いざ、隣町へ
異世界定番のモンスターゴブリン。子供ほどの身長に棍棒を持ち緑色の体表をしている。ゲギャギャギャギャと笑っている。何度見ても夢に出てきそうだ。それにモンスターと言えど人型。後方に下がっていつでも雇い主達を庇える状態で戦闘を見ているがまあ…あんまりいい光景ではない。
「オラァッ!」
「グギャッ!」
ああ、首が飛んだ。
「凍てつけ!」
「ふんっ!」
ああ、氷漬けにされて砕かれた。
『アンマリ、楽シクナイ』
「そりゃあ殺してるからねえ」
そうこうしているうちに最後の一匹が先ほど絡んできた男によって殺される。
「俺らの出番なくて良かった。しっかしどう考えても助手のやる事でもねえし危ねえよな」
『ヒカワ、コノ間保険金?カケテタ。オ前ニ』
「ぜってー、あの人より長生きしてやる」
その後も何度かゴブリンやハウリングウルフと呼ばれる音による攻撃を行ってくる狼型モンスターなどが襲ってきたがそこそこ腕の良い冒険者達なのかあっさりと討伐、撃退していた。
結局お昼過ぎには中間地点の森の小川のほとりに来たので昼休憩だと取ってきたモンスターの肉を焼き始めていた。ストリアもそちらに行っている。混ざりたくはないので離れすぎない程度に距離を置き持ってきた弁当をリュックから取り出す。
『ヒト〜リボッチノ昼〜』
「ゔっ…いや、まあ…面倒臭いじゃん?合わせるの、なんか言われそうだし」
『ダカラ友達イネエンダヨ』
痛いとこついてきやがる。過去のトラウマなのかあまり人と深く関わり合いたくないのだ。勿論喰わず嫌いのようなもので話してみればいい奴は幾らでもいる。でも中々に一歩踏み出せないのだ。
「いいよ、頭の中のお友達が今はいるからな。それじゃあいただきます。さーて、昨晩握っといたおにぎりとたこさんウインナー、卵焼き…」
それは昔から弁当と言ったらこれと決めていたものだが…おかしい。いれた覚えのない、ドス黒い球状の物体が入っている。
「……」
『ダークマタート手紙ダ』
「いや、うん…」
恐らくというか確定で自称宇宙人兄だろう。これで可愛げのある「お仕事頑張って」なんて手紙書かれてれば嬉しいのだが。現実はそんなに甘くない。
明日の晩飯はオムライスとハンバーグを所望する。山盛りのポテトもだ。それと最近寒くなってきた。私とグラフィーに暖かな服を買え。
追伸。毒団子を作った食べれば即死するので有効活用しろ。
フォルテ
…は?
「…あんのクソガキがぁ!人をおちょくんのもいい加減にしやがれッ!」
「「ッ!?」」
手紙を破り捨てながら思わず叫んでしまい一斉に全員がこちらを向く。
急いで愛想笑いで誤魔化して黙っておにぎりを頬張る。
『大変ダナ』
「おかしい。最近は連日仕事だったが、しっかりと休んだのに…疲れてきた。
でも勝手に住み着かれてんだ。せめて家賃くらいは払ってもらいたい」
『俺モ?』
「アイツらに」
そもそも数えるだけでアホらしくなってくる。何度アイツらに迷惑をかけられたことか…それこそ星の数である。まあ、妹はまだ可愛げがあるが兄はやることなすこと人を小馬鹿にしてるし、叱っても宇宙人だからそんなこと知らないの一点張りだ。いつかドクの研究室に売っぱらってやろう。
「いくら払うと思う?」
『生身ヨリ宇宙船ノパーツノ方ガ買ウダロ』
「ああ、それは言えてる」
今度は小声でメタルと話していたのだがそれに反応して近くの草陰を揺らして必死こいて逃げようとしている生物を見かける。
それは人型で薄い空色の髪にピンと立つ獣人特有の耳を持つ人間型の生き物…いや、獣人か。最近人間らしき生物や変態とばかり会っていた為にまたらしき生物かと思った。
『馬車ノ中ノ獣人ダ』
「へー、亡命目的か?まあいいや。おーい、そこの空色さんー。そっちモンスターの巣あるらしいぞ」
流石に目の前で死なれるのもどうかと思い声をかけるとビクリと肩を震わせた後に「フーッ」とあからさまに敵意を持って威嚇してきた。
そう言えば誰かにだったか聞いた話だが多種多様な生物のアマゾネス的な集落があるというのを聞いたことがある。それこそ知的生物からモンスターまで兎に角メス或いは女しかいなく男禁制らしいと。流石に声かけただけであれだけ威嚇して今にも襲ってきそうなのだ。もしかするとそこ出身なのかもしれない。
「_p&mgba?」
「え?なんて?」
「…GsG. 'gepjk#Igya 'awj# hI.k(A(A j EVBT/" jwIg_cJbGIgj」
「やべえ、何言ってっかわかんねえんだけど」
『俺モ翻訳ハ無理』
それから独り言なのかぶつぶつと言ってラチがあかないと思ったのか威嚇はしながらも少女はしきりに辺りを見渡し俺以外がいないのを確認すると目の前まで来て近づいてきた。俺、もしかして捕食でもされる…?




