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蘇我考①渡来人説

 聖徳太子の物語第2部は、蘇我馬子の子供たちの物語になります。ここで蘇我氏について整理してみたい。先に断っておきますが、これから述べる内容は史実を押さえつつも僕の考察が多分に含まれています。そのつもりで読んでください。まず、蘇我一族の出自について振り返ってみます。


 蘇我氏の出自は、武内宿禰に遡ります。実在は問われていますが、武内宿禰は大王家を支えた忠君とされ、景行・成務・仲哀・応神・仁徳の5代の大王に仕えました。彼の息子たちである羽田氏、許勢氏、蘇我氏、平群氏、紀角氏、葛城氏は、大和王権内において大きな影響力を持つ豪族として成長します。その息子の一人が蘇我石川でした。その後の系譜を見てみます。


 蘇我石川→満智→韓子→高麗→稲目→馬子


 石川から始まる蘇我一族は、実は渡来人だったのではないのか――との学説があります。根拠の一つに、朝鮮半島由来だと考えられる名前が注目されています。ただ、仮にそうであったとしても、渡来人は蘇我一族だけではありません。秦氏、東漢氏等、様々な渡来人がいました。また、現代のDNA分析をみても、古墳時代に、半島から多くの渡来人が日本列島に渡ってきたのは明らかです。


 話は脱線しますが、古事記に記されるイザナギの黄泉の国への旅は道教的世界観だし、神武東征においてイワレビコとニギハヤヒは宝を見せ合いますが、その宝の技術って大陸由来だったと考えます。また大和王権は、関東以北の人々を蝦夷と呼んで征伐に向かいました。その流れは、平安になっても鎌倉になっても征夷大将軍という役職で残っています。


 現代的な感覚では、純血の日本人とは、Y染色体ハプログループでD因子を持つ縄文人になると思います。その縄文人の生活の場は、出雲や関東以北で生活していた蝦夷だったと推測されます。つまり、僕の見解では、大王家こそが大陸由来の渡来人であり、縄文人を蝦夷と蔑み追い詰めていった――このように見えてしまうのです。


 ――日本人とは何か?


 このような日本人に対する定義が頭の中に浮かびます。しかし、古墳時代から、様々な人種が日本にやってきて混ざり合いました。人種に対して強固にこだわるのは、蝦夷の討伐といった分断を再び招きそうなので、ほどほどが良いと思います。閑話休題。


 蘇我一族の系譜を振り返ると、男系で記されていました。しかし母親は記されていません。血筋を男系にこだわるという感覚は、男尊女卑的で大陸的な思想だと考えます。古墳時代以前の日本は、卑弥呼の例もあるように母系社会だった――と、僕は考えています。そうした縄文由来の日本は、神事を担う巫女が一族の中心的な存在だったのではないでしょうか。渡来人が日本列島で帰化する時、権威ある巫女と婚姻を結ぶことで、大きな影響力を持つことが出来ます。実在性が問われてはいますが、神武天皇となったイワレビコは、出雲系の媛蹈鞴五十鈴媛(ひめたたらいずひめ)を皇后にしました。古墳時代における政治は、巫女と大王の二頭政治だった――と、僕は考えています。しかし、その実在性は記紀に記されていません。あくまでも、僕の考察になります。


 蘇我稲目の最大の功績は、その名からも推察されるように、収穫された米を貯蓄して屯倉で管理したことでした。稲目以前にも倉は当然ありました。しかし、彼は帳簿で記録することによって、全国の屯倉を管理したのです。これだけでも凄い改革なのですが、その実務能力を受け継いだ馬子は、更に発展させました。彼の名は、馬子になります。当時の馬は、現代では車に相当します。つまり、輸送というロジスティックな改革にも貢献したと考えます。その事によって、全国と大和をより身近な存在として繋いだのでしょう。親子二代の大和王権に対する功績は、画期的な功績だったと考えます。


 そんな馬子には、6人の子供が記録に残されています。 河上娘、善徳、蝦夷、刀自古郎女、

法提郎女、倉麻呂。彼らについて、次回は考察してみたいと思います。

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