1,始まり
……前は『ドル』(ナメクジに似た小型のモンスター)の団体様。
後ろは『ラトン』(ネズミとウサギを合わせたような中型のモンスター)が二体……。
こっちは四人。レベル的に見れば勝てなくもないが、上手く作戦を立てなければならないギリギリのライン。
「……どうする?」
反応無し。どうやら逃げる気は無いようだ。心強いが、せめて一言で良いから返事はして欲しい。
そんな愚痴に近い思考をしているうちに三人は動き出していた。
最初に動いたのは、ドルに向かって、炎の球を放ったクロア。下級の呪文を連発する事で、大量のドルを激減させていく。
一方で、ポールアームを構えるナーダとナックルをはめたキルもそれぞれラトンに先制。
頼もしい仲間の戦いを傍観する俺にクロアの冷たい視線が炎の球と共に飛んできた。
手伝えと言う、合図に応える為、炎の球を回避しつつ抜刀。残ったドルを適当に攻撃。
剣を戻す前にしゃがみ込む。すると、先程まで頭があった位置に巨大な刃物が通過。
「……ナーダ。俺に恨みでもあるのか?」
「何の事ですか?」
長く、蒼い髪を一本の三編みにした青年は笑顔で俺に聞き返した。
「……毎回隙があれば俺に攻撃してくるのがお前の習慣なのかって事を聞いているんだ」
「そういう事ですか。はい、そうです」
?
言葉の代わりに剣で返事をするが、それを予知していたナーダはポールアームの柄で俺の斬撃を受け止める。
「レイド」
「なんだ」
「私の首を取っても貴方に特は無いですよ」
両腕で俺の一撃を押さえるナーダはいつもの笑顔で訴えてくるが、俺は更に力かけて答えた。
「これが俺の習慣みたいなものだから安心しろ」
「安心しろと言う割には先程から力を強くしてませんか?」
「気のせ……っだ!」
「……いい加減にしろ」
俺等の下らない漫才に飽きたクロアは下級レベルの氷の呪文を俺目掛けて飛ばしてきた。
「敵も倒しましたし、次の町に行きますか」
「今日は宿で寝たいな」
「お金あるの?」
「無い時は、ナーダが稼い……」
「……人に頼るな」




