳の男には見えない、純粋な笑顔でキルはナーダに言った。さすがに、キルにここまで言われるとナーダも黙った。
言い忘れていたが、キルの担当は調停だ。どんな事も受け入れる楽観的な考えと、優しさがあるからだ。




