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数字が苦手な少年に、お金の神様が『簿記』を教えるそうです。  作者: 乙丑
もう少しだけお付き合いください
37/44

蝶々眈々


「それじゃぁ簿記3級試験のラスボス的扱いである第五問『精算表作成』の説明をするよ」

「解答用紙には勘定科目/残高試算表/整理記入/損益計算書/貸借対照表にそれぞれの借方と貸方の項目が入ります」


挿絵(By みてみん)


「他の勘定科目は省略してるけど、同じだと思っていいよ」

「それではまず次の精算表を参考に仕訳をしていきますよ」


挿絵(By みてみん)


「見事に空白ばかりだな。もしかして解答は丸数字のところを記入すればいいのか?」

「そうだね。ただ今回はあくまで練習だから、実際の試験はこれの倍以上だと思わないとね」

「資料に書かれた取引の仕訳をして、この精算表に書かれている整理記入の貸借に記入していきます。答えは丸数字で説明していきますね」


 【資料】

 1・期末商品棚卸高は1,200円である。

 2・期末受取手形と売掛金の残高に2%の貸倒引当金を差額補充法で計上する。

 3・備品を定額法(耐用年数5年、残存価額は取得原価の10%)として減価償却費を計上する。


「あれ? 丸数字は17個あるのに、資料の取引は三つなんだな」

「実は資料を計上したことで生じた整理記入の借方(貸方)+試算表の借方(貸方)になるんだよ。あと注意するところは貸借と損益を間違えないようにしないとね」

「難しく考えないで、貸借対照表と損益計算書の場合は『増加-減少』と覚えておけば大丈夫ですよ」

「そうか。それじゃぁまずは資料の仕訳だな」


 1・(期末商品棚卸高)1,200(資産▲)

 2・空白/(貸倒引当金)60(資産△増加)

 ((受取手形)3000+(売掛金)2000)×2%

   (5,000)×0.02=100

    100-40(貸倒引当金)=60

 3・(減価償却費)900(費用▲)/空白

   ((備品)5,000-5,000×10%)÷5=

   (5,000-500)÷5=

   4,500÷5=900


「とりあえず仕訳たぞ」

「いつものことながら、おしいなぁ」

「あれ? どこか間違ってた?」

「いや計算は合っているんですけど、勘定科目が間違っているんですよ。前期に当てた貸倒引当金を引いた数字が△になっていませんから、貸倒引当金繰入が正しい勘定科目ですね。繰入はそれに当てはまるものが△になっていないものを意味していますから」

「そういえば期末で残った商品も繰越商品だったな。それと同じってことか」


 1・(期末商品棚卸高)1,200(資産▲)

 2・空白/(貸倒引当金繰入)60(資産△増加)

 3・(減価償却費)900/空白


「これが正しい仕訳だよ。それじゃぁ少年。今仕訳をした勘定科目を丸数字で埋めようか」

「やり方はまず整理記入のところに同じ勘定科目の欄に数字を記入します。期末商品棚卸高なら繰越商品と同じ意味ですから」

「①に1,200円を記入するんだな」

「そういうこと。まずは整理記入(①から⑧)から済ませるよ」


 ①1,200(期末商品棚卸高) ②1,500(仕入を資産として返上)

 ③ 60(貸倒引当金繰入) ④ 900(減価償却費)

 ⑤1,500(仕入の減少)   ⑥  60(貸倒引当金繰入)

 ⑦ 900(減価償却費)   ⑧1,200(期末商品棚卸高)


「とりあえずこれでいいのか?」

「正解。それじゃぁ次はさっき説明したやり方で損益計算書と貸借対照表も済ませようか」

「ってことは借方が同じならそれを足して、借方と貸方の両方があったらそれを引くってことでいいのか?」

「『増加-減少』ですからね。それで間違っていませんよ」


 ⑨6,200 ⑩60 ⑪900 ⑫3,000

 ⑬2,000 ⑭700 ⑮5,000 ⑯100

 ⑰2,700


「一応計算してみたけど」

「正解した数字だけ言うね。⑩・⑪・⑫・⑬・⑮・⑯・⑰の七つだよ」

「あれ?(計算し直し中)①は6,500で、⑭は1,200ってことか?」

「大正解。ほらこういうニアミスが多いのが第五問が難しい理由でもあるんだよ。第三問同様、時間に余裕を持って先に終わらせたほうがいいね。あとは全体が終わったら、本当に時間ギリギリまで確認の繰り返しだよ」

「実際の経理は何人かでやりますから一人でやるということはないんですが、貸借が一円でも違っていたら全体が狂いますからね」

「……寝ぼけてる時のボタンの掛け違いみたいなやつか」

「あれって着物の私たちには馴染みがないけど、だいぶ恥ずかしいみたいだね」


挿絵(By みてみん)


【⑨から⑰までの計算式】

 ⑨6,500(6,200+(②1500-⑧1200=300)=6,500)

 ⑩  60(試算表に数字はなく、整理記入の③60のみ)

 ⑪ 900(⑩同様、試算表に数字はなく、整理記入の④900のみ)

 ⑫3,000(試算表の受取手形(借方)のみ)

 ⑬2,000(試算表の売掛金(借方)のみ)

 ⑭1,200(1,500+(①1,200-⑤1500)→1500+-300=1,200)

 ⑮5,000(試算表の備品(借方)のみ)

 ⑯ 100(40+⑥60=100)

 ⑰2,700(1,800+⑦900=2,700)


「できるだけ整理記入はしっかりと、それが正しく合っていないと貸借対照表と損益計算書の計算も狂ってしまいます。第五問で一番重要なのは整理記入の正確性ではないでしょうか」

「今回は表で説明をしてるけど、試験では次の図のようになってる場合もあるから注意してね」


挿絵(By みてみん)


「図は貸借対照表ですが、損益計算書も同じです。貸借はいつも書いている通りですから精算表に記入した金額を転記するだけです」

「勘定科目が空白になっているところがあるけど」

「そこは勘定科目を書いて埋めるし、場合によっては虫食い問題もあるから。ただ全体が空白の勘定科目は何を入れるかという決まりはないし、減点にはならないから安心して。ただ貸借が間違っていたら元も子もないけど」

「そうか。まぁ精算表に書いてある順番通りに書いたほうが無難だな」


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