3-83.橋を架けよう(19)
さて、砂糖も十分手に入ったし。
橋と治水をどんどん進めるよ!
「イワノフ、今日は一日居るよ。何から始めよう?」
「ヒカリ様がすることは特にございません。お菓子でも作られたら如何でしょうか?」
「そうなの?橋脚の穴掘りとか間に合ってる?」
「凍らせるのは、<ござる>チームの忍術で力を合わせれば出来るそうです。
ラナちゃんのナイフはクワトロチームの魔術心得のある人達で、代わる代わる切込みを入れて行けば良いそうです。
飛竜の操作はラナちゃんがやってくれています。」
「そっか。私はここに居る意味ある?」
「ヒカリ様の存在が各種抑止力として働いています。長く留守にする場合、何らかの別の抑止力となる手段を見せつけてからでお願いします。」
「そういうもん?」
「そういうものです。何処かに出かけるのですか?アルさんやフウマさんとご一緒するのですか?」
「ううん。ちょっとだけ、船旅に興味があっただけ。別にいいよ。」
「そういえば、フウマ様からの報告は受けましたか?」
「ごめん。知らない。船旅のことで頭がいっぱいだった。」
「『場所、規模は分かった。2人で制圧は無理。贋金の流通経路を把握するには、<サンさんの部隊>を借りたい』とのことです。」
「<ござるチーム>は基本は穴掘りってことだよね?フウマが占有すると工事に問題でてくる?」
「ヒカリ様とクロ先生が凍結させてくれるのであれば、問題ありません。3ヶ所の橋脚の粘土がそろそろ乾きますので、川の流れを変更して、川の中の橋脚建設に入るタイミングになります。」
「そっか。じゃ、<ござるチーム>をフウマに送ってあげて。川の中の2本の穴掘りはクロ先生と私と飛竜のタカさんでやるよ。」
「承知しました。その方向で進めます。」
3日ぶりの土木工事だね。
そう考えるとナポルの街は良い気分転換だったね。
イワノフさんの確認が済んでから、川の流れを変える。
残っている石を並び替えるだけで、簡単に流れが変わっちゃうね。
水が引いたら、橋脚建設地点を決めて貰っていつもの工事だね。
なんか工事も慣れてくると手順に従って順番にこなすだけだった。
余裕があるから、ユッカちゃんとシュークリーム作ってみたり。
全員分ないから、コッソリとね。ステラの分は冷蔵庫へ。
ラナちゃんはユッカちゃんが持って行ってるから大丈夫っと。
「イワノフ、終わったよ~。」
「2ヶ所ですか?」
「うん。何か他にすることある?」
「もう、橋の方は時間の問題です。ヒカリさんのアイデアの橋梁載せをして、乾いたら舗装と装飾です。天気が良ければ残り10日程度でしょう。」
「で?」
「残りの工事は治水工事とトンネル堀です。」
「イワノフの計算では、今のメンバーと技術とでどれくらいの期間が必要?」
「治水工事は材料さえあれば、3週間程度でしょうか。トンネルはニーニャさんに聞かないと判りませんが・・・。多分・・・。」
「多分、何?」
「相当時間が掛かるかと。フウマ様に聞いたところによると、10㎞近く掘るんですよね?」
「そうだと思う。今回の材料切り出しで多少は山を削ったけど、あくまで山だからね。何百メートルも掘り進めた訳じゃないよ。」
「ニーニャ様は穴掘りが上手くて得意です。ですが、それは掘った岩石や鉱石を捨てられる場所がある前提です。今回は10㎞先から出口まで、その瓦礫を捨てに出さないといけません。」
「ああ~。なるほどね。」
「トンネルサイズの穴になりますから飛竜は使えません。馬サイズだとしても、暗闇では馬が言うことを聞かないでしょう。ステラ様やヒカリ様が照明をだせたとしても、結局10㎞を馬で往復させるには穴を広くしないとすれ違いができず、とても効率が悪いです。」
「それは、大問題じゃないかい?ニーニャは何か考えてるのかな?」
「『ヒカリが運ぶんだぞ。私は掘るだけだぞ』って、いいそうです。」
「そ、それは不味いよ。橋建設どころじゃないじゃん?」
「橋は完成までヒカリさんの出番はありません。治水工事も石さえあれば良いので、ヒカリさんの出番はありません。」
「そういうこと言う?」
「私は何も言ってません。事実のみ申しています」
「トロッコ列車を通そう。あれなら人力でもそこそこ行けるはず。」
「ヒカリ様、<トロッコ列車>ってなんでしょうか?」
「線路を敷いて、その上を馬車の荷台だけが転がっていくの。」
「<せんろ>って何でしょうか?」
「鉄のレールを繋いであって・・・。あ。」
「ヒカリさんは何でも鉄を使うのですね。」
「鉄の棒2本をさ、10㎞分繋ぐとか言ったら怒られるよね?」
「レナードさんの<高温炉の大型化>を却下したのはヒカリ様ですね。」
「で、高温炉があっても、『鉄の材料を集めるのはヒカリだぞ』って言われるよね。」
「よくご存じで。」
「イワノフ、そういうこと言う?」
「ニーニャ様なら言いそうでしょう?」
「うん。」
「じゃ、石で溝作って、そこを転がそう。」
「馬はツルツルの石は蹄が立たずに、歩くのに苦労します。人間も同様です。」
「風車でびゅ~~~って。」
「トンネル内の空気循環のためにも、風車による換気は必要ですね。10㎞も先から出口まで風は届きませんが。」
「換気も必要か。竪穴あけないとね。」
「人を大切にするには重要ですね。坑内の密閉性が下がり、風車の威力は落ちますね。」
「そういうこと言うのは、とても大切だね。」
「私のせいにしないので?」
「ワンパターンは嫌われるからね。」
「でも、いいアイデアだね。<空気搬送システム>を導入しよう。」
「名前はかっこいいですね。空気は空気。風は風です。」
「ふふ~ん。シルフに手伝って・・・。あ!!!!」
「どうかされましたか?」
「シルフがシルフが!」
「船旅に出るのですよね。いつからでしょうか?」
「わかんないけど、2ヵ月帰ってこない!」
「別の手を考えてください。」
「いや、醤油を諦める。直ぐ連絡する!瞑想に入るから放っておいて!」
「分かりました。」
ーーーー
<<シルフ、シルフ、今どこ?>>
<<ナポルで風と戯れてる。ここにはステラが呼んだ妖精達がいて心地よいね。>>
<<そっか。それで、いつ出発か分った?>>
<<来月だって。>>
<<え?>>
<<熟練船員30人が居ないんらしいんだ。今の航海から帰って来るのが予定で来月らしいよ。詳しいことはアルさんがそっちに戻るから聞いてみて。>>
<<シルフは、手が空く可能性あるかな?>>
<<ん~~~。久しぶりに風の妖精達と遊んでるけど、ヒカリが必要ならそっちへ行こうか?>>
<<ああ、えっと。前に冷蔵庫とか風車を動かす印を作ってもらったでしょ。あれを大量に欲しいなって。>>
<<いいよ。材料はできてるかい?>>
<<ううん。航海にでちゃったら、シルフに頼めないから、声をかけてみたの。>>
<<わかった。しばらくここにいてもいいかな?準備ができたらそちらへ向かうよ。>>
<<うん。そのときはお願いね。>>
ーーーー
「イワノフお待たせ。石板さえ作れば、<空気搬送システム>は作れる。航海は一か月後なんだって。」
「それは良かったですね。ニーニャ様も同行したがりますよ。」
「ニーニャはそういうの好きだったっけ?」
「ヒカリ様達と出会ってから、随分と変わりました。以前はもっと引きこもりがちでした。」
「そなんだ。無理してなければいいけど。」
「飛竜に自分から乗りたいって言ってました。」
「ニーニャは高いところ嫌いだったよね。」
「『ヒカリのいるところに不思議なものがあるから、ついていく』などと、申しておりました。」
「そっか。じゃ、戦争がおわったら大航海に出発だね。」
「ニーニャ様も喜びますよ。」
さて、ニーニャが来るまでにどんどん石を切り出して、レールの溝を掘って、シルフを待たないとね。10㎞=1万メートルか・・・。
1メートルで1万枚。
2メートルにしても5000枚。
1枚5メートルの板を2000枚
1時間で60枚切りだせるとしても、35時間かかる計算。
1日6時間働いて、6日間かかるね。
ユッカちゃん手伝ってくれるかな~~?
何のデザートだったらいいかな~~?
それにしてもさ?
橋梁建設もだけど、鉄道敷設ってとんでもないことなんじゃないの?
これは何かの利権にしないと、とてもじゃないけどやってらんないね。
だから日本も昔は国有鉄道だったのかもねぇ。
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




