第0話 プロローグ
「真人さん!」
真人の姿を見た澪が真人の胸に飛び込んできた。
すぐに抱きとめる。
小さい……
澪の体をしっかりと抱きしめれば、澪も背に回した手に力を込めた。
「わり、遅くなった」
「大丈夫よ、来てくれるって信じてたわ」
真人は腕の中にいる澪を見下ろした。
身体を震えさせ、胸に顔をうずめている澪の存在を確かめる。
腕の中に澪がいることに安堵の息が漏れる。
「信じすぎだろ」
気恥ずかしくて、突き放したような言い方になってしまう。
「だって私の護衛だもの」
澪がうずめていた顔を上げて真人を見た。
安心からか、軽く目が潤んでいる。
上目遣いで見られると、心臓が高鳴った。
「それに、真人さんを見たらホッとしちゃった」
澪が少し照れたように微笑んだ。
「……そうかよ」
「真人さん?」
澪が小首をかしげる。
顔が赤くなったのが視られたのかもしれない。
澪の視線から逃げるように、澪の体を離した。
「こっち視んなよ」
手の甲を口元にもっていって、顔を背ける。
自分の心臓がダサいぐらい動いているのがわかった。
「ふふっ、綺麗な黄緑色だわ」
身体を離した澪が優しく笑った。
信頼の黄緑色だけでよかった。
この気持ちがまだバレていない。
ちょっと安心したような、寂しいような何とも言えない感情が渦巻く。
澪が体を少し寄せてきた。
澪の視線の先には、夢乃がいた。




