2-23.人員増強(1)
なんか、ドワーフさん達がいっぱい。
いきなりそんなに人数増えたら嬉しい悲鳴だ。
断崖絶壁のある島には長老に話をして、とりあえず1日分の肉類を食料として置いてきた。ユッカちゃんの鞄の中なら腐らないけど、外に出すと腐るからね。また、緊急時にはエイサンに連絡をくれるように言っておいた。
一緒に同行した3人には状況を説明して、先ず関所に戻って住居を確保できるようにすることを始めて、それまでは食料を運んであげることにすると説明した。
関所のある森まで<光学迷彩>を纏って、4人で帰還した。さすがに<飛行術>はこの世界でも簡単に見せていいものじゃないみたいだからね。パンの仕込みやらあるから、早速館の方に戻るんだけど・・・。
「ただいま。モリス、人数増えた?」
「ヒカリさん、お帰りなさい。あわただしくて申し訳ないです。もし、お時間があれば、紹介したい者たちがいるのですが、よろしいでしょうか。」
「パンの仕込みをしたいかな・・・。何人ぐらいいるの?」
「12名ほど。」
「ヒカリおねえちゃん、パンなら私がやっておくよ。ステラおねえちゃんと一緒でもいい?」
「ステラ、ユッカちゃんと一緒にお願いできる?見て覚えてもらうぐらいでいいから。」
「分りました。」
「モリス、時間いつでもいいよ。今からにする?」
「では、お願いします。」
「ニーニャ殿は12名のドワーフ達と一緒に食堂でお待ちしております。フウマ殿は夕飯の食材を狩りに森へ向かいました。」
「今日、何人分の食料が必要だっけ?」
「44名になります。」
「食料ある?」
「日々、最低限の買い出しはしておりますが、食料の備蓄やそういった倉庫のようなものがございません。もうすぐ関所も閉まるのでフウマ殿が狩りに行った次第です。」
「自分のところの関所なのに、自分で締め出さなきゃならないって・・・。」
「相手の村も閉まってしまうので、結局買い出しは間に合いません。」
「わかった。まず、食料ね」
「なら、追加12名の泊まれる部屋は?」
「奴隷小屋でしたら・・・。」
「あれはダメ。関所の休憩所は?」
「一泊、横になって頂くぐらいには使用できますが、部屋と呼べるか・・・。また、日が昇るころには、関所を開けますので、場所を空けて頂かないと。」
「今晩は使えるってことでいいね?」
「はい。」
「それで、どういった経緯で大量に確保したの?」
「はい。奴隷市で出物がありました。」
「なんか、長くなりそうだね。」
「お時間が許せば、お話できますし、本人たちからも詳しい話をきけると思います。」
「そっか。ありがとう。食料問題があるから、先に挨拶だけ済ませてやることをやるよ。挨拶を済ませたら、関所の休憩所に案内してあげて。」
場所が無いから、みんな食堂にいる。
かなり深刻な状況になってきたね。
すぐさま、家を拡張するか新築しないと。
「こんばんは。ここの領主で館の主でもあるヒカリといいます。
種々事情があることは承知しておりますが、本日皆様の食事を用意する必要があり、至急行動に移りたい状況です。
大変申し訳ございませんが、お話は夕食のときに伺わせていただきたいと思います。それまでは関所の中の休憩施設ではありますが、そこでお休みください。」
「ニーニャ、みんなをモリスさんと一緒に案内してあげて。もし可能なら、木工とか家を作れそうな人と、材料の確保を始めて欲しいかも」
「森の木使っていいのか?今から始める。」
「イノシシの柵作りより、家の新築、増築優先で。奴隷小屋は取り壊していいし、立てる場所が無ければ森を切り開いてOK」
「<斧>と<こん棒>を自由に使うぞ。あと、今日買ってきた道具も。」
「もちろん。今日買ってきた道具が何かわからないけど、任せた!」
「モリス!ちょっと、調理場見たら森行ってくる。肉は確保する。他は明日以降の相談で。」
「分りました。お気をつけて」
「ユッカちゃん、パンの調子どう?」
「もうすぐ焼く準備入るよ。」
「何人分ぐらいできそう?
「10人分」
「全然足りないね。」
「何が?」
「人が増えて、食料が無い」
「<ホットミース>なら作れる」
「なにそれ。」
「おねえちゃんが宿屋で作った窯焼きの具が載ったパン」
「あ、あ・・。ピざざああ、<ホットミース>ね。粉と材料はありそう?」
「材料はあるけど、窯が無い」
「分ったよ・・・。肉取ってくるね・・・。
ステラさんが狩ってくれたイノシシも解放して使ってもいいかな?」
「もちろんです。一緒に狩りにいきましょうか?」
「そだね。焼くだけなら料理長に任せて、3人で狩ろうか。
フウマが先に狩りにいってくれてるらしいから、合流できるかもね。
とにかく、70人前x3食が毎日無くなるんだよ・・・。
がんばろうね」
「「はい」」
まぁね?手つかずの森があって、飛行術から光学迷彩まで使える人間が4人いて狩りしたら、食料はあっという間に集まる。
なんとか暗くなる前に帰ってこれたよ。
って、あれ?家が出来てる。
いや、おかしいって。
プレハブの組み立て式だって1-2日は掛かるってば。
精々組み立て式の物置小屋でしょ。
それも材料と説明書と、電動工具とか置き場所出来てる前提でね。
「ちょっと、ごめん。家の様子を見てくる。3人で料理長の所へ行って一緒に処理してくれる?余った食材は全部冷蔵庫で。」
「「はい」」
「姉さん、俺はそっち手伝おうか?」
「悪いね。助かるよ。一緒に見に来てくれる?」
「ニーニャ、なにこれ?」
「見ての通り、家だ。不満か?」
「いや、ほとんど時間経ってないでしょ」
「ヒカリ達が食料集めてるのに、私らが座ってるわけにいかんだろ?」
「いや、あの、はい。ありがとうございます。
中はどんなかんじ?」
「20人は寝れる。床がある倉庫と思えばいい。」
「で、今は何してるの?」
「もう、2棟たてているぞ。」
「え?」
「エイサンから聞いたぞ。活躍だな。いつでも呼んできていいぞ。明日には出来る。個別の住居とか開拓地とかに隣接住居は、別の話でいいだろ?窯とか収納スペースも必要になるだろうし。」
「なんか、悪いね。いろいろやってもらっちゃって。」
「何言ってる。お前の金貨で命を救ったんだ。当たり前だろう。夕食のときにでも話をきいてやってくれ。」
「ありがとうね。夕飯できたら呼びに来るよ。」
いつも読んでいただきありがとうございます。
頑張って続けたいとおもいます。
9月末までは日々24時更新です。




