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夢幻酷法  作者: SOR
第三の反乱

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18/25

解決と違和感

俺がむつきがこっそり涼太に会いに行っていると知ってから数週間後。


むつきが見知らぬ男を連れてミロックへとやって来た。


「え、誰だよこいつ。本当に誰?」


白空が物陰からヴーーーッと唸り声を上げている。

お前も誰だよ。


「クルミル様、身元を調べてもらえませんか?」

「身元?どういうこと?」

「涼太くんを襲ったの、こいつです」


何を言ってるんだ??

一瞬みんなはそんな表情を浮かべたが、むつきは真剣な顔をしていた。


「と、とりあえずBe Quietに引き渡そうか」


Be Quietとはミロック界の警察のような組織である。

俺たちはあまり絡みがない。


それから、話はとんとん拍子に進んで行った。

むつきの言う通り、その男はミロック内で襲撃事件を起こした張本人だった。

あっという間に解決してしまったのだ。



「なあむつき、なんで分かったんだよあいつが犯人だって」

「涼太くんのお見舞いに行った時、病院でウロウロしてたのを捕まえたの。

明らかに挙動不審だったから。

それで話を聞いたら自白した」

「そうだったのか、すごい偶然だな」

「そう?私が涼太くんのお見舞いにずっと行ってたこと、知ってるんでしょ」


うっ、バレてたのか。

プライドもあるだろうし本人には言わないつもりだったんだが。


「とりあえず、一件落着だね。良かった」


むつきはどこか遠くを見つめながら言った。






終業の合図が鳴り、生徒たちが学校を出ていく。

俺は竜と一緒にむつきたちの教室の前で待っていた。


「今日は部活ないの?」

「おん、休みだからみんなとミロック行こうかなと思ってさ」


そんな話をしているとむつきたちが出てきた。


「お疲れ〜、行きますかあ」

「涼太の件が解決してから平和よね、ミロックも」

「平和が一番よ〜、ねえ奥さん」

「キモいからやめろ」

「今日もクールだねえ優くんは〜」


オリオリと竜は俺の肩を叩く。

なんでこいつはこんなにテンションが高いんだ??


「そういえばむつき、あの後涼太のお見舞いには行ったのか?」

「へ?なんで?」


むつきはポカンとしながら言った。


「なんでって…退院したらしいんだよ」

「そうなんだ!それは良かった…

子どもの襲撃だったし負担も大きかったから、心配だったんだよね」

「知らなかったのか?」

「うん、知らなかった」

「毎日行ってたのに?」


俺は少し語気を強めて言ったが、むつきはへへっと笑いながら返事をした。


「なんか恥ずかしくなっちゃったんじゃない?

なんとなく分かるな、その気持ち。

親しい人ほど言えないというか」


何か腑に落ちない。

話の論点がズレているような気がする。

もう少し突っ込もうとした時、それを竜が止めた。


「はいはい、ケンカしないケンカしない」

「…ごめん」

「私は別に気にしてないよ、ほら早く行こ!」


むつきは本当に何も気にしていないみたいだった。


「優どした?なんか怖いぞ今日」

「悪い、気をつけるわ」

「いやいや気をつけなくても良いって。

何かあるなら言ってくれよ?

ミロック云々の前に俺らは友達なんだからさ」

「何カッコつけてんの、気持ち悪」

「零ちゃん!?突然の悪口!!?」


俺の考えすぎか?

ピリピリするのは周りにも伝染するから良くない。

でも少し、気にしていた方が良いかもしれない。








「ん〜……もう食べられないよ……

でもパスタならいける……麺類なら……まだ………」

「変な寝言、パスタ好きなの?」

「結構好き………」

「ふーん、俺のことは?」

「俺のことも好………誰!!?」


ガバッと私はベッドから飛び起きる。

ここはどこ、私はダレ???


「本当にみなは面白いね、見ていて飽きない。

でも今までそんな寝言聞いたことないよ。

疲れてるんじゃない?」

「誰…?」

「誰しか言えなくなっちゃったか、まあそれも仕方ないね」


最近こういうシチュエーション多くないですか??

気づいたら知らない人がいるみたいな。

本当に誰かわかりません。


「ここに来てからもう半年くらい経つのかな。

いろんなことがあったけど、でも俺は後悔してないよ。

みなと一緒に世界を作り変えていくのが楽しみで仕方ない」


厨二病の方?世界を作り変えるって何?

うっとりとした表情で言う目の前の男に、釘を刺す隙はなかった。


そして分かったことがある。

みなというのは人物名だ。どうやら私のことをみなだと思っているらしい。


「俺たちが動くことできっと救われる人だっているはずだ。

ミロック政府が間違っていると気がつくのも時間の問題。

そのためなら俺はなんでもするつもりだ。それこそ命を投げ打つ覚悟もできてる」

「…!」


…ここは大人しくみなのフリをしていた方が良いかもしれない。

今後においてこの人は、かなり重要になってくる気がする。


「使えるものは全て使う、夢のためならね」


男は私の方を向く。

釣り上がった赤い目に少し見える特徴的な八重歯。

まるで吸血鬼のような見た目だ。


「で、みなはどう思う?そろそろ動き始める時期かなと思うんだけど。

なんせほら、ミロック王が変わるってウワサだろ?」


はい、私です。


「どうやらそいつ、最近ミロックに来たみたいでしかも女らしい。

住民のヘイトはかなり溜まってる」


はい、その通りです。

重々承知しております。

ご迷惑をおかけして申し訳ございません。


「…ねえ、なんで何も言わないの?」

「だよね!なにも言わないの変だよね!!」


しーーーーーん。

不自然すぎるー!!!!!!

警戒心を露わにしながら男は言った。


「やっぱ疲れてる?」

「ごめん、ちょっとぼーっとしてて」

「しっかりしてくれよ。これから国を相手に戦う予定なんだからさ」

「もちろんわかってるよ」


ジーーーーッと男はこちらを見つめる。

そして、そのまま顔を近づけてきた。


んんんっ!?そういうこと!!?

そのみなって人はこの男と恋人で、だからなんかこんな親密そうな感じだったってこと!!?

だとしたら、ここで拒否するのはまずい。

私は意を決してそのまま目を閉じた。


「…違う」


どうやら不正解だったようだ。

人生、難しい。


「…ッ!もしかして」


男はドタバタと部屋を出ていき、手鏡を持ってきた。

そして私の姿を映す。


誰?????


この数時間で何回この言葉を言っただろう。


鏡の中に映っていたのは、灰色がかったロング黒髪の女性だった。

茶髪で左右の横髪クルクルの私、如月むつきではない。


「なるほど、じゃあみなは成功したってことか。

うーん、厄介なことになったな」


あれ?ところで私の立場ってどうなるんだろう?

みなじゃないってバレた訳だし、ただでは済まされないのでは?

というか、私はなんで別人になってるの?


「どうせ君の名前は如月むつきだよね」

「どうせって失礼な、いやそうですけど」


しまった、声に出てしまった。


「ふーん、君がねえ。まあ心配しなくても良いよ。

今こうしている間、みなは君として活動しているから」

「えっ?じゃ優たちと会ってるってことですか」

「そういうこと。

もう薄々気づいてるだろうけど、君とみなは入れ替わってるんだよ」


そんな事が現実にできるなんて…


「というかここで卯月優の話が出てくるってことは、君やっぱりミロック王なんだね」


なんか私、ボロ出てないですか?大丈夫ですか??

お口チャーーーック!!


「君と違ってみなは上手くやるだろうよ。

こうなる日を夢に見てたんだからね」


意味深なことを言う男。


「どういうことですか?

私、そのみなと面識は全くないですけど」

「知らなくても良いよ。知ったところで何も変わらないし。

君はここでゆっくり過ごすと良い」

「それっていつまでですか?」

「みなが帰ってくるまで、かな。

もしみなが君として生きる道を選んだなら、君はずっとみなとして生き……おい!!?」


そんなことがあってたまるか!!!!

なんかよくわからない男とよくわからない女になったままおばあさんになるなんて絶対に嫌だ!!!

私は一目散に部屋を飛び出した。


とりあえずミロック城の方へ行こう。

きっと誰かに会えるはずだ!


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