Excursion
分隊の事務室から、ガモットとヴァーラ、ジェイド。彼らに囲まれて護衛されて移動する長谷川。
「凄いところだな、ここ。幕張のイオンよりでかい」
「おい、ガモット。奴は何て言ってる?」
「軍隊の施設を見て、でかい場所や言うてる」
彼らがいる軍隊の施設、そこは本隊の指揮下にある分隊なれど、敷地面積は屈指の広さを誇っていた。東京ドームで例えられる範疇を超えていて、現代日本で言うなれば、北関東の市ほどの面積だ。具体的に表すならば、茨城県のつくば市と土浦市を足したものより少し広い。
そもそもは数人の農民が小さな畑を開墾しただけの丘陵と、住むものがおらずに荒れるに任せた山地と森林を軍が買い上げた。以降、軍の演習場のみならず、軍の関連施設や軍人軍属の子女までが住む居住区を設けた。敷地全体が軍関係の土地で、それが一つの自治体になっている。その敷地に5万人以上が生活している。
◆サンニキウス分隊施設案内◆
◇中央区
・分隊統括部本棟
・分隊実戦部事務棟
・分隊兵站部事務棟
・外線旅客貨物鉄道中央駅
・内線貨物連絡鉄道中央駅
・サンニキウス軍幹部養成所本キャンパス
・サンニキウス軍幹部養成所高等科
・サンニキウス大聖堂分隊教会
・サンニキウス中央病院
・サンニキウス分隊高等裁判所
・出入国管理局サンニキウス分隊出張所
・関税庁サンニキウス分隊支署中央区出張所
・中央省庁出張所合同庁舎
・迎賓館
・中央区簡易宿泊場
・中央区民間商業特別区
・中央区自動車修理工場
・中央軍人第一〜第五居住区
・中央軍属居住区第一〜第三
◇東区
・外線旅客貨物鉄道東駅
・内線貨物連絡鉄道東駅
・分隊実戦部東第一〜第三演習場
・分隊兵站部輸送隊事務棟
・分隊兵站部輸送隊資材管理第一〜第三倉庫
・分隊兵站部輸送隊資材加工物流センター
・分隊兵站部兵糧隊第一〜第三常温倉庫
・分隊兵站部兵糧隊第一〜第三低温倉庫
・分隊兵站部兵糧隊冷凍倉庫
・軍民交流センター
・東区民間商業特別区
・東区自動車修理工場
・サンニキウス軍幹部養成所東区キャンパス
・サンニキウス軍幹部養成所高等科東区分校
・サンニキウス軍幹部養成所中等科東区分校
・サンニキウス軍幹部養成所初等科東区分校
・関税庁サンニキウス分隊支署東区出張所
・検疫庁サンニキウス分隊支署東区出張所
・中央病院東区分院
・M&W株式会社サンニキウス分隊支店
・東区軍人第一〜第三居住区
・東区軍属居住区第一〜第五
◇西区
・内線貨物連絡鉄道西駅
・分隊実戦部西第一〜第三演習場
・合同実戦演習場第一〜第三
・森林演習場
・山岳演習場
・共同菜園
・共同果樹園
・第一〜第五田圃
・果樹花卉加工場
・農産物加工場
・関税庁サンニキウス分隊支署西区出張所
・検疫庁サンニキウス分隊支署西区出張所
・サンニキウス軍幹部養成所高等科西区分校
・サンニキウス軍幹部養成所中等科西区分校
・サンニキウス軍幹部養成所初等科西区分校
・王立大学農林共同キャンパス
・中央病院西区分院
・西区軍人第一〜第三居住区
・西区軍属居住区第一〜第五
◇南区
・内線貨物連絡鉄道南駅
・分隊兵站部兵糧隊事務棟
・分隊兵站部兵糧隊食品加工センター第一〜第三
・王立大学畜産共同キャンパス
・第一〜第五畜産場
・第一〜第五馬事普及場
・検疫庁サンニキウス分隊支署南区出張所
・サンニキウス軍幹部養成所高等科南区分校
・サンニキウス軍幹部養成所中等科南区分校
・サンニキウス軍幹部養成所初等科南区分校
・中央病院南区分院
・南区軍人第一〜第三居住区
・南区軍属居住区第一〜第五
◇北区
・内線貨物連絡鉄道北駅
・分隊実戦部北第一〜第三演習場
・分隊兵站部技能隊事務棟
・分隊技能隊管理係事務棟
・分隊技能隊管理係事務棟
・技能開発教育センター
・風力エネルギー発電プラント
・地熱エネルギー発電プラント
・火力エネルギー発電プラント
・エネルギー開発センター
・燃油貯蔵地区第一
・燃油貯蔵地区第二
・燃油貯蔵地区第三
・燃油加工蒸留プラント第一
・燃油加工蒸留プラント第二
・サンニキウス軍幹部養成所理工学研究所
・サンニキウス軍幹部養成所高等科北区分校
・サンニキウス軍幹部養成所中等科北区分校
・サンニキウス軍幹部養成所初等科北区分校
・関税庁サンニキウス分隊支署北区出張所
・王立大学工学共同キャンパス
・株式会社マツダイラ北区支社
・中央病院北区分院
・北区簡易宿泊場
・北区軍人第一〜第三居住区
・北区軍属居住区第一〜第三
・北区民間人居住区第一〜第三
中央区は分隊の中核機能を、東区は倉庫や物流機能を、西区は農産物を、南区は兵糧の供給を、北区は技術やエネルギーの供給とそれぞれ役割を担っている。居住者は実戦を伴う軍人(Military Combat)と、兵站を担い軍に登録している非戦闘員の軍属(Registered Civilian)、軍に登録しない外部の有識者である民間人(Pure Civilian)で構成されている。割合としては軍人が65%以上、軍属が34%で民間人が1%未満だ。
ヴァーラたちが所属するサンニキウス軍第24分隊は、全26分隊ある内で最大の分隊で、軍関連施設や敷地では本隊をも凌ぐ規模を誇っている。他の領地の本隊や分隊でサンニキウス軍第24分隊以上の規模を持つものはなく、連合軍の中でも最大級だ。事実、サンニキウス軍の本隊幹部は第24分隊の副隊長以上経験者から採用されている。最初から本隊の兵役部事務方や部隊長から将軍以上にはなれないのだ。
「そりゃ、でかいだろうよ。一つの国みたいなものだからな」
「ここに兵站で入ったら、仕事と金の心配もあれへんし、一生暮らせるわ」
「軍人だらけで、悪さをするやつもいないしな」
「治安も最高やで。本隊がある首都に行ってみいな。未だに暴動やっとるで」
「製革ギルド連中の賃上げか?まだ収まってねえのか」
「製革だけやなしに、製紙や繊維、金属加工の連中も便乗して暴れとる。収まる気配もないで」
「暴れるのも無理ねえわ。産業庁とかが税金で、黒龍とかの上が取り分で搾りすぎなんだよ。そもそも、ギルドも他と連携してねえから生産効率もグダグダだしよ」
「暴れるときくらいやな、連携がええのは」
「終わってるぜ。共通の規格もないから、まともな製品どころか部品すら手に入らねえ。ギルドの連中は300年前の徒弟制から抜け出てねえんだよ」
「この国の民間は工業が終わっとるわな。そやから、どうやっても軍が先に技術も開発してまう。軍主導で産業が引っ張られる構造は変わらへんで」
「民間人から軍属への転入は増えまくり、その逆はない。ますます、分隊はでかくなるな」
ヴァーラは遠くに視線を遣る。その先には、足場が組まれた建設中の建物があった。




