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日本 方針その一

ようやく投稿できました…それでもいいとは限りませんが…

「堂島君、事務所へ至急来てくれ。もしかしたら日本に大きな恩恵をもたらすことになる。どこの事務所? 堂島君の事務所だ。まあ来てくれればわかる。ある程度の事情はこっちに来てから話す。では一時間後に……いやもっと早く来れる? わかった。君がそう言うならそうしてくれ。ではまた」

君島が電話を切るとオルフェウス達と目を合わせた。


「さて、オルフェウス君。これから紹介したい人物が来る。名前は堂島定光(さだみつ)。不器用ではあるが義理堅い人物だ」

「義理堅いのに貸しとか借りとか言っているのか?」

「まあ貸しだの借りだのは私が決めたことだからな。彼はそれに従っているだけだ」

「ようは誠実な人間か……」

「堂島君はまさしく優秀その物だ。国務大臣どころか総理大臣になれるような器だが、不器用故に堂島君を快く思わない他の政治家達に足を引っ張られてしまい、地元の一政治家としてしか活躍できない。もしかしたらしないだけなのかもしれないが……どちらにせよ惜しい」

「なるほどあんたはサダミツの手柄にして昇格させてやりたいということか?」

「そんなところだ。私は堂島君が本当に一政治家として活躍しないのかできないのかを見極めたい。オルフェウス君は日本を利用して地下迷宮を発展させたい。お互いに利益のある話だ」

「そうか…何にせよそのサダミツが来なきゃ意味がない。本人の意思は大切にしなきゃいけないしな」

「それもそうだな」


「ところで君島総理、何でここに来たんですか?」

それまで空気となっていた優が声を出し、君島に尋ねた。

「ん? 私がここに来てはいけないのか?」

「い、いえ来てはいけないって訳ではありませんが、野暮用とは一体何ですか? 堂島さんに会いにきたという訳じゃ、ではないでしょう?」

「ああ、そういうことか。すまないね威圧して。私がここに来た理由は勘という奴だ」

「勘……?」

「私はけして順風満帆の人生を歩んできた訳ではない。波乱万丈の人生だった。小学生時代は飛行機事故で唯一生き残り、中学の頃にはヤンチャしすぎてヤクザに追われ、高校の頃には修学旅行の途中フランス軍の訓練場に迷い込んで撃たれ、大学時代に地球に降りてきた過激な宇宙人と遭遇し殺されかけ……どれも私の勘が冴えていなければ死んでいた」

「波乱万丈過ぎますよ!?」

優が思わず君島にツッコミを入れた。優は異世界人オルフェウスと出会ったという経歴があるが君島はそれ以上だった。そんな何千何万分の一の確率で遭遇する出来事に何度も巻き込まれるのは異世界人と遭遇するよりも難しいだろう。というか宇宙人と出会った時点で異世界人と出会う確率とほとんど同じようなものである。もっとも君島もその異世界人と出会っている訳だが。


「その勘が働いたということは……」

しかしオルフェウスは優のツッコミもスルーし、話を促した。

「おそらく私を巻き込む何かがあるということだ。そしてそれが今、判明した」

「異世界人たるオルフェウスですね?」

「そうだ。私が総理大臣となり続けて25年以上も経つ。それまでの間に何度修羅場を潜り抜けてきたかわからない。しかし異世界の存在や異世界人との交渉、そして地下迷宮等を含めた非科学的な存在は私の人生はおろか、歴代の首相達の人生を含めても衝撃的なことだ」

「まあ俺としても異世界に行くのは初めてだしな。衝撃的なのはアキヒサだけじゃないさ」

「私に残された時間は長くはない。オルフェウス君、私が出来る限りのことを尽くそう」


「それでいいのか? あんたは?」

「私の勘がオルフェウス君に協力するように言っているんだ。それに私は総理大臣になりたくて総理大臣になった訳ではない。日本をより良くする為に総理大臣になったんだ。その為なら無能と言われようが総理大臣を辞めようが売国奴と言われようが私にとって痛くも痒くもない」

「君島総理って国士なんですね」

「むしろ政治家が国士でなくてどうする? 批判するのが仕事のただ飯喰らいはいらない。私が欲しいのは自分の利益関係なしに動く国士だ」

君島がそう断言し、オルフェウス達は感激した。本当に日本のことを考えており、批判だけしかしない政治家達を嫌っている様子が本当にわかったからだ。

「政治家は自分の為に働く野郎かと思えばアキヒサは別みたいだな」

「オルフェウス君の世界もか……嘆かわしいことだ。何故政治家達というのは腐るのだろうか」

「満足しているからじゃないか? まだ成熟していない果物は熟れて良くなるが熟れ過ぎると悪くなる。要するに現状に満足させないでいつまでもハングリー精神を持たせるようにした方がいい」

「……!」

君島は珍しく目を丸くし、オルフェウスの言葉を聞いて硬直し、しばらくするとオルフェウスが再び口を開けた。


「まあこの言葉も受け入れなんだけどな。この言葉を聞いてから俺は魔王になれた」

「オルフェウス君、もし検査を受ける時になったら堂島君から通してこの電話番号に繋いでくれ。検査が終わり次第、飯でも奢ろう」

「検査? 何の検査だ?」

「体に見えない病気の元になる病原菌などを調べる検査だ。もし万一オルフェウス君が病原菌を持っていて広めてしまったら取り返しのつかないことになるからな」

オルフェウスはそれを聞いて両手を上げて顔を顰めた。

「おいおい、勘弁してくれよ。俺は明日から地下迷宮の経営をしなきゃいけねえんだ。時間がかかるようなことはしたくねえ」

「オルフェウス君、その心配はいらない。検査をすると言っても昔であれば1日がかりでやる必要があったが医療技術は日々進んでいるから今では30分で済む」

「……まあそのくらいなら大丈夫か?」

オルフェウスがそう呟くとノックの音が聞こえ、全員がそちらを振り向く。


「来たか」

君島はそのノックの音を出した人物が誰だがわかっていた。故に笑みを浮かんだ。

「失礼します」

入ってきた人物は身長180cm強と日本人にしては大柄かつ筋肉質な男性だ。

「待っていたぞ、堂島君」

「総理、お久しぶりです」

この男こそが君島の最も信頼する政治家の堂島定光。君島とは違い、若々しくありながら君島と同じように政治家の雰囲気を醸し出していた。

「堂島君、私の隣に座りたまえ。この二人が君に対して話があるそうだ」

「総理ではなくこの二人がですか?」

堂島は目を丸くし、オルフェウスと優の二人を見た。

「ああ…堂島君にとっても興味深い話だ」

それを聞いて、堂島は君島の隣に座り二人に向かって尋ねた。

「それで私に話とは……どのようなものか教えてくれないか?」

堂島がそう尋ねるとオルフェウスは口を開き、説明をした。

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