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遺灰が芽吹く世界で──神木と腐敗の世界で、海を探して──  作者: ヒトミ


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6/21

同行者

僕の声に気付かず、街の方に出て行く二人組を追った。


「ちょっと、待って、ください!」


目前のシュンの背中を叩こうとした瞬間。


彼が流れる動きで横に()れ、いつの間にか見下ろされていた。


「……何か?」


一瞬の突き刺されるような視線に息を飲んだ。


けれど、その気配は直ぐに霧散して、僕は手を胸元に戻した。


「えっと、突然すみません。先程の話が聞こえてしまって。今から、シオンの地に向かうんですか?」


シュンの肩口から、ゲンヤが顔を覗かせ、こちらを見てきた。


「どなたですか? いつから聞いていたんです? ちょっとあそこで話しましょう」


早口で言われ、目を瞬きながら、ゲンヤが指差す方向に視線を向けた。


そこには小さな食堂が建っていた。


◆◆◆


名前を名乗る間もなく、あれよあれよと食堂まで連れてこられてしまった。


「さて、君はここの人では無さそうですが、何が目的です?」


喉を潤していたゲンヤが、湯呑みをテーブルに置いて、細い目を更に細めて聞いてきた。


「目的? いえ、あの、僕はシオンに行きたくて」


何故だか、悪い事をしている気分になり、少し背中が仰け反った。


二人は顔を見合わせて、ゲンヤの雰囲気が見るからに和らいだ。


「そうですか。ですが、シュンは私を守るので手一杯だと思うんですよね。神木守ならともかく」


断られたら(たま)らない。


慌てて話そうとした途端。


「ゲンヤ。彼は神木守なんじゃないか?」

「……そうなんですか?」


それまで黙っていたシュンの言葉に、ゲンヤがこちらを見て聞いてきた。


「そうです。だから、どうかシオンまで同行させて貰えませんか?」


僕は頷いたあと、二人から目を逸らさずに頼み込む。


「力は何系か聞いても?」

「治癒系です」


ゲンヤとシュンに肩を掴まれた。


「採用です!」

「万が一、俺が腐怪にやられたら頼む」


二人の圧に瞬きを繰り返し、胸元を握り締める。


「ところで貴方のお名前は?」

「あ、ロランといいます。よろしくお願いします」


僕の肩を掴んだまま、二人は顔を見合わせた。


「それを早く言ってください……」


シュンは僕の肩から手を離してくれたのに、ゲンヤの手の力は逆に痛いほど強くなった。


「道中、色々聞きたいことがあります。いいですよね?」


彼の細い目が見開かれていて、背筋に寒気が走る。


「答えられることであれば、はい」


ようやくゲンヤの手が離れ、肩の力が抜ける。


椅子に座り直したゲンヤとシュンの自己紹介を受けた後、出発は明日だということで、僕は街で旅の支度を整えた後、神木守堂へと戻った。

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