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数字が苦手な少年に、お金の神様が『簿記』を教えるそうです。  作者: 乙丑
もう少しだけお付き合いください
40/44

増減の関係性

「今回は元帳記入のコツを教えましょうかね」


 取引 四月七日。取得価格500,000円の機械を掛で仕入れ、四月十四日に現金で代金を支払った。なお当社は機械販売業を営んでいる。


「さすがにこれはすぐにわかるでしょ? ここで問題。これが逆になった場合の現金元帳の記入はどうなる?」

「文章だと仕入だから、掛は買掛金になって、その逆ってことは売掛金になるわけだから」


 【現金補助簿】

 4/14(売掛金)500,000/4/7(仕入)500,000


「ってことか?」

「あらら、ほんといつも惜しいというか、教える立場としては嬉しいんだけどね」

「どこか間違ってるのか?」

「元帳はその勘定項目が動いた仕訳以外は記入しないんですよ。つまり黒闇天の問題は現金の補助簿に記入するわけですから」

「借方の売掛金だけ書けばよかったってことか?」

「そうですね。四月七日の取引は仕入を掛で取引しています。この場合、仕入元帳の借方に買掛金が生じます。次に四月十四日に現金で買掛金を払っているわけですから、買掛金元帳の借方に現金が記入されることになります」


 仕入元帳

 4/7(買掛金)500,000/(空白)

 買掛金元帳

 4/14(現金)500,000/4/7(仕入)500,000

 現金元帳

 (空白)/4/14(買掛金)500,000


 売上元帳

 (空白)/4/7(売掛金)500,000

 売掛金元帳

 4/7(売上)500,000/4/14(現金)500,000

 現金元帳

 4/14(売掛金)500,000/(空白)


「教えてもらったからわかったけど、四月十四日の売掛金だけ現金が動いてるんだな」

「そうだね。ところで少年、これを見てなにか気付いたところはないかな?」

「気付いたところ?」

「公人くん、仕入れた場合の仕訳と売り上げた場合の仕訳で、現金元帳のところを見てください」

「えっと仕入の場合は右に買掛金があって、売上の時は左に売掛金が……んん~~~」

「それじゃぁ、これだったらどうかな? 四月十五日に50万円貸付けて、その代金を四月十九日に返してもらった場合の記入だよ」


 【現金元帳】

 4/19(貸付金)500,000/4/15(貸付金)500,000


「公人くん、資産の増減での貸借はどうなりましたっけ?」

「えっと、借方が増えて、貸方が減る……もしかして、これってそう考えればいいってことか?」

「そういうこと。今私が出した問題をよく見るとわかるね」


 【現金元帳】

 4/19(貸付金)500,000(増加)/4/15(貸付金)500,000(減少)


「今の問題の仕訳をするとこうなりますね」


 4/15(貸付金)500,000(増加)/(現金)500,000(減少)

 4/19(現金)500,000(増加)/(貸付金)500,000(減少)


「現金のところに注目してね」

「うおっ? 見事なまでに逆転してる」

「ねっ、これってグループに分けると全部に比例するんだよ」

「資産・費用は借方が増加し、貸方が減少します。負債・純資産・収益は借方が減少し、貸方が増加しますね」

「仕入で生じたのが現金なら貸方に現金が入るから、元帳には現金が左になるんだな」

「そうだね。元帳の記入が苦手って人は、まず勘定項目がどのグループに入るか覚えておけばいいし、なんとなくイメージでいいんだよ。仕訳の時に逆に記入するわけだけど、元帳も増減の関係性は変わらないから」

「貸付金は資産に関わる勘定項目ですし、借入金は負債に関わる勘定科目ですからね。先ほどの現金元帳だとどうなります?」


 【現金元帳】

 4/15(借入金)500,000(資産の増加)/4/19(借入金)500,000(資産の減少)


「ってことか」

「そうですね。つまり四月十五日に借入金で現金が増加し、四月十九日に返却して現金が減っていることになります」

「基本的にはその補助簿に記されている勘定科目がなにで増減したかを意識するとそんなに難しくないね」

「売上を現金で受け取った場合は、現金で増えたってことになるから売上元帳には右に現金を書いて、現金元帳には売上で増えたから、左に売上を書くわけだな」

「そうですね。どちらも増加しているわけですから」

「負債や費用も同じ考えになるね。というわけで少年、最初の元帳の増減をやってみようか」


 仕入元帳(費用)

 4/7(買掛金)500,000(費用の増加)/(空白)

 買掛金元帳(負債)

 4/14(現金)500,000(負債の減少)/4/7(仕入)500,000(負債の増加)

 現金元帳(資産)

 (空白)/4/14(買掛金)500,000(資産の減少)


 売上元帳(収益)

 (空白)/4/7(売掛金)500,000(収益の増加)

 売掛金元帳(資産)

 4/7(売上)500,000(資産の増加)/4/14(現金)500,000(資産の減少)

 現金元帳(資産)

 4/14(売掛金)500,000(資産の増加)/(空白)


「こうするとイメージがつけやすいね」

「元帳は仕訳の逆にするとか言ってたけど、結局はそのままになるんだな」

「うぅん、たしかにそう思うかもしれないけど、これって増減の関係性を覚えておかないといけないから、やっぱり逆にするほうがいい場合もあるんだよ」

「特に難しい扱いなのは貸倒引当金ですね。この勘定項目は資産の△増加を意味していますから、借方の場合はどうなります?」

「えっとその逆だから減少するってことか」

「そういうこと。まぁこういうのは慣れだからね」


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