2-18.人手不足
やりたいことが決まって、
順調に進み始めてるけど人手が足りない。
奴隷を買うのかぁ?
「は~い。みんな~。一日お疲れさまでした。今日の報告と明日の予定を言ってみて。」
「では、昨日の順番で私から。
1つ目、女性の奴隷たちの衣装が入手できました。時間を優先して、布や中古の衣装を買い付けて裁縫に回しましたので多少は値が張りました。けれども頂いた予算金貨50枚内で10人分を整えました。ここで残念なお知らせがありまして、本人たちが『関所の休憩所などの施設で働きたくない』と申しております。<娼館>を作って商売したいとのこと。」
「報告の途中で口を挟むよ。まずは関所の手伝いができることを実績として見せて貰って。モリスが手や口を出さずに娼館の運営ができそうだと判断できたら、彼女らの就職のために新しく一軒小屋を建てていいよ。衛生面、健康面、金銭管理、顧客の秘密の徹底。この4つが最低限のライン。あとは顧客を捕まえる方法や利益をだして、私に小屋の代金を返せる運営能力が欲しいかな。」
「一応、その奴隷のうち一人が『金貨200枚と小屋をくれれば、一か月で金貨200枚を返す』と、はりきっていました。どうも、前男爵時代の性奴隷としての顧客を抱えているようで、そのコネを利用すれば、10人が毎日相手をしていても十分に客を待たせるレベルだとか。」
「自信満々だね。今日の情報だけでは判断できないから、(1)衛生、(2)健康、(3)金貨200枚の使い道。これらをちゃんと言えたら領主が話を聞くって伝えて。それが言えないうちは関所の休憩所を手伝わせて。」
「承知しました。それでは2つ目の報告に移ります。窯職人のトーマスさんを訪問しましたが留守でした。弟子の1人が言うには、『焼きレンガを作るために出かける』と言い残して一週間程度帰ってきていないとのこと。もしトーマスさんが帰ってきたら、『ヒカリさんが用事があり、旧ジャガ男爵の館まで来てもらうように』と、伝言を残しました。」
「ありがとう。トーマスさんが事故に遭ってなければいいけどね。一週間分の焼きレンガとか、相当な個数がで作れていると思うから、その分期待もしちゃうね。
続けてくれる?」
「3つ目ですが、男の奴隷で森のことに詳しい者に、ヒカリさんの言う粘土や鉱石が取れそうな洞窟について話をききました。すると、『洞窟行って鉱石掘るより、難破船を引き上げて資材確保した方が楽だろう』と、ちょっと曖昧なコメントがありました。『洞窟が優先であれば、そこへ案内する』とのこと。
長くなりましたが以上になります」
「洞窟にも案内できるけど、難破船?気になるね。積み荷がいいものだったのかな。明日の予定はその人に話を聞いてから洞窟か難破船か決めた方がいいかもね。」
「次は農業に関して、私が3人を代表して報告するわ。
街道予定地に設置されたマーカーに沿って、木を倒しながら進みました。そして倒した木を材木に加工して、森の周囲を囲い始めました。まだ、領地として確定していない領域なので早めにマーカーを置いてもらえると良いわ。
ただ、女手3人では、木を切り倒したり、加工するのは斧の力で大したことはなかったのだけど、運んで柵を組み立てる作業が大変なので、人手が欲しい状況でしたわ。イノシシの追い込み、餌のジャガイモ栽培については未着手です。」
「了解。神器があっても、倒した木が材木になるには手間暇かかるよね。人手が欲しいってことはメモをしたよ。」
「最後、フウマお願い」
「はい。姉さんと一緒に領地マーカーを設置してきました。
南は海がある海岸線まで伸ばしました。海岸線に沿って東方向に進み、キリギスの町と城下町までに相当する距離(約50km)を伸ばしました。そこから北と、西へ四角で囲むように折り返して帰ってきました。
相当広い肥沃な土地を領地として確保できたことになりますが、肥沃な土地を農地にするには相当多くの人手を探して、受け入れる必要が出てくると思います。」
「おねえちゃん!」
「なに、ユッカちゃん。」
「海って何?」
「男のロマンだね」
「栗?」
「それはマロン=チェストナッツ。なめし革の液をつくるタンニンの成分がでる樹木のことだね。」
「タンニンって?」
「学級を持つ学校の先生だね。」
「姉さん!海!」
「この6人の中で、海に行ったことない人は?」
「・・・・。」
「モリス、明日はユッカちゃん海に連れて行くよ。地理に詳しい奴隷さんに難破船まで案内してもらいながら3人で進むことにする。
他のメンバーは人手が足りないので、メルマに行って、人を雇ったり、奴隷を購入したりして人手を増やして欲しいかな。ニーニャ、ステラの意見も聞いて、特異な技能や魔術を持っている人が居たら、身分、種族関係なく確保して。とりあえず、金貨50枚をフウマに渡しておくよ。もし、モリスとも時間が合うなら一緒に行動して、必要なものはその金貨から購入して。
あ、フウマにこの大きい魔石も一応渡しておくよ。何か金銭面で即決したいことがあったら、これで解決しちゃって。」
「特殊なスキル持ちのドワーフはお金では動かないぞ。ああいう<こん棒>とか、<神器>とか<特殊な素材>とかないと。奴隷を金で買い取ることはできても、連れてきた後で役に立たたん。」
「なるほどね。私とユッカちゃんは冒険とかしてないから、そういうの無いんだよね。<こん棒>も<神器>も粘土のついでに拾っただけだし。あ。ユッカちゃん、ランドセル貸して。」
「はい。」
「ニーニャ、これどう?」
<なんかの素材>と<ボロマント>を取り出す。
「ヒカリさん!そのマント!」
「うん?」
「手に取って、見せて貰っていいかしら。」
「はい。」
「ニーニャ、これ役に立ちそう?」
「う~ん、う~ん。ごめん。鉱石や素材は専門じゃない。が、私ですら判らないレベルの何かではある。」
「明日それ持って行って、興味を示したり、何かわかりそうな人材を見つけたら確保の方向で。」
「OK」
「ステラはどうした?」
「このマントを借りる訳にはいかないかしら?」
「うん?ニーニャみたいに奴隷になっちゃうよ?」
「・・・。」
「え?ステラですら、その口だったの?ごめん・・・。」
「師匠を探していたのです。それなりの伝説を残していて、いくつかは吟遊詩人に歌われる程度には。それらしい情報がこちらの大陸であったもので、船で上陸しようとして・・・。」
「船が難破して、海賊に攫われて、売られたとか言わないよね?」
「ヒカリさん酷いです。私だって隠したいことぐらいありますわ・・・。」
「その、なんか、ごめん。ステラも明日難破船を探しに一緒に加わって。何か情報のヒントがあるかもしれないから。」
「判りました。このマントは・・・?」
「ユッカちゃんの鞄に自分でしまっておいて。いつでも取り出せるから。」
「その鞄ですか?」
「そう。質問は無し。」
「ひょっとして!」
「秘密。貸さない。あげない。」
「いろいろご迷惑をおかけするかもしれませんが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。また、必要とあらば、ヒカリ様のためにエルフ族を呼び寄せることも可能です。なんなりとお申し付けください。」
「そのマントをしまって、明日の準備して寝ようか。」
「「「「「はい」」」」」
いつも読んでいただきありがとうございます。
頑張って続けたいとおもいます。




