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数字が苦手な少年に、お金の神様が『簿記』を教えるそうです。  作者: 乙丑
もう少しだけお付き合いください
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発生で仕分けるか、その時にやるか

「さてと少年、決算の計算って自分の会社にある元帳からやればいいって思ってる?」

「そういうものじゃないのか?」

「たしかにそうなんですけど、今回は得意先(仕入先)元帳について説明しますね」

「得意先(仕入先)元帳?」

「会計の仕訳の時に、次期をまたがる仕訳は貸倒引当金として仕訳をすると説明しましたよね? 買掛金を支払うはずの会社が倒産すると売掛金は共倒れしてしまいますから、決算の時に限らず、常に注意しないといけないんですよ」

「それじゃぁ、たとえば得意先に注文を受けて、その商品が売掛金として当座預金に入金されたという形で説明するね」


 ①A社がB社から商品の注文を受ける。

 ②商品の納品・売上

 ③売上・売掛金を計上

 ④B社に買掛金の請求書を発行。

 ⑤B社はA社の当座預金に買掛金を入金。

 ⑥A社の当座預金に入金されているかチェック。

 ⑦当座預金に入った、B社に対しての売掛金の回収。


「という流れなんだけど、ここで問題。この①~⑦の間に得意先(仕入先)元帳と預金出納帳に仕訳を記入するんだけど、どこに入ると思う?」

「えっと、①は注文だから簿記の範囲外だし、②のところでお金が動いてる。③はそれに対しての計上をしているから……。③と⑥か?」

「ちょっとおっしぃかなぁ」

「あらら……」

「まず③の時、得意先元帳に『売上/売掛金』の仕訳をします。そして⑥で生じた当座預金の入金を『売掛金』として振り替えます。最後に⑦ではB社から振り込まれた売掛金を得意先元帳に『当座預金』として振り替えるという流れですね」


 取引 四月三日に売上50,000円を売掛金とし、その料金を四月五日、当社の当座預金にて受け取った。


 【得意先元帳】

 ③4/3 売上50,000/⑦4/5 売掛金50,000


 【預金出納帳】

 (空白)/⑥4/5 売掛金50,000


「というわけで元帳に記入しないといけない仕訳は③・⑥・⑦ということになるね」

「えっと、その間にB社が倒産すると、売掛金は回収出来ないから、貸倒引当金になるんだな」

「そうですね。ただ支払期日を過ぎると回収金についての催促をするんですが、こちらとしてはあまりしたくないんですよね」

「借金取りみたいになるからか?」

「良心的に言うとそうなんですけど、あまりに未収金が滞っていると債権会社に委託する場合もあって、その支払手数料が生じますし、最悪裁判沙汰になりますから受け取る側としてはしっかり払って欲しいんですよね」

「それをできるだけ避けるために仕入先元帳に記入するんだよ」

「書き方は先程の取引を例にして、逆になりますね」


 【仕入先元帳】

 4/3 買掛金50,000/(空白)


 【預金出納帳】

 4/5 買掛金50,000/(空白)


「買掛金は負債グループだから仕訳だと増加は右になるよね。元帳の場合はその逆になるから左に記入するよ」

「あれ? 仕入れた時の仕訳はしないんだな?」

「元帳の時に説明しましたけど、補助簿の勘定項目は記入しないんですよ。つまり買掛金は仕入先元帳に入ってますから、仕入は記入しません」

「預金出納帳も当座預金で使っているからなにに対して使用したかを記入すればいいよ。こうすれば買掛金の管理ができるから……ねぇ……」

「なんでそこで口(ごも)る?」

「いや、これはちゃんと買掛金を支払ってくれる会社ならいいんだけど、これをしても払ってくれないところもあるんだよ……」

「経理って会社の台所事情(損益計算書・貸借対照表)を他の社員よりも早く知ることができる部署なんですけど、会社が有り得ない買い物(仕入や借入など)をしていると不安になるんですよ。ほらだいぶ最初に黒字でも倒産するっていう」

「つまり持ち逃げされるってことか」

「「(こくこく)」」

「まぁ、それはあくまで最悪のケースだからね」

「ところで請求書っていつ発行されると思います?」

「っ? 売り上げが生じた時じゃないのか?」

「そうなんですけど、業種によって違うんですよ」


挿絵(By みてみん)


「業種によって請求書が発行されるタイミングが違うんだな」

「少年や和美さんは販売業のお店だから引渡基準になるね。商品を購入した時点で売上が計上されるんだよ」

「サービス業でわかりやすいのはタクシーですね。目的地につくと料金を請求されますから」

「でも建設業は二種類あるんだな」

「ひとつは建物が完成して商品として売り上げた時の場合。もうひとつは進捗度に応じてだね。少年、建物で必要なものってなにかわかる?」

「土地と木材か?」

「たしかに土地は家を建てるのに必要だし、木材もそうだけど、それってあくまで材料なんだよね」

「工事進行基準は建物の進み具合によって売上を計上するものですから、長期大規模工事(工期1年以上、10億円以上など)によく使われる計上方法なんですよ」

「この間に災害とかで工事が滞る場合があるから、それを考えての計上方法だね。普通の家だったら一年もかからないし」

「……ぅんむぅ――」

「はてな? そんなに難しい説明だったかな?」

「いや、工事進行基準って、要は貸倒引当金みたいなものじゃないかなぁって」

「そのココロは?」

「工事が終わった時に支払ってもらうお金がもらえない場合があるなぁって」

「料金は会社が潰れる前にできるだけ回収したいですからね。公人くんの考えもあながち間違いじゃないですよ」


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