背後正面(うしろのしょうめん)
「ここ最近税金の計算とか色々やってるから、ちょっとこの話をしておこうかな」
「それはいいとして、人の部屋を暗くしてロウソク(LEDライト製)点けるなよ。ビックリするから(電気をつける音)」
「人が怖い話をしようと思って場を盛り上げてるのに、空気の読めない子だねぇ」
「いやいや、神さまたちと普通に会話できる事のほうが冷静に考えて怖いだろ」
「まぁ話を元に戻して、今回は『消費税転嫁対策特別放置法』について説明しますね」
「『消費税転嫁対策特別放置法』?」
「たとえば買い物をしていて、商品の値札を見た時に税抜きと税込みの文字を見るよね」
「あぁ言われてみれば確かによく見るな」
「場合によっては本体価額と表記されていますけど、税抜きと同じです」
「で、消費者は税込み料金を支払うけど、この消費税分が課税仕入高になるよね。逆にそれを売った会社は課税売上高になるわけだ」
「まぁそうなるな」
「で、ここからが本題。たとえばお店で消費税還元セールみたいなものがあるけど、これは消費税をお店に支払わなくてもいい」
「還元セールだから払わなくてもいいんじゃないのか?」
「はい。少年、裾まくって腕出して」
「んっ? えっと何を」
「はいっ! 竹篦っ! デコピンっ! 馬場チョップッ!」
「イッテェッ!? おい黒闇天っ! おまえいったいなにしやがる?」
「少年、納税は国民の義務だよ。消費税還元セールなんて無いし、ちゃんと課税売上高(課税仕入高)が出るに決まってるでしょ」
「えっ? どういうこと?」
「消費税還元セールは消費税転嫁対策特別放置法違反になるんですけど、8%還元セールはいいんですよ」
「それも聞いたことあるけど、でもそれって同じじゃ?」
「消費税還元セールと8%還元セールは同じに見えてぜんぜん違うんだよ」
「それって消費税8%分を還元してるわけだから、その分が引かれるってことだろ? 実際は消費税を払ってないってことじゃ」
「あのね同じ8%でも消費税は加算、還元は値引きになるんだよ」
「えっと……」
「つまりですね、元々の本体価額が1,000円の商品があったとします。それが消費税込みだと1,080円(1,000×1.08)になりますよね? それで還元は本体価額の8%を値引きするわけですから販売価額は消費税込みで920円(1,000-(1,000×8%))になるように本体価額を調整しないといけないんですよ」
「値引きだけど実際は消費税を払っているってことか」
「還元セールの時の本体価額は852円になるんだよ。これに消費税が含まれたら920.16円になるんだ(消費税金68.16円)。販売価額が920円より0.16円高くなってるけど、小数点以下は切り捨てだからこういう本体価額になるんだ」
「あれ? でも結局は消費税を払ってるんだからいいんじゃ?」
「今回説明する『消費税転嫁対策特別放置法』というのは、消費税率の引き上げによって生じる金額を偽ることを禁止する法律なんです」
「つまり今説明したのはどちらも対価として消費税込みに成るんだけど、もし消費税分を支払わないなんてことをしたらいけないってこと」
「なんか、他にもありそうだな」
「そうですね。今説明したのは減額の説明でしたし」
「減額というのは消費税込みの仕入に対して、消費税分を値引きすることだね」
「それってつまり、本体価額で購入しているから、消費税を支払っていないこととおなじになるんだな」
「他にもルールがあって以後がそれに当たります」
①減額=消費税込みの仕入値から消費税分を引いて、本体価額のみの支払いをすること。
②買いたたき=原材料費の低減などの状況変化がない中で、消費税率引き上げ前の税込価格に消費税率引き上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること。
③商品購入、役務利用または利益提供の要請=消費税率引き上げ分を上乗せすることを受け入れる代わりに、取引先にディナーショーのチケットを購入すること
④本体価格での交渉の拒否=本体価格(消費税抜価格)で交渉したいという申し出を拒否すること
⑤報復行為=転嫁拒否をされた事業者が、①~④の行為が行われていることを公正取引委員会などに知らせたことを理由に、取引の数量を減らす(取引停止)など、不利益な取り扱いをすること。
「基本的にはこの五つが『消費税転嫁対策特別放置法』に当てはまりますね」
「消費税率引き上げ分って?」
「たとえば本体価格が1,000円の場合、最初の消費税になる3%から次の5%に税率が引き上げられるんだけど、その時の差額が20円になるよね。それを消費税引き上げ分っていうんだ」
「つまり買い叩きっていうのは引き上げた分を支払っていないってことになるのか」
「そういうことですね。これは④の本体価格での交渉の拒否にも当てはまります」
「でも本体価格だと消費税は払っていないんじゃ?」
「たしかに本体価格のみだと消費税は支払っていないということになるんですけど、大体は商品は税込価格で取引がされるんですよ。ただ取引先が本体価格での交渉を希望する場合はそれに応じないといけないんです」
「あれ? でもそれって得なんじゃ?」
「決算のさいに消費税の納税をしないといけない時にもちいられる原則課税方式の計算式は覚えてる?」
「えっと、(課税売上高×消費税)-(課税仕入高×消費税)=納税金額……あっ!」
「気付いたみたいだね。仕入値が本体価格だけということは」
「課税仕入高が減るってことだっ!」
「そうですね。その場合は税抜経理方式を使うんですよ」
「それに関しては次回説明するね」




