一人になると死亡フラグがたちます
「それじゃぁ前回の続きで、ものが古くなって価値が下がるっていうのは前にも話したよね」
「有形固定資産に対する定額法と定率法で、それに合わせて減価償却費を支払わないといけないんだったな」
「在庫確認の時もそれをしないといけなくて、『品質低下』と『陳腐化』がそれに当たるね」
「どっちも賞味期限が当てはまるな」
「お、よく気付いたね」
「さすがに小売店に住んでる手前、これくらいは気付かないとな」
「『品質低下』は商品に傷があったり、賞味期限で売り捌きたいために商品の価値を下げること。『陳腐化』は流行遅れなどによる相対的な価値の減少だね」
「『時価』って、高いお寿司屋さんに行くと、値段が全部時価って書いてあるやつか?」
「えっと、在庫確認の場合はそれとは違って、たとえば仕入れたリンゴの値段が100円だったとして、そのリンゴの中に『品質低下』の要素(傷があった)があったら、たとえ大丈夫だったリンゴでも値段が下がるんだ」
取引 現金で仕入れたリンゴ5個のうち、ひとつが紛失し、キズが入っているものが1個見つかった。取得原価は1個100円だが、1個60円でしか販売できないことがわかった。無事だったものは80円で販売した。
(仕入)500(費用▲)(現金)500(資産△)
(繰越商品)300(資産▲)(仕入)300(費用△)
(商品評価損)100(費用▲)(繰越商品)100(資産△)
(棚卸減耗費)100(費用▲)(繰越商品)100(資産△)
「『商品評価損』の求め方は、商品評価損=(原価-時価)×実地棚卸数量から求められます」
「なんかややこしくなるな」
「そうだね。右記の取引を例にするなら、(100-60)×1=40が『品質低下』があった商品の値引き値。(100-80)×3=60が時価低下があった商品の値引き値だよ」
「そのふたつを合計したものを『商品評価損』として勘定されます」
「この取引は100円だからなんとなくわかったけど、数字が細かくなると大変だな」
「少年の言う通り、多分これが一番きついかもしんないね」
「それじゃぁ、減価償却について改めて勉強してみようか」
「固定資産の定額法や定率法を使って計算するんだろ? それってその年にやるからめんどうじゃないんじゃないか? それに土地なんて簡単に手放さないだろ?」
「そうなんだけど、それを販売している不動産の場合は土地や建物は有形固定資産であると同時に商売をするための商品でもあるんだよ。どっちも資産ではあるけど、やむなくして売却(除去)する可能性もあるんだ」
「当期を四月初日から三月末日までとして、七月二五日に売却があったとするよ」
取引 400万円の機械を売却することが決まった。耐用年数8年を定額法として、期首薄価を200万円とします。この機械は150万円で売却でき、その代金を小切手で受け取りました。
「少年、これを仕訳られるかな?」
「仕訳る以前に『期首薄価』ってなんだ?」
「その当期のはじめにあった資産の帳簿価格ですね。取得原価から『期首簿価』を引くと、それが何年使っていたのかってのもわかります」
「えっと、ということは耐用年数が8年だから400÷8=50で一年間の値下げは50万円ってことになるから……400-200=200で半分になるから、使用年数は4年ってことか?」
「正解。それから減価償却は月単位で計算されるんだ。これはいつ売ろうが月単位で計算される」
「……ということは50を12で割らないとといけないってことか? でも小数点が出て……(プスプス~~)」
「なんか頭から煙出てるけど、計算するのは持っていた期月まででいいんですよ。つまり四月から七月なら四ヶ月がそれに入りますね」
定額法
減価償却費=取得価格×償却率×使用した月数/十二ヶ月
定率法
減価償却費=『期首簿価』×償却率×使用した月数/十二ヶ月
「前回詳しく説明してなかったので、主人公が困惑していますが、定額法と定率法の減価償却費はこのように算出されます」
「えっと、ってことは200(期首簿価)×50(償却率)×4/12(使用月数)ってことになるのか? っても、計算が合わないんじゃないのか? 借方と貸方の合計が合っていないとダメなんじゃ?」
「それは後で説明するとして、一度わかるところまで仕訳てみよう」
(減価償却累計額)200(費用▲)(機械)400(資産△)
(減価償却費)50/12(費用▲)
(現金)150(資金▲)
(仮払金)50(費用▲)
(単位・万円)
「いちおう仕訳てはみたけど」
「その時の減価償却費がわからないからこういう書き方になったんだね」
「だけど不明の部分を仮払金として仕訳ているところは評価するかな。それじゃぁ、使用年数が四年だったらどうする?」
「え? っとそれなら償却率は0.25で割り切れるんじゃ? ……っ! もしかして使用年数を半分にして償却率を求めるのか?」
「気付いたみたいだね。もちろんこれでも小数点は出るけど、割りやすくはなったと思うよ」
400万×0.125×4/12=166,667(小数点切り捨て)
「さすがにこれだと文字数と単位がおかしくなるから、今回は減価償却費を167,000円として計算するね」
(減価償却累計額)200(費用▲)(機械)400(資産△)
(減価償却費)16.7(費用▲)
(現金)150(資金▲)
(仮払金)33.3(費用▲)
(単位・万円)
「これで売却時の仕訳が合うんだな。でも仮払金がスッキリしないってのは気がかりだな」
「それなら、今回は資産を売却して生じた仮払金だから、『固定資産売却損』という勘定項目に置き換えるといいですよ」
(減価償却累計額)200(費用▲)(機械)400(収益▲)
(減価償却費)16.7(費用▲)
(現金)150(資金▲)
(固定資産売却損)33.3(費用▲)
(単位・万円)
「機械を売った時の損益に費用が必要なのは、商品を値引きした時と同じになるんだな」
「そうね。減価償却は商品の耐用年数や税率とかで変わるから、今回は例題として簡単にしてるけど、こういうやり方だって頭に入れておいたほうがいいよ。これを固定資産ごとにやって、最終的に当期の固定資産の借貸の残高を計算していくんだよ」
「それじゃぁ、次は貸倒引当金の整理をしようか」
「取引先の債権が取れなくて、そのうちのいくらかを費用として処理することだっけか?」
「それだけ覚えておけば今はいいよ。それじゃぁ左記の仕訳を見てください」
(貸倒引当金編入)40(費用▲)(貸倒引当金)40(資産△)
「前にやった時と仕訳かたは一緒だな。相手が返せないかもしれない金額を費用▲にしたやつが戻った場合の仕訳だな」
「そうだね。というか仕訳方については教えることがあまりないんだけど、それじゃぁ、たとえばこういう取引があったとするね」
取引 前期の12月に、120万円を取引先に返済期間を六ヶ月として、貸付金を口座に振り込みました。ところが五月の支払期日が来ても返済が済まされていません。支払いの催促に対して取引先は、支払利息を本来の月返済に対し3%加算して払う代わりに、七月の中期決算でまとめて支払うといい、それを了承しました。最終的に入る貸付金の返済はいくらか仕訳てください。
「という問題だよ。まぁこんなことは余程の信頼がない限りは有り得ないけどね。なお元の支払利子は5%、受け取っていた返済金は現金とするよ」
「えっと、まず貸付金から支払期間を割ればいいんだから、返済は20万円と利子が5%だから、もとの返済金は21万円か」
(貸付金)1,200,000(資産▲)(現金)1,200,000(資産△)
(現金)210,000(資産▲)(貸付金)210,000(資産△)
「これが五月の支払い催促まで払われていたってことは、四月までだから、21万×4=84万円ってことでいいのか?」
「そうですね。それから取引ではそれ以降の支払利息に3%を加えていますから」
「5+3=8になるから、五月と六月の支払利息は16万円になるから……」
(貸付金)1,200,000(資産▲)(現金)1,200,000(資産△)
(現金)1,272,000(資産▲)(貸付金)1,200,000(資産△)
(空白)(受取利息)72,000(収益▲)
「こういうことでいいのかね?」
「正解正解。さてここからが本題。取引の問題では前期の十二月からの貸付金になってるから、当然その時の『決算整理』で貸倒引当金をしてるはずだよね? それじゃぁ貸倒引当金がいくら当てられていたと思う?」
「えっと『決算整理』は当期にかかわるものだけを計上するわけだから、もしかして四月からの受取利息を含んだ現金を計算するのか?」
「……ちょっと惜しいかなぁ」
「惜しい?」
「考えとしては間違っていないんですが、次期をまたがる借入金(貸付金)や掛、手形取引で生じた後払(受)金などは貸倒引当金として当期末に計上します。この問題が当期として置き換えると、支払期日は来期の六月になりますよね?」
「言われてみればたしかにそうなるな」
「黒闇天の問題は前期の借金(負債)となりますから、四月以降の受取金が前期の決算で貸倒引当金として当てられているものだとしたら、まずそもそも売掛や貸付金の何%を貸倒引当金に当てるのかなんですよ」
「なるほどなぁ、それがわからないといけないのかぁ」
「まぁその答えはいずれやるとして、そろそろ貸倒引当金に対しての決算方法を教えるよ。たとえば前期に出した当期に対する引当金が残っていたとするね」
「運よく倒産しなかったり、売掛金を持ち出しされなかったんだろ? それだったら請求してもいいんじゃないか?」
「たしかにそうしたいところですけど、たとえば期末に引当金の残高が150円あって、次期用に300円計上する必要があった場合、次のような事ができるんです」
一・残っている引当金をチャラにする。
二・残っている引当金に不足分を追加する。
「一は『洗替法』と言って、残っている引当金を一度なかったことにして、次期分をあらためて計上するやり方」
「つまり、もう一回計算しなおすってことか?」
「そうですね。一度残高を『貸倒引当金戻入』という収益▲にして、あらためて300円を『貸倒引当金繰入』として仕訳る方法ですね」
(貸倒引当金)50(資産△)(貸倒引当金戻入)50(収益▲)
(貸倒引当金編入)300(費用▲)(貸倒引当金)300(資産▲)
「あれ? 普通、資産△は貸方で、資産▲は借方の方に入るんじゃ?」
「えっと、貸倒引当金自体がちょっと特殊で、相手が支払えないかもしれない金額をあらかじめ費用として計上するわけですから、この場合、借方にある貸倒引当金は資産の△の減少。貸方は資産の△の増加と思ってください」
「えっと、つまり資産であって資産ではないってことか?」
「そういうことだね。そもそも貸倒引当金自体が相手が払えないかもという予測を持って仕訳られるから。それじゃぁ二について説明するね」
「二は『差額補充法』というやりかたですね。次期用に見積もっていた引当金から残高を引いたもので『洗替法』に比べて仕訳も一行で、シンプルですね」
(貸倒引当金繰入)150(費用▲)(貸倒引当金)150(資産▲)
「これはこの話の最初に出てきたやつと一緒か。あれ? それだったらこれでいいんじゃないのか?」
「いや仕訳帳には確定したものしか書けないから、これはあくまで仮としてなんだよ」
「将来的に有り得るかもしれないのを予測して仕訳るんですよ」
「ややこしいなぁ、仕訳るとしたらあまりやりたくないな」
「というか借金をしたら利息を払わないといけませんし、返せない金ならそもそも借りないほうがいいんですけどね」
「まだ話すことがあるけど時間だし、今回はこれまでだね」




