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数字が苦手な少年に、お金の神様が『簿記』を教えるそうです。  作者: 乙丑
もう少しだけお付き合いください
27/44

おまえのものは俺のもの(ry

ここからはおまけみたいなものです。税金の話とかやってます。

「たぶん、最終話更新してから一日くらいしか経っていないだろうけど、過去問とかテキストを勉強していて、これ引っかかるなぁと思ったやつが色々とあったので、その解き方をやっていくよ」


 取引 事業主の家の水道光熱費が50,000円分滞っており、その分に対して30%を会社の口座から支払ってもらった。なお残りは当事者に自腹を切ってもらった。


「これ、絶対止められてるよな?」

「ま、まぁそれは置いといて、とりあえず仕訳ましょうか」


(水道光熱費)15,000(費用▲)/(当座預金)50,000(資産△)

(引出金)35,000(純資産△)


「事業主が個人的な理由でお金を使った場合は『引出金』として純資産△になります。そもそも純資産は『資産ー負債=純資産』という計算ですから、本来はそれ自体が増減するというわけではありません(A10-B4=C6といったように、C自体が増減したというわけではないからです)」

「この取引の場合、個人的な理由(会社ではなく家の費用)だから、その分会社に立て替えてもらって、残りの費用を事業主が払うってことになるんだよ。資本金は営業をするための資金だから、資産でもないし負債でもないからね。まぁこの場合は光熱費の過不足を支払ったってところかな」

「えっと、和美叔父さんや亜紀おばさんみたいに『個人営業によくある仕訳』ってことか?」

「そう。経理っていうのはなにも会社だけじゃないからね。ただ個人営業の場合において、次の例が引出金に当てはまるよ」


 ①店主個人の所得税・住民税

 ②店主の事業用現金の持ち出し

 ③店舗商品(鮮魚・精肉など)を自分で消費

 ④店舗併用住宅の店主スペース分の家賃や水道光熱費

 ⑤その他、事業用資産の個人的消費など……


「みごとに個人的な理由だな。店の商品を食べるとかはよくあるけど」

「それも個人的な理由だから引出金になるね。仕訳問題の時に『引出金』の勘定項目があったら、すこし警戒したほうが良いかな」

「引出金に関しての決算仕訳は資本金から引かれているから次のようになります」


(資本金)50,000/(引出金)50,000


「これは決算の時の仕訳だからね。今まで支払った引出金を資本金としてまとめるんだよ」

「期中に引出金を返してもらったとかってのは?」

「うーんとね、それは経理とは関係ないかな」

「どういうこと?」

「えっとですね……さきほど説明をしましたけど、期中に資本金が増えるわけでも減るわけでもないんですよ。引出金というのは個人事業主(会社の社長)が使ったお金ですから、資本金から引かれるんですが、かといって期中に引出金分のお金が戻ってくるというわけじゃないんです」

「ようするに資本金を10として、決算の時に仕訳る貸借対照表のように資産-負債で残った利益が次期の純資産になるわけだから、純資産の元金がなくなるというわけじゃないんだよ。資本金が減るっていうのは最終的に決算の時に引出金を精算する以外は特にないからね」

「たとえば現金1,000円をお小遣いとしてもらった場合はどう仕訳ます?」


 (現金)1,000(資産▲)/???


「借方はすぐにわかったけど、それに対しての貸方がわかんねぇ」

「おねえちゃんの話をよく思い出してね。お小遣いってことはそれを使って買い物とかをするから……」

「資本金になるってことか?」

「そういうことだね」


 (現金)1,000(資産▲)/(資本金)1,000(純資産▲)


「さて少年、この右記の取引を見て、なにか気付くことはないかな?」

「えっと、資産が増えて、純資産も増えてる」

「でも期中は純資産のグループが増減することってほとんどないよね?」

「言われてみればたしかにそうだな」

「引出金はその資本金から引かれているので純資産のグループになりますけど、決算時に精算するので、やはり期中に資本金自体が減るというわけじゃないんですよ」

「少年、貸借対照表で資産から負債を引いた数字をなんて言うんだっけ?」

「当期純利益だっけか? たしかその分が純資産に入るんだっけか」

「正解。1,000円を元手にして、なんだかんだやって黒字なら当期純利益。赤字なら当基準損益になるよ」


【資本金元帳】

12/31次期繰越10,000/ 1/ 1前期繰越 2000

          /12/31  損益 8,000

     『10,000』/     『10,000』

          / 1/ 1前期繰越10,000


「元帳を見て気付くことはないかな?」

「えっと元帳の場合は仕訳の逆になるから、純資産の場合は左が増えて、右が減るだったよな? 二重線の後に前期繰越があって、その分が借方に入ってるから、それが次期の資本金になるってことか?」

「そうだね。それから引出金が5,000円あった場合は次のように記入されるよ」


【資本金元帳】

12/31 引出金 5,000/ 1/ 1前期繰越 2000

12/31次期繰越 5,000/12/31  損益 8,000

     『10,000』/     『10,000』

          / 1/ 1前期繰越 5,000


「本来は10,000円ある次期繰越金から引出金分が引かれているのか。引出金は資産からじゃなくて純資産から減ってるってのがわかるな」

「そうだね。現金を資本金としてもらったら、借方に現金、貸方に資本金という仕訳になるけど、資本金を使うってことはないからね」

「ではまとめとして『純資産はそれ自体が減るわけではなく、損益によって増減しますが、事業主が会社のお金を使った場合は資本金が減少する』」

「売買目的有価証券は利益が出れば資本金になるってことか」

「有価証券自体は資産だからね。それが▲になれば有価証券売却益として収益に、△なら売却損で費用になるから、収益が▲だと剰余金になって、それが損益として純資産になるよ」

「それじゃぁ、次はちょっと本編で説明した勘定に関しての訂正ですね」

「訂正?」

「他にもいろいろ修正しないといけないところはあるんだけどね。以前受取手形の被裏書人の話はしたよね?」

「えっとそれに記入されていない人以外は使えないってやつだったな」

「うん、その時に遡求権の話をしたよね?」

「あぁ、それがどうかしたのか?」

「その時に手形を切った会社に支払が請求されるって話をしたんだけど、不渡りになった場合はその手形を使った人が支払うことになるんだよ」

「……えっと?」

「ようするに、元々払う人が支払えないってことは、手形の期限があっても紙切れ同然ってこと。その費用を最後に手形を渡した人が負担しないといけないってことなんだよ」

「もちろん手形の呈示期間が過ぎれば急いで処理しないといけないんですけど、以前話した黒字でも倒産する場合がありますから」

「その時に倒産したら当座預金も凍結されるから、手形分のお金を要求できなくなるからね」

「受取手形は資産だけど、同時に負債でもあるんだな」



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