今日のお仕事
モンスターも一応は生物なので視覚器官を潰して心臓を潰せば死ぬ。それは別に習わずとも知っていることだ。ただ、やはり異世界の生物というだけあって常識が通用しない。普通とは逆の場所に心臓があったり複数の心臓、体をバラバラにしても生きてる。そもそも刃が通らなかったり、下手すれば体をすり抜ける者もいる。それにドラゴンだとか相変わらずどこの世界にも大抵いる元いた世界側の神話に名を馳せる魔獣云々などもいるらしいが多分選ばれた勇者様とかが倒してくれるだろう。
それにしたって魔法の才能も全くなく、武器屋で買ったやっすい槍一本で頑張ってきたのだ。まあ、この間の全長二百メートルくらいの巨大生物を一刀両断したチート能力の人とかそもそも投げたナイフが確実に急所に刺さるチート能力とか嫌になってくる事はよくあるが。
と、そんな事を考えているとヒカワから給料振り込んでおいたとケイタイにメールが来る。額は…まあ、いつもよりは多い感じかな。
「なんか、随分とハイテクなもん持ってるんだね」
「え?ああ、これ仕事用のですよ。なんかあった時用にって上司が」
イビルタウンを出て少し経ってから急に話しかけられた。依頼主達は三人で来ていたのだが1人だけ随分と普通そうな人がいてその人が話しかけてきた。
「あ、僕はストリア ヤマダと言うんだ。君転生者だろ?」
「はぁ」
「僕の妻もね、転生者なんだ。無限の魔力。よかったよ息子にも遺伝してて。
ああ、関係ないね。ごめんごめん。話がズレるんだけどね。実は僕もお金なくてさ」
「ああ、貴方も肉壁に」
「そうそう、君は?エンスケ君。どんな能力を持ってるの?」
「体から金属片出す能力」
「へ?はははは!おいおい、教えてくれたっていいじゃないか〜」
「教えたじゃないですか」
なんだこの人、妙に絡んできて。
と、本隊に合流したのだろう。鎧着たりローブ着たりとこちらに来て見慣れた冒険者たちがいる。基本装備なのだろう。色や細かい所が違うが大体同じような格好だ。その奥には随分とでかい馬車。それほどに悪路なのだろうか?
「見てよエンスケ君。あの馬車…あれの中にくだんのレアモンスターがいるのかな?」
「さあ?」
手乗りサイズとかなのだろうか?どんな生物なのかは知らないが。まあ、デカデカとしたものよりは持ち運びが楽そうでいいとは思うが…
『ンーーー?』
「どした?」
『獣人!』
「へえー、獣人とかいるのか」
「え?」
「いえ、こちらの話なんで」
ヒカワから『お仕事頑張ってね』とメールが来たのを無視してここにいる面々を再度見る。自分を含めて13人。剣も魔法もあるが勿論ジュウがある。詳しくは無いが多分マシンガンなのだろう。魔法でどうにか出来るし多分錬金術とかのチート能力の人が量産でもしたのだろう。でかでかと何かのロゴが彫ってある。
しかしファンタジー世界に来て銃見るのもなんだけど1番ぶち壊してるのはケイタイだ。流石にゲームなどは出来ないしインターネットもないが簡単なメールと電話…電話と言っていいのかはわからないが通話機能が備わっている。聞いた話によれば大気中の微量な魔力を使っているらしい。多分それもチート技術のやつ。よっぽど大気中の魔力が低いか或いは高い以外の場所では使えるとか元の世界の物よりも使い勝手がいい。しかも本体は放っておけば勝手に魔力を充電するとか…ヒカワから渡された時に言われた。高級品らしく王族、貴族は当たり前でその他金持ちは必需品。一般人も金さえあれば買ってる。
話が長くなった。まあ、要するに異世界来たのに異世界やってないなって話だ。
そんな事を考えていると歩きながらではあるが周りに冒険者達が集まってくる。
「貴族のボンボンがこんなところに何の用だ?チビって泣く前に帰りな」
「え?ああ、違うよ。俺はヒカワ探偵事務所の所長助手のクロバネだ。よろしく」
「探偵?ああ、異世界から輸入された国家公認ストーカー共か。そんな奴が何の用だ?」
「肉壁役だ。無能な冒険者君たちが仕事をしなくて雇い主に危害が加わったら大変だからな」
『誇レルモンジャネエ』
「そうかそうか。じゃあ、あそこの雇い主様に精々お前らに高い金払ったって思わせてやるよ」
「其奴は助かる。アイツらよりも上町の貴族に半日話を聞けば多く金がもらえるんでね。正直割りに合わない」
『ケタケタ』
「あ?」
現在複数人の冒険者達に囲まれストリアは縮こまってしまっているが正直な話、こちらの世界の環境が酷すぎてもう怖いお兄さん、お姉さん方に囲まれても特に恐怖とかは感じない。
「おい、何やってんだ!モンスターだ!」
『出番ダ』
「いやー、冒険者は毎日こんなのと戦ってるなんて大変だねえ」
「チィッ!おい、陣形を組むぞ!馬車に近づけさせるな!」
「「おうっ!!」」




