おわりに……各勘定に関して
「少年、アタイたちから本当に最期の授業だよ。今回は各勘定項目について」
「最後の最後にそれをやるんだな。でも基礎だし、忘れてることもあるだろうからいつでもこい」
「それじゃぁまずは資産からいきますね」
【現金/当座預金】
「これはさすがに説明はいりませんね」
「あぁ。当座預金は個人では持てなくて、厳しいチェックをクリアした会社が使える銀行口座で、小切手や手形を使う時に必要になるんだったな」
【小口現金】
「これは前回の話で少年が知りたかったことだね。日常で必要な経費の支払いのために担当者に前渡しされている小額の現金のことだよ」
「ってことは、買い物を頼まれてもらった時のお金もそれになるんだな」
「たしかにたとえるとしたら、それが一番わかりやすいかもしれませんね」
【受取手形/売掛金】
「手形取引で受け取ったものが受取手形。掛取引で受け取る予定のものが売掛金だったな」
「よく覚えてましたね。それじゃぁ次行きましょう」
【有価証券】
「企業の株券のことだよ。ちなみに価値の有る証券だから有価証券なんだよ」
「ほんとうか? それ……」
「――物の本に載ってました」
【商品】
「仕入れた商品のうち、売れ残ったのが商品という資産になるだったな」
「そうそう、まぁ売れ残るのは嫌だから、ある意味負債でもあるけどね」
「本来は販売する目的で会社(お店)が仕入れたり、保有しているものを言いますが、二人の話でだいたいそんなものだと思ってください」
【貯蔵品】
「文房具やコピー用紙、洗剤といった消耗するものがまだ未使用な状態だね」
「ということは使ったら消耗品という費用になるんだな」
「そういうことです」
【短期貸付金】
「貸付金はお金を貸した時のお金だから、これは早く返済された時のお金か?」
「おぉよくわかったね。当期(一年)以内に戻ってきたものを言うよ」
【未収金】
「これは以前亜紀さんのお店で話したことですね」
「えっと、ガス屋とか電気屋みたいに請求したお金を受け取っていない状態だったっけか?」
「本業以外の取引で販売したものの、お金をまだもらっていない状態。まぁ詳しくは簿記のテキストを読んでもらうとして、掛取引との違いがわかっていればいいよ」
【仮払金】
「出張とかでだいたいこれくらい必要になるだろうなぁって計算して受け取ったやつだっけか?」
「受け取らなくても、だいたいこれくらいかかるというのは同じですね。いわゆる予算のことを言います」
【立替金】
「取引先や従業員が払うべき費用を一時的に立て替えて払ったお金です」
「よく立て替えといてって言うけど、結局払うんだよな?」
「いや、お金もらわないと商品売った店は商売できないでしょ?」
【前払金/前渡金/前払費用】
「商品などの購入に先立って支払われるものです。内金や手付金がそうですね」
「あれ? 前払金って資産になるんだな」
「商品が来なかったらお金を返してもらわないと。だから資産になるんじゃないかな。前払費用は次期以降の分を前払いした費用を言うよ」
【未収収益】
「収益があった商品の金額をまだもらっていない状態ってことか?」
「そうですね。だいたいそう思って大丈夫です」
【貸倒引当金】
「ってあれ? これって取引先が倒産する可能性を考えてだよな?」
「そうですね。マイナスの資産ということになりますが、予測での金額ですから、返してもらえる可能性もあります」
「まぁ、返されないのがほとんどだけどね」
【建物/構築物】
「これは会社の店舗とか工場などのことだよな? 構築物って?」
「看板や堀、舗装道路などが構築物だよ。それから少年、倉庫や事務所も建物に入ってるからね」
【器具・備品】
「パソコンやコピー機などといった事務用品で長く使うことを目的とした高額の商品を言いますね」
「ただ十万円(中小企業では三十万円)以下のものは消耗品費として扱われるみたいだよ」
「オレからしてみたら、1万円でも高額だけどな」
【車両運搬具】
「工場や倉庫などで使われるフォークリフトや、トラックなどの、人やものを運ぶのに必要な乗り物を言います」
「デコトラもこれに入るのか?」
「商品の運搬に必要だからね。それも車両運搬具に入るよ」
【土地】
「店舗、事務所、工場などの敷地や駐車場のことですね。ただ不動産のように販売目的のものは含みません」
「その場合は商品ってことになるのか?」
「売買目的だからね、それに入るんじゃないかな」
【のれん(営業権)】
「会社のブランドイメージや信頼など目に見えない企業価値です。無形固定遺産に分類されますね」
「『暖簾に関わる』、『暖簾を分ける』の『暖簾』はこれを指してるよ」
【借地権】
「建物を建てたり、駐車場としたりなど、他人の土地を使わせて貰う権利のことだよ」
「ということはそれがなくなったら建物を壊されるってことか?」
「権利がなくなったということになりますからね。それもやむなしってことですね」
【特許権】
「新発明や発見したもので特許権を取得したものを一定期間独占的に利用できる権利ですね」
「ってことはそれが終わったらその権利はないんだな」
「いや独占的に使えなくなるだけで、その技術を使うための使用料はもらえますよ。著作権や肖像権も特許権と同じ『無形固定資産』ですね」
【減価償却累計額】
「固定資産の価値を購入後に徐々に下げて、その分を累積した金額です」
「ということは使っていた期間の分だけ値段を累積させるんだな」
「仕訳では取得原価-売れた時の値段=減価償却累計額だと思えばいいよ。それじゃぁ次は負債に属する勘定項目の説明をするね」
【買掛金/支払手形】
「掛や手形取引で購入する側が相手に払うお金だったな」
「そうだね。売掛金と受取手形の逆だと思えばいいよ」
【短期借入金】
「これもまぁ『短期貸付金』の逆だと思えばいいかな」
「期間(一年)以内に返済する予定のものですね」
【未払金/前受金/仮受金】
「これは未収金/前払金/仮払金の逆だと思えばいいよ」
【預り金】
「従業員の給料から天引きして預かっている所得税や健康保険料のことだよ。ただなにに使ったのかで違うから、仕訳問題の勘定項目をよく見て解答してね」
「注意することはこの勘定項目だけふりがながあることです」
【未払費用】
「継続してサービスを受けているものの、まだ支払っていない費用です」
「家賃とかガス代、電気代がこれに入るね」
【前受収益】
「次期以降の収益だけど、当期に受け取っている分のお金のことです」
「収益なのに負債になるんだな」
「えっとね、たとえば家賃二ヶ月分を一緒にもらった時に使われるみたいだよ」
【長期借入金】
「これはまぁ、一年以上先に返却するお金のことだね。これで負債に属する勘定項目の説明は終わりだよ」
「次は純資産に関係する勘定項目だな」
【資本金/資本準備金/元入金】
「資本金は会社を立ち上げるために株主から出資してもらったお金だね。資本準備金は資本金として計上しなかったお金だよ」
「ってことは、資本金の預金ってことか?」
「たとえるとしたらそうなるのかな」
「元入金は個人営業を始めるさいに準備した場合の事業資金です。儲けた分を加えたり、損した分を差し引いたりと毎年変動します。経営者=出資者であれば、意思決定は自由ですから、株式会社のように複雑な手続きをふまなくても増減させることができます」
「株式会社でいうと純資産グループ全体に相当する科目でもあるんだよ」
【利益準備金/任意積立金】
「企業が儲けたお金のうち、法律にそって積み立てた金額のことです」
「100円の儲けを出して、20円までしか貯金できないみたいなものか?」
「そう思ってもまぁいいかな。『任意積立金』は利益の一部を会社が自由に積み立てたものだよ。まぁ法が怖いなら利益準備金に沿ってやったほうがいいかな」
【繰越利益剰余金】
「会社が儲けたお金のうち、まだ処分の決まっていない金額です」
「資産-(負債+純資産)で0にならなかった場合にもちいられるよ。詳しくはこちら(第二十二話)を参考に。これで純資産に属する勘定項目の説明は終わり。次は費用の説明をするね」
【仕入】
「販売する目的で商品を仕入れることだから、費用の勘定項目で一番使う文字だね」
【給料手当】
「従業員に支払う給料だけど、保険金や年金もこれに含まれるよ」
「じゃぁ預り金もこれに含まれてるってことか」
「そういうことになりますね」
【福利厚生費】
「従業員のおやつとか病院代がこの福利厚生費になります」
「慰安旅行とかもこれに入るのか?」
「従業員の慰安を目的にしてますから、福利厚生費になりますね。それ以外だと旅費交通費になります」
【会議費】
「取引など仕事に関係のあるものですね。会場の使用料、資料作成に必要となった費用です」
「その際に食事をしたのもこの会議費になるんだったな」
「よく覚えてるね。仕事に関係のある食事なら会議費になるよ」
【諸会費】
「会社が加入している業界団体、町内会とかに支払う会費です」
「カードの年会費とかもこれになるのか?」
「会費だからね。それも諸会費になるよ」
【交際費】
「これはさすがにわかるでしょ?」
「友達との遊びに使ったお金とか?」
「そうそう。取引相手や得意先への贈答、接待のために使ったお金だね」
【広告宣伝費】
「商品の売上を上げたり、会社のイメージを上げるための宣伝効果に必要な費用です」
「商品のCMもこれに入るのか?」
「そうだね。ただ高いお金出しても収益が低かったらただの赤字だけど」
【旅費交通費】
「旅費は旅行に使ったお金、交通費は移動手段に使ったお金ですね」
「出張も旅費になるんだったな」
「業務に必要ですからね。ただ社長のプライペートは旅費になりません。あくまで業務に必要となったものを仕訳ます」
「それが利益に関係があったら旅費になるけどね」
【賃借料】
「パソコンやコピー機などのリース料ですね」
「リース料?」
「企業によっては機械を借りることがあるから、それに対する代金のことだよ。レンタル代金とも言うかな」
【支払家賃】
「うん。これはさすがに説明いらないかな?」
「店舗や事務所の家賃だな」
「そうですね。それから月ぐ……月極駐車場の代金もこれに入ります」
「お姉ちゃん、今月極って言いかけたでしょ?」
【水道光熱費/通信費】
「これ、説明する必要ある?」
「いや、説明はしておこう。水道、光熱、通信費のことですね。ただし注意することがあって、製造部門で使った分は含まないんですよ」
「ってことは、工場の光熱費とかは含まれないってことか?」
「工場は電気がないと事業に影響がありますからね。付随費用と一緒だと思います」
【消耗品費】
「ボールペンやコピー用紙など、使ったものに対しての費用ですね」
「使わないものは貯蔵品になるよ」
「(それさっき貯蔵品の時に言ってたけどね)」
【支払保険料】
「会社が入っている火災や生命保険に支払うお金だね」
「預り金で支払う保険とは扱いが違うんだな」
「あれは従業員個人の保険料を支払うものですからね。これは会社の保険料に対して支払うものです」
【支払手数料】
「少年、手数料3%で100円だとどうなる」
「103円ってことか?」
「という二人のやりとりとはちょっと意味が違いまして、正しくは金融機関への振込手数料や、税理士、弁護士など外部の専門家に支払う報酬です」
【修繕費】
「雨漏りを直すのに必要となった費用だね」
「うん。わかりやすく言うとね。会社が持っている建物や機械、パソコンなどの修理代、メンテナンスにかかった費用のことです」
【租税公課】
「印紙税、固定資産税、自動車税などの『租税』や、印鑑証明書の発行手数料などの『公課』に支払われるものです」
「百均で売ってる印鑑にも手数料があるのか?」
「いやあれにはないよ。会社特有の印鑑にたいしての印鑑証明書だから。個人でもちゃんとしたやつは結構高いよ」
【減価償却費】
「これに対しては減価償却費の話をした時のやつを参考に」
「ズルはダメだからね。有形固定資産の耐用年数に対して価値の減少分を費用にしたものです」
【貸倒引当金繰入/貸倒損失】
「掛や貸付金のうち回収できないと見積もった額を費用化したものです」
「貸倒引当金が費用になるんだな」
「そしてそれがほんとうに回収できなくなったのを『貸倒損失』と言うね」
【研修費】
「新人研修など業務に必要な知識、技術の習得を目指した社員教育にかかった費用です」
「ってことで少年、アタイたちにも研修費出しなさい」
「……それってそっちが出すんじゃないのかとツッコミたい」
【雑費】
「商売のためにかかる費用で、金額も大きくなく発生もまれなものをまとめて処理する科目ですね」
【支払利息】
「借入金にたいして支払う利息です」
「収益の『受取利息』はその逆位置になるんだな」
【有価証券売却損】
「売った株券の取得原価に対して損をしたことだね」
【雑損失】
「他の勘定科目に当てはまらない、本業以外で生じた費用のことです。罰金もこれになります」
【固定資産売却損/固定資産除却損】
「これも『有価証券売却損』とおなじだね。所有している固定資産を売った値段が取得原価より安かったらこれになるよ」
「そして固定資産を廃棄処分した時に使ったお金が『固定資産除却損』になるんだな」
「そういうこと。ほんじゃぁ最後は収益に属する勘定科目だよ」
【売上】
「商品やサービスを販売した(売り上げた)ときに記入します」
「返却の場合は借方の方に入るよ」
【受取利息】
「費用の支払利息の逆ですね」
「貸付金の利息に対して受け取るお金だな」
【受取家賃】
「土地や建物など貸借用不動産を貸して受け取った家賃だね」
「思ったけど、これってアパートの大家だとどうなるんだ?」
「えっと、部屋の家賃としてもらっているので同じになりますね」
【受取配当金/有価証券売却益】
「株券の配当金として受け取った金額です」
「そして有価証券を売った時に取得原価より高かったらその分、『有価証券売却益』として仕訳るよ」
【雑収入】
「これは雑費と逆の意味ですね」
「親から買い物をお願いされて、そのお釣りをもらうことは?」
「それも雑収入になるよ」
【固定資産売却益】
「固定資産を売った時の利益だね」
「計算は売却価格から帳簿価額を引いた金額になります」
「とまぁ、長々とやってきましたが、実はまだこれ以外にもあったりします。ただ仕訳問題の場合は選択肢ですので、問題をよく読んでそれに当てはまる勘定項目を選びましょう」
「ただ、これを書いている時に前回(142回)の検定において、為替手形がなくなったみたいだけど、そういうのもあったという形で載せています」
今回で終了です。こんなんで受かるのかと思われそうですが、正直受かればそれは99.9%あなたの努力です。




