習うより慣れろ
「今回は残高試算表の解き方について説明するね」
「あれ? それって本編でもやらなかったか?」
「いや、読み返したらそんなに詳しく書いてなかったというのが理由ですね。簿記3級の試験では第三問によく出てきますし、第五問の貸借対照表と損益計算書と同様、まず最初に解答したほうが良い問題ですからね。第一問、第二問の簡単な取引問題の十倍はやったほうがいいんですよ」
「そ、そんなに……」
「3級の合格ライン(正解率70%)に届かないのは、ほとんどこれの間違いが多いというのが理由だね」
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(資料B・平成28年9月中の取引)
①現金に関する取引
a.商品発注による手付金の支払額 ¥71,000
b.仕入高 ¥88,000
c.商品受注による手付金の受入額 ¥2,000
d.諸費用の支払い
家賃 ¥32,000 電話料金 ¥5,000
商品発送運賃 ¥3,200 収入印紙購入 ¥9,700
e.所得税源泉徴収額の納付 ¥3,800
f.当座預金引き出しによる手取額 ¥89,000
②当座預金に関する取引
a.約束手形の期日入金額 ¥111,000
b.売掛金の回収額 ¥280,000
c.約束手形の割引による入金額 ¥189,000
(約束手形の額面は¥200,000)
d.約束手形の期日支払額 ¥190,000
e.買掛金の支払額 ¥290,000
f.借入金の返済額 ¥400,000
g.借入金利息の支払額 ¥15,000
h.給料の支払額 ¥107,000
(所得税源泉徴収額¥3,800差引後の振込額)
i.現金の引出額 ¥89,000
③
a.現金仕入高 ¥88,000
b.約束手形の振り出しによる仕入高 ¥73,000
c.掛仕入高 ¥195,000
d.約束手形の裏書譲渡による仕入高 ¥132,000
e.手付金による仕入高 ¥151,000
f.掛返品高 ¥43,000
④売上に関する取引
a.約束手形の受入れによる売上高 ¥292,000
b.手付金による売上高 ¥97,000
c.掛売上高 ¥410,000
d.掛戻り・値引高 ¥26,000
⑤その他の取引
a.前期発生売掛金の貸倒れ ¥25,000
b.約束手形の振出しによる買掛金の ¥112,000
支払い
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「今回の半分はこの資料で埋め尽くしちゃったね。問題では資料Bを参考にして、残高試算表の修正をするんだよ」
「……ぜんぜんわからん」
「解き方として、まずは資料Bをいつものように仕訳ることから初めるんですけど、重複している仕訳もありますから注意してください」
「今回の問題では①aと②i、①bと③aがそれに当たるね」
……公人、資料Bの仕訳中……
「で、出来た……」
「うーん、資料Bの仕訳で30分かぁ。まぁ妥協してギリギリかなぁ」
「これでギリギリかよ? 結構早く解いたつもりなんだけどなぁ」
「3級の試験時間は120分ですからね。仕訳作業が多いのは第三門と第五門だから、その二つだけでも試験時間の半分以上は持っていかれるんですよ。あと解く時はギリギリではなく余裕をもってが理想ですね」
「あらためて問題と解答を見直すと、勘定項目の間違いや計算のニアミスがあったりするからね」
「解く時は時間に余裕を持って、見直す時は時間ギリギリまで見直すが理想なんだな」
「そういう心構えでいいよ。それじゃぁ資料Bの仕訳を見直そうか」
①
a.(前払金)71,000/(現金)71,000
b.(仕入)88,000/(現金)88,000
c.(現金)2,000/(前受金)2,000
d.(支払家賃)32,000/(現金)49,900
(通信費)5,000
(発送費)3,200
(租税公課)9,700
e.(所得税預り金)3,800/(現金)3,800
f.(現金)89,000/(当座預金)89,000
②
a.(当座預金)111,000/(受取手形)111,000
b.(当座預金)280,000/(売掛金)280,000
c.(当座預金)189,000/(受取手形)20,000
(手形売却損)11,000
d.(支払手形)190,000/(当座預金)190,000
e.(買掛金)290,000/(当座預金)290,000
f.(借入金)400,000/(当座預金)400,000
g.(支払利息)15,000/(当座預金)15,000
h.(給料)110,800/(当座預金)107,000
(空白)/(所得税預り金)3,800
i.①aと仕訳済み
③
a.①bで仕訳済み
b.(仕入)73,000/(支払手形)73,000
c.(仕入)195,000/(買掛金)195,000
d.(仕入)132,000/(受取手形)132,000
e.(仕入)151,000/(前払金)151,000
f.(買掛金)4,300/(仕入)43,000
④
a.(受取手形)292,000/(売上)292,000
b.(前受金)97,000/(売上)97,000
c.(売掛金)41,000/(売上)410,000
d.(売上)26,000/(売掛金)26,000
⑤
a.(貸倒引当金)25,000/(売掛金)25,000
b.(買掛金)112,000/(支払手形)112,000
「うん、掛返品(③f)と掛戻り(④d)による仕訳も間違っていませんね」
「そこってよく現金が借方に入ったりするけど、仕訳では買掛金・売掛金が逆になるんだよ」
「仕入れた商品を返しているから費用△の貸方。商品を返品されたら売上が減るから収益△の借方に入るんだな」
「そういうこと。それじゃぁ、各勘定項目を計上しようか」
「各勘定項目って、ぱっと見でも結構あるぞ」
「まぁ、一応やってみよう。おかしいところは指摘するからさ」
(現金)91,000/212,700
(当座預金)580,000/1,091,000
(受取手形)292,000/263,000
(売掛金)41,000/331,000
(貸倒引当金)25,000/(空白)
(前払金)71,000/151,000
(支払手形)190,000/185,000
(買掛金)406,300/195,000
(借入金)400,000/(空白)
(前受金)97,000/2,000
(所得税預り金)3,800/3,800
(売上)26,000/799,000
(仕入)639,000/43,000
(給料)110,800/(空白)
(発送費)3,200/(空白)
(支払家賃)32,000/(空白)
(通信費)5,000/(空白)
(租税公課)9,700/(空白)
(手形売却損)11,000/(空白)
(支払利息)15,000/(空白)
「計算で5分。さっきの仕訳(資料Bの仕訳)と合わせると40分以上は掛かりそうだね」
「キツイ。マジでキツイぞ……これ」
「でもあと少しですから。それでは今計算したものを資料Aの残高試算表に足しましょうか」
「あれ? でも空白になってる部分も書くのか?」
「いや問題は記入されている金額に足すだけでいいよ。でもちょっと注意しないといけないところがあるんだ」
「注意しないといけないところ?」
「貸倒引当金は仕入先が倒産した場合による損害の見積もりですから資産の△増加を意味していますよね。そのお金の一部が借方に入って戻ってきたということは……」
「その分を引くってことか?」
「そういうことです。つまり逆に生じたものは合計額から引くということです」
「ようするに『増加-減少』ということになるよ」
「勘定項目が現金などの資産の場合は『620,000+(91,000-212,700)=620,000+-121700=498300』という計算ですね」
「資料Bの仕訳をして、各勘定項目に振り替えて貸借の合計を出した数字を、資料Aの残高試算表と計上して、減少に関係ある数字を引くということか」
「お、終わったぁ~~~~っ!」
「お疲れ様です。ちなみに合計で50分はかかってました」
「50分って、すんげぇ頑張ったのに?」
「仕訳の部分でかなり時間を使ってしまいましたからね」
「うん。計算も間違ってないね。書き終わった仕訳は二重線を入れるなりして二重計算にならないよう注意しないとね」
「今回は全部を埋めて合計が合うようにという形で説明をしましたが、試験では部分的な配点になりますから、間違っていても問題はありません。ただ、どの項目が配点になるのかはわかりませんから、やはり全部の項目を正しく記入することが理想ですね」
「参考にしたテキストでは資料Aの勘定項目の横に資料Bで仕分けた金額をメモして足していく方法が載っていたんだけど、結局は『(増加-減少)+資料Aの勘定項目』の計算でも同じ答えになったから、まぁ大丈夫かな(例『(貸倒引当金)27,000(貸方)-25,000(借方)=2,000』)』『(所得税預り金)3,800+(3,800-3,800)=3,800』」
「どちらが早いやり方かは慣れるまでわかりませんから、後は練習あるのみですよ」




