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夢幻酷法  作者: SOR
第三の反乱

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21/28

SaltとSolution


前回までのあらすじっ⭐︎

圭太がマリック城をこんがり焼いちゃった!!?

まさかこんなことになるなんて…

圭太は終身刑になっちゃうのかな!?ここでお別れなんてヤダ!

まだ彼を都合の良いコマのように使いたい!!


「いや、放火とか普通に笑えねえからそれ」

「ですよねぇ〜……」


優に突っ込まれ、圭太はさらに肩身を狭そうにする。

ちなみにどうやら人が住んでいる住宅などに放火すると、最悪死刑になることもあるらしい。

まあ亡くなる可能性が少しでもあれば殺人になるからかなあ。

辞めようね、放火。ダメ、ゼッタイ。


ミロックに戻ってから、起こったことをみんなに報告した。

裏で手を引いていたのはジュゼッペという男だった。


「確かみなと一緒にいたって人だっけ?

俺らはむつきたちの話を聞いただけで会ったことないからあんまりイメージしにくいんだけど」

「竜に同じ。結局のところ、霜月みなは悪さをしていた訳じゃなかったってことよね?」


零ちゃんが言う。


「そうだよ!きっとみなはむつきのことを裏切ってなんかないんだよ。正々堂々闘おうとしてたんだって!」

「そうだよね利愛!私もそう思う。だってあの言葉に嘘はなかったし、それに」

「いや、みなとジュゼッペが共謀してたらわからないだろ」

「ほらそこ、水を差さない」


事実だろうが、優は文句を言いたそうにしている。

さっきからヤケに突っかかってくるなこやつ。

あ、もしかして…


「え、私が一人で圭太を助けに行ったから怒ってる?」

「うるせえ黙れハゲ」

「もういっそのことハゲになったろうか!!!??」

「むつき、どーどー。落ち着いて落ち着いて」

「丸坊主の女主人公かあ、新しい試みだけどあんま人気は出なさそう」

「ほんとにすみません、俺が悪いんです」

「そうだな、全部圭太が悪いな」


後ろからさらにトドメを刺すような言葉が聞こえる。


「りゅ、りゅうさんいつからここに…」

「ん〜?全部聞かせてもらってたよ?」


ニコニコしながら言う。こ、怖い…


「あの〜一応僕もいるんだけど」

「とにかくとんでもないことをしてくれたな」

「りゅう、君は無視しちゃダメな気がするんだけど」


クルミル様を華麗に無視してりゅうさんは続ける。


「マリックは完全に鎖国だと。そりゃ他国から来た人に放火なんてされたらそうなるわ」

「つまり四醋剣諸々の手がかりはマリックから得られなくなった」


そうか、よくよく考えたらそうなるのか…

第二の反乱の原因になった四醋剣の出所はマリックだった。

そこを辿るのが一番の近道だったが完全に道は閉ざされてしまった。


「それならさ、もう一回サラ国に行ってみるのはどうだ?

もうできることってそれしかなくね」

「竜のくせに良いこと言うじゃない。私もそう思う」

「零ちゃんの毒舌にも少しずつ慣れてきたな〜、こうやってDV気質になっていくんだろうな〜〜〜」

「そうと決まればすぐに準備して行こう。圭太も行くよね?」


私が圭太に声をかけると、力強く頷いた。


「それじゃ俺も行きますか、言い出しっぺだし。サラ様はちょい苦手だけど…」


ということで私と圭太、竜の3人でサラ国へと向かうことになった。






「……なあ圭太、お前はなんでこんなにミロックのために動くんだ?何がお前をここまで動かせてるんだよ」

「ずっと言ってるじゃないですか優先輩。俺はミロックが好きなだけですよ」

「命を投げ打つほどか?」

「怖いなあ、そうやって圧をかけるの辞めた方が良いですよ」

「お前が執着してるのはミロックじゃなくて、むつきの方なんじゃないか?」

「さあね、ご想像にお任せしますよ」









「こんにちは、また来てくれたのね。嬉しいわ」


ニコニコしながらサラ様は出迎えてくれた。

そして竜、圭太と目線を移動する。


「あなたは……」

「出背圭太です、この前は申し訳ございませんでした」


圭太は深々と頭を下げた。ここ最近あまり元気がない気がする。

普段は元気いっぱいのムードメーカーだが、自分のせいだと追い込んでしまうところが圭太にはある。


「気にしないで、とは言えないわね。

うちのせいでミロックが大変なことになったと思っている民間人もまだいるだろうから」

「はい…」

「でも、昔のことをウジウジ言うような時間もないの。

もっと有益なことをした方が良いと思わない?」


クルミル様もそうだが、やっぱりサラ様もすごい人だ。

なんというか器が違う。


「それで、今日来たのもそういうことなんでしょう?」

「その通りです。力を貸して欲しいんです。何か変わったこととかありませんでしたか?」


私が言うと、サラ様はうーんと頭を抱えた。


「変わったことというより気になることはあったわね」

「…!聞かせていただけませんか!!」

「良いわよ」


まだ入れたばかりの紅茶を少し飲んだ後、サラ様は話し始めた。


「サラ国は、特に穀物や食べ物に力を入れてるの。農場が多いのもそういう理由があるから。

うちの食材じゃないと満足できないなんて嬉しいリピーター様もいるのよ」

「それを国単位でやってるんだから、やっぱサラ国ってすごいですよね」

「ふふっ、ありがとう竜くん」

「りゅ、竜くん……………???」

「だからお米だけとか大量発注を受けるのも稀にあるんだけど、マリックは特殊でね。定期的に塩の注文を受けるのよ」

「塩………??」

「そう、不思議よね。それも普通の塩よりも粒が細かいものを希望でね。わざわざ特注してたの」

「なんでそんなものを?もっと他のものならわかりますが塩なんて…言っちゃえばただの調味料ですもんね」

「しかもここだけの話、びっくりするような高値で取引してたのよね…。

正直私にもそこまで価値があるのか分からなかったけど、かなり感謝はされたわ」

「一度にどれくらいの量の発注だったんですか?」

「そうね、5キロとかかしら。それをかなりのペースで頼んでくるの」

「「「5キロ!!!!?」」」


身体大丈夫かな、それ。なんかそっちが心配になってきた。

ありとあらゆる物に塩かけてるじゃん。

目玉焼きとか唐揚げにも塩なのかな。それはそれで好み分かりやすくて良いか??

その人とご飯を食べる時は塩を用意しておこう。


「私が話せるのはここまでかしら。何か参考になれば嬉しいわ」

「ありがとうございます、また何かお礼をさせてください」

「あら、それなら今度は優くんも呼んでほしいわねえ。竜くんと二人でおいで。ゆっくりお話しましょう?」

「優に伝えておきまーす!ありがとござましたー!!」


竜はそそくさと荷物をまとめて逃げるように部屋を出ていった。


「あらあら、冗談なのにねえ」


不敵に笑うサラ様。本当かなあ…

もう一度お礼を言い、私たちは3人はサラ国を後にした。

塩の大量発注かあ、全く見当がつかないな…




ミロックハウスへ戻ると、メンバー全員で集まっていた。


「え、なにどうしたの。クルミル様までいるの珍しいですね」

「最近みんなバタバタしてたでしょ?だから一旦みんなでチルしようと思ってさ」

「チル…???」

「え〜むつき知らないの?意外と疎いんだねそういうの。ほら白空教えてあげな!」

「そのままの意味だよ。ほら散れ、散れーって意味!」

「それなら今ここにみんな集まってるの変じゃない?」

「チッチッチッ、浅いね。そもそも散るためには集まらなきゃいけないだろ?

ゼロの状態から散ることは出来ないのだ。だから今集合してるってわけ」

「なるほど…」

「ちょっと、何丸め込まれてるのよ」


零ちゃんはため息を付きながら言った。


「チルっていうのは英語のChill outに由来してるスラングよ。落ち着こうとか深呼吸しようみたいな意味があるの。

バカ白空のこと鵜呑みにしてたら恥をかくわよ」

「零ちゃんチルチル、そんなイライラしても良いことないよ〜?」

「シワも増えちゃうぞ〜??」

「竜、後で話があるから部屋に来てね」

「えっ俺だけ!?白空は!?シワは許された!!?」


なんだかこんな会話をするのも久しぶりな気がするな…

圭太も思わず笑っている。 


「めちゃくちゃオーソドックスだけど、たこパでもやろうかなって」

「具材は私、利愛が選んできたであります!」

「冷蔵庫にも具材あるから合いそうなの入れて食べましょ」

「わーいわーい!俺、レゴ入れる!」

「待て白空、今レゴって言った?てか、なんで冷蔵庫にレゴ入ってるんだ?ヒンヤリしてるけど??」

「フフフ、みんな楽しそうで良いね」

「クルミル様のために利愛特製たこ焼き作るね!今流行りのスクイーズ入れる!」

「うん、スクイーズじゃなくて本物を入れてほしいな…??」

「おい、バカなこと言ってないで手伝え。まだ生地ができてないんだよ」


キッチンからボウルを持った優が出てくる。


「はあ〜い、とりあえずタコ切りますか。ほらほらむつきと圭太も手伝って!

マリック城焼いたんでしょ?ならたこ焼きもいけるって!」

「利愛、アンタ結構エグめのイジりするわね」

「はにゃ〜〜?????何のことかニャ〜〜????」


利愛に言われ、私たちもたこパの準備をした。

四醋剣の謎は全く解けていない。でも異常事態は脱したことだし、こういうのも大事かもしれない。


「ねえねえ、たこ焼きに何かける?ソースとマヨネーズはあるけど…あと青のりとかも」

「ケチャップ…は普通に味の想像できるか、塩とか砂糖とかも面白そうだけど」

「なら俺、中身塩だけのたこ焼き作ろっかな!」

「別に良いけど責任持って食えよ白空」

「それなら僕はコショウにしよう。食べた瞬間クシャミが止まらない、なんてね」

「クルミル様、乗らなくて良いですよ???」

「おい本当にレゴ入ってるじゃねえか!!」

「レゴにはやっぱりお酢かな?」

「君の思考回路が怖いよ……」

「レゴに比べれば塩たこ焼きと砂糖たこ焼きはまだマシかあ」


狂った圭太が塩だけ、砂糖だけたこ焼きを作り始める。

場所は覚えたからな、左上端とその一つ右隣な。

絶対その位置のたこ焼きは取らないからな。


その一方で、私は激ウマたこ焼きを育成していた。

中身に選ばれたのは、ふりかけののりたまだ。

タコは入れずにのりたまだけをたっぷり入れる。

その後、少しだけチーズを入れて完成だ。

ソースやマヨネーズがなくても、のりたまの味がしっかりあるのでとても美味しい。

これを右端上でしっかり焼いている。美味しくなあれ、萌え萌えキュン……


「塩と言えば、昔は歯磨き粉代わりに使われてたって知ってる?」

「出た!梅崎零の雑学タイム!!」

「ヨッ、さすが零ちゃん博識だ!!」


囃し立てる竜と白空に睨みを効かせると、そのまま話を続けた。


「実は塩には殺菌作用があって、浸透圧で歯ぐきの腫れや炎症を抑えると言われてたの。

今でも塩が配合された歯磨き粉もあったりするわよ」

「それじゃ今作ってる塩たこ焼きは、食事と歯磨きをまとめて出来るってこと?画期的じゃん」

「ただ今はなんとも言えないのよね。

食べるものが現代と昔で変わったのもあって、歯も進化してるからねえ…

塩で磨くと歯を傷つけちゃいそうだし、辞めなさいよ。ちゃんとした歯磨き粉を使いなさい」

「ウッ、なんか想像したら歯がギシギシしてきた…うがいしてくる……」


想像力豊かだなあ。零ちゃんの豆知識に関心しながら黙々とたこ焼きを回す。


「塩…歯磨き粉……?」


隣にいた圭太がブツブツ言っている。

そして何かに気付いたのか、急に立ち上がって叫んだ。


「これだ、これだよむつき先輩!サラ国に大量発注されてた塩、歯磨き粉代わりに使ってたんだ!!!」

「えっ、でも誰が…」


興奮した圭太は続ける。


「ジュゼッペです。あいつは吸血族だ!だから塩を……!

とにかく、すぐにサラ国へ行きましょう。説明する時間も惜しい。

発注元が分かれば、ジュゼッペの居場所を突き止められる!!」

「えっでもたこ焼き、たこ焼きは!!?」


私の手を引き、ミロックへと走り出した。

さよなら、私の最強激ウマのりたまチーズたこ焼き。

誰の口の中へ消えてしまうのだろう。嗚呼……

思いを馳せながらも私はサラ国へと急いだ。


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