表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/44

桃鉄をやって日本地理を覚えた


「今回は今までの総仕上げ。決算書について説明します」

「まず最初の段階として試算表について説明するね。今まで書いた元帳の鑑定の借方と貸方それぞれの合計を算出したものを『合計試算表』となります」

「単純にそれぞれの合計を出すだけなんだけど、これは転記したさいの誤りの有無の確認です」

「仕訳帳から転記された元帳の合計が仕訳帳と合っていないといけないのか」

「そう。会計ソフトを使うから計算は楽だけど、けっきょく人の手で数字が打ち込まれるから、間違いが生じる場合もある。計算をして一円でも違いがあったら確認の繰り返しだよ」

「補助簿が必要なのはそういう細かい金額の出入りの確認をするためでもあるんだな」

「そうだね。もうひとつ『残高試算表』というものがあって、こっちは元帳の残高を算出したものです。たとえば現金の元帳を例として」


 現金

 (売上)40,000(機械)40,000

 (支払手形)50,000(仕入)30,000


「この場合、借方の合計が9万円に対し、貸方が7万円ですので残高2万円になります。逆の場合は△になりますね」

「これを元帳ごとに算出していって、借方-貸方=がその項目の残高になるよ」

「『合計試算表』の借方から貸方を引いただけでもいいのですが、より詳しく確実に求めるなら勘定項目別に算出してまとめたほうがいいですね。『合計試算表』から算出された残高と、『残高試算表』から算出された残高が一致すれば試算表の作成は完了です」

「月別に行なわれる決算書作成の場合もやりかたは一緒だし、毎日やっていても負債や仮受金といった突然の支出があるので、やはり最初の段階としてクリアしておきましょう」

「これを決算書として、知りたい人に報せるのか。なんか思ったより簡単そうだな」

「……あのねぇ、そんな簡単なもんじゃないんだよ。むしろここからが大変なんだから」

「――えっ?」

「これに加えて、仕入れた商品がどれだけ残っているのか、固定資産にどれだけ減価償却費を支払わなければいけない、負債が後どれくらいで完済するのかとかいろいろあるんだから」


「それじゃぁ話を『決算整理』に移りますね」

「今回はほとんど会話しかないけど、あきないで聞いてあげてね」

「(誰に言ってるんだろ?)『決算整理』は企業活動を一年ごとにわけて行います」

「前期からの負債とかあるのに、そんなことしていいのか?」

「もちろん前期からの負債も計算に入れるよ。でも『決算整理』はその年に発生した損益計算が目的だから、来季に持ち越しになったやつは計算しないようになってる」

「『決算整理』は商品の時価(価値)の変動を見るためにも必要になるんだね」

「たとえば白菜を二年間同じ数で仕入れて、その誤差を確認するためでもあるんだな」

「そうだね。野菜は特に時価が激しいから(気候によって仕入時の収穫量=仕入値が異なるため)利害関係者は一番知りたい情報だね」

「商品在庫、貸倒引当金、減価償却、有価証券の評価、『見越(みこし)』・『繰延(くりのべ)』などを検べて報告書にまとめます」

「前の四つはなんとなくわかるけど、『見越』と『繰延』って?」

「『見越』というのは、すでに収益や費用が発生していると考えられるけれど、いまだに計上がすんでいない取引に対して行なわれる処理だね」

「えっと、掛とか手形取引みたいに後払いとか、利息を貰ったりとかそういうやつか」

「そうだね。仕訳としてはこういうふうになるよ」


 取引 受取利息が20万円発生していると見なす場合。

 (未収収益)20(資産▲)(受取利息)20(資産△)

 (単位・万円)


「この取引が支払利息だった場合は未収収益が支払利息、受取利息が未払費用として仕訳られます。さきほど説明しましたが『決算整理』は当期(またはその月)に発生したものを調べるので、それ以降(以前)になるものは算出されません」

「『繰延』はその逆で、計上しすぎた金額を調整する役目があるんだよ」

「一年ごとに分けてやるんだよな? だったらその利息や負債も計上しないんじゃ?」

「あのね、おねえちゃんの話を聞いてた? 前期から続いている負債や利息があっても、期間を跨ぐとその年のものしか調べないって。ようするにその年とは関係のないものを除外するんだよ。利息が前期に発生したものだったとしたら、それはその当期のものだから、当期より前のものは決算整理には含まれないんだ」

「あくまで『決算整理』はその年の企業成績を作るためだから、来季に伸びた場合も同じですね」


 取引 当期以外の費用430万円を計上している場合

 (前払費用)430(資産▲)(未払金)430(負債▲)

 (単位・万円)


「これも『見越』と同じやり方で、その期間内で派生したもの、お金が支払われたもの以外は計算しなくてもいいわよ」

「たとえば家賃4万円の家に住んでいる場合、前期の十月から住んでいる場合なら、三月までに支払った家賃は計算の中に入れず、四月以降の家賃の支払金を『決算整理』に含んでください。逆に当期以降にお金が仕訳られるものは記さなくても大丈夫です」

「次に、たとえばボールペンを購入した場合、仕訳では費用と資産どっちになるかな?」

「使えば費用、残していれば資産になるんじゃないか?」

「正解。『決算整理』でも同じで、来期に持ち越された仕入や消耗品は資産として処理されます」


 取引 期中に筆記用具として1本100円のボールペンを十二本、現金で購入。そのうち8本が残ったので、決算にあたり未使用分を費用から資産へと振り替える。

 (消耗品費)400(費用▲)(現金)1,200(資産△)

 (貯蔵品)800(資産▲)(消耗品)400(費用△)


「これは以前話したこと(第十二話)と同じだから、説明はそちらを読んでね」

「これが仕入れた商品だった場合は、期首+期中ー売れた数=期末在庫となるから、少年、ちょっと次の取引を仕訳てみようか」


 取引 前期に残った仕入品12個を資産として、当期に累計で53個が仕入れられ、そのうち43個が売れました。合計で期末在庫はいくつ残っているでしょ?


「これって小学生の問題だよな?」

「この取引は個数だけの計算だからそう感じるだろうけど、これに100万円とか高額商品も出てくるから、やっぱり簿記は難しいと思うよ」

「そうだった、そうだった。えっと期首+期中-売れた数=期末在庫だから……12+53-43=22。期末在庫は22個だな」

「うん。本当は在庫処分とか棚卸減耗とかでもっとすくなくなるだろうけど、今回はそういうことは言わなかったから、数は合ってるよ」

「商品の在庫は『商品有高帳』と実際に店に並べられたものを数える『実地棚卸(じっちたなおろし)』を照らしあわせて、帳簿の在庫とお店の在庫が合致していれば大丈夫だよ。ただそれがひとつでも異なるとそれを合わせるための費用を加えないといけないんだ」


 取引 在庫確認をしたさい、13個仕入れていた一個200円のケーキが4個売れ残っていました。しかし売上を確認すると10個売り上げられていました。なお受け取った代金はすべて現金とします。


「さぁ少年、答えてみて。ちなみに仕入れた時の金額は書かなくてもいいよ」

「えっと、仕入れたケーキの全体の値段は200×13=2,600。そのうち4つが売れ残っているから、200×4=800になるから売れたのは9個だよな?」


 (仕入)2,600(費用▲)(売上)1,800(収益▲)

 (現金)1,800(資産▲)(仕入)800(費用△)

 (商品)800(資産▲)


「たしかに仕訳るとそうなるけど、売上が十個になってるから」


 (仕入)2,600(費用▲)(売上)2,000(収益▲)

 (現金)1,800(資産▲)(仕入)400(費用△)

 (商品)400(資産▲)


「こういう算出になるね。だけど借方の現金と商品、貸方の売上と仕入の合計が合致しない。その場合はこう仕訳られます」


 (棚卸減耗費)200(費用▲)(繰越商品)200(費用△)


「『棚卸減耗費(たなおろしげんもうひ)』というのは棚卸が減耗した損失という費用の勘定で、帳簿と実地の数が合わなかった場合に使われます」

「万引きとかで商品を盗まれて、売上よりも仕入品がすくなかった場合も『棚卸減耗費』としてその代金を費用にしないといけない」

「盗まれたやつの代金も費用として支払わないといけないのか」

「以前帳簿に書かれていないものは持っていてはいけないって話をしたよね? それって帳簿上の売上と実際の売上が合っていないとおかしいってやつと一緒なんだよ。たとえ万引きだろうと紛失だろうと、会社(お店)はそれを合わせるために費用を出さないといけないんだ」

「……もしかして、辻褄を合わせると同じ意味の帳尻を合わせるってこれから来てるのか?」

「そう。売上と違っていたらその分余計な費用になるんだよ。たとえ10円の駄菓子でも売上≠在庫になってはいけないってことだね」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ