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日本 方針その二

更新遅れて申し訳ない……

「地下迷宮、異世界……まさか本当にそんなことがあるとは……」

オルフェウスの説明を聞いた堂島は頭を抱え、そう呟く。

「堂島君、何故君にこれを話すようオルフェウス君に伝えたかわかるかね?」

「その地方の議員だからでしょうか?」

「堂島君、その答えはオルフェウス君と協力したらわかる」

「総理……?」

「さて、老い先短い老人はもう一仕事終えてから帰るとするか。これから先は若い者同士で後は話し合ってくれたまえ」

君島はそれだけ言ってその場を後にし、去っていく。

「と、とにかくオルフェウス殿。異世界からやって来た以上、貴方には戸籍がない。地下迷宮が日本の地下にある以上、このままでは貴方にとっても我々にとっても不都合だ。オルフェウス殿の地下迷宮の資産目当てに権利を主張する者が出てくるだろう」

このまま放置すれば必ずと言って良いほどその様な輩は現れる。それ故に率直に堂島が告げる。

「そん時はぶっ殺せばいいだろう」

魔王だからか、あるいはオルフェウス本人の気質かどちらにせよかなり物騒な発言をして関節を鳴らした。

「待ってくれ。そんなことをすれば間違いなく貴方の立場が悪くなる。貴方は魔王として悪名を残しに来た訳ではなく、迷宮主として地下迷宮を流行らせる為に私の事務所に来たのだろう?」

「まあな」

「オルフェウス殿、私を地下迷宮に案内してくれないか? 戸籍を作るにしてもどんな場所に住んでいるのかを確認しなければならない」

「そんなことまでやらなきゃいけないのか?」

「戸籍を作ること自体はそんなに手間ではない。しかし戸籍を作ると共にその地下迷宮が貴方の物だという手続きをするからな」

「そもそも戸籍ってなんだ?」

「戸籍ってのは住民登録みたいなものだよ」

「正確には違う。戸籍は戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される公文書だ」

「つまり地下迷宮を植民地にするってことか?」


「……オルフェウス殿!」

堂島は土下座し頭を下げるとその場に居た二人が目を丸くさせる。

「誠に申し訳ない!」

「どういうことですか?」

優がそれを尋ねると堂島がビクリと動き、説明し始めた。

「オルフェウス殿は地下迷宮を経営したい。しかし地下迷宮を日本の領土の一つではなく、国として認めてしまうと問題が起こってしまう。オルフェウス殿の地下迷宮の利権を目的に世界各国で争いが起こってしまう。これが私達の不都合な点だ。そしてオルフェウス殿の不都合な点はその争いが原因で冒険者となる者が大幅に減少してしまうことだ」

「だからその時は……」

「しかし! 地下迷宮を日本の領土とすれば地下迷宮云々について口出し出来るのは日本国内だけだ。日本以外の国々が口出しをすれば内政干渉となり、発言力も弱まる」

「要は敵を減らしておきたいってことか?」

「それもある。しかし私はこれはオルフェウス殿の為を思ってこの提案をしている」

「どういうことだ?」

「このまま国として認めれば他国は動物虐待等のあらゆる手段で地下迷宮の利益を吸い取る。貴方とて地下迷宮の利益を横取りさせるのは嫌だろう」

「まあな」

「我々はそうはさせない。地下迷宮の魔物は害獣として認め貴方の地下迷宮の利益や経営に必要以上に口出ししない」

「必要があれば口出しはするのか?」

「日本国内である以上、税金から逃れられない。しかし地下迷宮を日本国内の公共物にし、オルフェウス殿を管理人とすることで我々が負担することが出来る」

「つまりどういうこと?」

優が頭をショートさせ尋ねると堂島がそちらに振り向く。

「早い話、地下迷宮を名目上日本政府の物にする代わりに運営に必要な金を私が出すということだ。管理はオルフェウス殿に任せているから実質はオルフェウス殿のものであるがね」

「ご説明ありがとうございます。堂島さん」

「そうするためにはオルフェウス殿を日本国民にする必要がある。名目上とは言えオルフェウス殿は公務員になるわけだからな」

「それで戸籍が必要な訳か」

「オルフェウス殿、心苦しいが地下迷宮を日本の領土として認めてもらえるか? 日本は憲法9条により戦争を放棄している。従って無理やり奪う事は出来ぬ。どうか地下迷宮を日本の領土にすることをお願いしたい!」

再び頭を下げる堂島の姿はどこか潔く、清々しいものだった。

「愚直なまでに頭を下げる……確かにアキヒサの言うとおり不器用な奴だ。だがその提案乗った。日本国民になるデメリットよりもメリットの方が大きいしな」

「ありがたい! それでは早急に地下迷宮に向かおう!」

堂島はそれに歓喜し、握手する。

「(なるほどな……政治家としては致命的だが、裏を返せば他の政治家達にこれだけ揉まれても純粋で要られる……芯の通った人間だ)」

君島の言う堂島を気に入ったのはこの素直さにあるのだとオルフェウスが感じ、それを握り返した。

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