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経験を積んだ分自信に


「おう、公人。すまなかったな、しばらく留守にしてしまって」

「親父、大丈夫なのか? 一週間で退院してきたけど」

「あぁ、それにしてもすみませんでしたね。数学嫌いのこいつに簿記を教えてくれて」

「いえ、わたしたちも楽しめたので良かったですよ」

「あれ? 親父、もしかして神さまと知り合いだったのか?」

「あぁ、おれがお前と同じくらいの時に簿記に興味があったんだが、読んだ本がとことん小難しくてな。途方に暮れていたら神さまが現れたんだよ」

「なんかオレが神さまと逢ったときと理由に大差ない気が」

「それにしても和美にもお願いしていたが、しっかり帳簿にも売り上げを記入しているし、おれが店長をやめても大丈夫だな」

「いやいや、さすがにそれは難しいでしょ? アタイたちが教えたのはあくまで簿記の基礎と仕訳方だからね。とりあえず3級を取ってもらってからじゃないと」

「そうか。それじゃぁこんな問題はどうだ?」


 銀行から50,000円借り入れ、それをひとつ1670円の商品30個の仕入に使った。


「あれ? 親父、仕訳はすぐに出来たけど、これって現金足りないぞ?」

「少年、そういうときは『現金可不足』というやつになるね」


 (現金)50,000(資産▲)(借入金)50,000(負債▲)

 (仕入)50,100(費用▲)(現金)50,000(資産△)

 (現金可不足)100(現金)100(資産△)


「帳簿に記入されている現金よりも実際のお金が少なかったり、多かった時にもちいられる勘定項目ですね。ただこれは仮として当てられたものにおなるのでどのグループにも属しません。まぁそもそもこの問題自体『現金可不足』を想定したものになりますけどね」

「このようなこともあるということだ。それから公人、お前仕訳帳に書いていたみたいだが、別に伝票に書いても良かったんだぞ」

「伝票って、たとえばどんなふうに書くんだ?」

「『三伝票制』か『五伝票制』によるけど、基本的には次のとおりだよ」


 入金伝票……現金を使った時に書く伝票。借方がかならず現金になる。貸方はなにに使用したのかを記入。

 出金伝票……現金を使った時に書く伝票。借方にはなにに使用したのかを記入し、貸方に現金を記入。

 振替伝票……現金以外での取引に書く伝票。借方は費用や資産。貸方は負債・資産になる。ただし、現金は記入しない。

 売上伝票……日々の売上高、戻り高、売上値引などの詳細を記入する伝票。借方に現金以外のなにで売り上げたのかを記入。貸方はかならず売上になる。

 仕入伝票……日々の仕入に関わることを書く伝票。借方はかならず仕入になり、借方は現金以外のなにで購入したかを記入する。


「入金・出金・振替を『三伝票制』。それに売上・仕入を加えたものが『五伝票制』をいいます。と言っても大半は三伝票制が使われますね」

「あぁ、これならかならず現金になるし、振替はそれ以外の掛とか手形取引、口座からの振込とかになるからわかりやすいな」

「あとまとめやすいってのもあるね」

「会計ソフトがあっても、やっぱり書くのは人間だってことだよ」

「あぁ、ところで手形取引の割引については教えてもらったか?」

「呈示前に銀行に行ったら手数料の他に利息が取られることだったよな?」

「あぁ。計算式は『受取手形=手形金額-(利息)-手数料』になるな」

「それで損した仕訳を『手形売却損』って言うよ」

「うーん、まだ覚えることがたくさんだな」

「そうだね。でも経験した分自身になるから、がんばってください」

「うし、とりあえずは簿記3級が取れるよう頑張ってみるわ」

「その意気、その意気」



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