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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?〜魔法と理系の知識でゼロから生活を立ち上げる〜  作者: tinalight


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3-84.橋を架けよう(20)

さて、砂糖も十分手に入ったし。

橋と治水をどんどん進めるよ!

「ヒカリ様、ただいま戻りました。」

「あ、アルさんお帰り。シルフから少し聞いてるけど、出航準備に一ヶ月かかるんだって?」

「ええ、そうなんです。それだけでなく、金貨6000枚が必要です。」


「なんで?」

「航海士30名に前金で一人金貨200枚必要だそうです。その他食料は大した金額で無いので、事前に購入予約を掛けておけば大丈夫だそうです。」


「航海ったって、長くて半年、上手く行けば2ヵ月ぐらいで帰って来るよ?一ヶ月で金貨100枚とか、娼館経営よりも稼げるじゃん?」


「あの・・・。」

「なに?」

「未開拓航路ですので、帰ってこれません。成功するのは1割以下だとか。」


「なにそれ?」

「地図がなく、方向も判らず、太陽や星の位置から情報を割り出すのですが、進んだ先に島すらないと、水や食料の補給が行えません。航海中の水は一ヶ月も保存すれば腐り始めます。雨水が得られれば生き延びますが、それは正に運頼みです。」


「そりゃ、死んじゃうね。」

「ですから、前金を家族へ渡してから出発するのです。」

「わかった。ところで方位磁針とか羅針盤とかあるのかな?」


「何ですか、それは?」

「ちょっと考える。考えて判らなかったら、トレモロさんの所に行ってくる。」

「わかりました。そのような訳で暫くはここの拠点でお世話になります。」


「うんうん。なんかいろいろ出来ることあると思う。フウマも贋金の流通経路を確認するためには人手が必要みたいだし、有名貴族とのコネクションはアルさんの方があるからね。出来れば、そっちで活躍して欲しいよ。」

「はい。承知しました。」


ーーーー


<<ナビ、この世界に地軸と磁界はあるかな?>>

<<ヒカリさんの住まわれていた地球と同様です。>>

<<地軸は傾いて無いって前に聞いたけど、磁極も転移中とかでなく、南北固定で良いのかな?>>

<<質問の意味は解りますが、調査された記録がございません。>>

<<え?ランク制限とかじゃなくて?>>

<<方位は妖精に尋ねる物だそうです。それか太陽や星の動きを把握する必要があるようです。>>


<<判った。じゃ、磁石とか磁鉄鉱に関する記述や文献はこの世界にある?>>

<<ございます。一部の呪(まじな)い師が、それによって占いをするようです>>

<<あ~。手に磁石隠して、針を動かせば、ちょっとした手品のネタになるもんね。>>

<<この世界では、呪い師のみが使える占いです>>

<<ありがと。じゃ、それと地軸の極性が合えば、方位磁針とか羅針盤とか作れるね>>

<<ヒカリに幸多からんことを>>

<<なんか神父さんみたい。これからもよろしくね>>

<<承知しました>>


もう、考えるの止めてシルフに任せよっかな。

一応、そういうの勉強して調べても意味があるかな~。

磁石はアドルフさん、航海術はトレモロさんだね。

ま、いっか。


ーーーー


「姉さんただいま。ちょっと良いかな?」

「うん。ここでも良い話?」

「人が来なければいいや。結界張っておくよ。」


フウマが部屋に結界張って、音が漏れないようにする。

フウマにしては珍しいね。


「どうしたの?」

「例の贋金と流通経路の話なんだけどさ。」

「うん。ゴザルのチームを派遣したけど会えた?」

「来てくれてアドルフさんと合流したよ。潜入に向けていろいろ準備してくれてるはずだよ。それで、本題なんだけどさ。」


「どうしよっか。アルさんも帰ってきてるから、一緒に話をしてもいいかな?」

「そうだね。ロメリアの政治的な話になるから一緒に作戦を立てた方が良い知恵が出るかもしれない。」


早速アルさんを呼んできて、会話に加わって貰ったよ。


「アルさん、フウマが贋金の流通に関する第一次調査結果があるから、それを元にどうするか一緒に話し合いをしたいよ。じゃ、フウマ報告してくれるかな。」


「贋金工房からの金貨の流出先は、ハバロア・ルーブル侯爵、スニフ・ウフィッツ侯爵、スレイ・スミソニアン侯爵の3人に運搬されていることが分かった。その先の運搬経路や拡散は不明で、調査に時間と人が必要な状態。

また、『本人たちが承知で贋金を利用しているのか』も、確証が持てて無いんだ。」


「スレイさんは、飛竜騎士団。スニフは財務大臣、ハバロアって誰?」

「姉さん、運輸・建設大臣になるよ。そこで僕から提案があるんだけど、


一つ目の案は、開戦ギリギリまで内偵を続けて、贋金が拡散している経路を掴んだ上で、ロメリア王国との交渉ネタに使う。


もう一つの案は、リカにロメオ王子に会って貰って、真偽を確かめて貰う。」


「二つ目の案が良い理由が判らない。リカを危険に晒すだけにしか見えないよ。ロメオ王子との接触が増えると、橋でリカを殺す作戦が虚偽と判明し易くなるリスクもある。」


「姉さん、一発逆転の可能性があると思う。少なくともスニフの罪はエスティア王国との国際問題を抱えているだけでなくて、贋金の使用も追及されることになる。

そうすると、開戦自体をせずとも現国王を失脚に追い込んで、解体に持ち込める。ロメオ王子に玉座を譲らせて、有力貴族を失脚させて、間接的に実権を握ることが可能になる。」


「私としてはフウマの第二の意見があまり面白くないけど、アルさんどう思う?」

「一般的な歴史や政治を鑑みるに、貴族は素晴らしく逃げ足が速いので、失脚に追い込む前に逃げられると後々の憂いを残します。」


「アルさん、僕には判らないよ。それはどういうこと?」

「はい。内偵情報が甘いと<責任逃れ>を言い出すということです。

『○○の甘言に乗っただけだ』『非常に利益率の良い鉱山採掘に支援しただけだ』とかの言い訳をして、罰を逃れようとします。

もっと達が悪いのは、執事や秘書を生贄にし、偽首謀者を殺して有耶無耶にします。」


「姉さん、そこまでやるかな?」

「私の国でもそういった生贄を使うのは割と一般的だよ。そして『死人に口なし』っていう名台詞まであるね。

更には、ロメオ王子は汚職大臣達の虚偽報告を真に受けて、無邪気に『負けても良いから、最後まで戦う』とか言う可能性があるだろうね。

汚職大臣達は高見の見物しながら、国力が弱ったタイミングで、エスティア王国の側について、侯爵の地位が保てるように取り入ってくると思うよ。

勝利した側のエスティア王国には、その有力大臣を無闇に切り捨てて統治できるだけの実力が無いから、ロメリア王国の掃除ができないし、エスティア王国も獅子身中の虫を抱えることになる。」


「姉さん、それだと結局戦争に勝っても、姉さんの考えるような平和って来ないんじゃないかな?」


「だから最初に<あまり面白くないね>って言ったよ。

相手側が『やられた。負けた』という、劣等感に陥らないから、意趣返しを狙ってくる可能性も残すしね。

今回の戦争に関しての私の考えは、基本的にフウマの考え方と一緒だよ?

フウマは奴隷のリーダー達と私を模擬戦で戦わせたよね。

あれって、実力差を見せつけて、『これは敵わない。従った方が得だ』って思わせることで、支配下に置く訳だよね。」


「それは個人レベルの話でさ。侯爵クラスの貴族がそう簡単に他国に実効支配されないと思うんだよ。」


「基本的には同じって言ったじゃん?

相手が慢心して、大丈夫と信じている拠り所を一つずつ潰していくんだよ。

・エスティア王国を奸計に陥れているつもりが、それを逆手にとられる。

・経済的に自立不可能な損害を与えているはずが、逆手に取られる。

・食料自給率と交易を締めて自立性を脅かしてるはずが、水害による収穫不足で飢えに苦しむ。

・風土病により、人民を病気にさせて国力を低下さているはずが、水害による伝染病で自国が壊滅的なダメージを受ける。

・圧倒的優位の戦力差を所持しているはずなのに、数も性能も上回る飛竜隊や魔術、弓隊に攻められる。

・堅固で籠城に適した城にも関わらず、裏トンネルから国庫や食糧庫が盗難に遭って籠城が継続できなくなる。

そんな風に自分の安全地帯を削られたら、相手方に平伏すしかないんじゃないかな?」


「姉さん、怖いよ。」

「何が?」

「姉さんの戦争の仕方がだよ。」


「はぁ?何甘いこと言ってんの?

何年もかけてエスティア王国を滅ぼそうとしてきたんだよ?

リチャード王子やレナードさんだって、風土病のせいで命を落としそうになった。

多分、モリスの奥さんだってそうだよ。そして家族が離散したんだ。

騎士団長のベイスリーさんは犯罪奴隷に落とされた。

フウマは、フウマは・・・。悔しくないの?」


「姉さん、僕はそれが全て戦争のせいだと考えていなかったよ・・・。」

「私は、安易に高見の見物をしながら戦争を楽しんだ人間を簡単には許さない。

かといって、戦争で勝利しても、相手を見下すような支配者にはなりたくない」


「姉さんは、なんでそんなに強いんだ?」

「長老との会話でも答えたよね。大切な仲間を理不尽な不公平さから守るためだよ。

今は仲間がいっぱい増えたから、守る物が増えちゃった。頑張らないとね。」


「姉さん、ごめん。すぐに偵察に戻るよ。」

「ううん。フウマは悪くないよ。

それでさ、多分アルさんの考えや判断がフウマを助けてくれると思うんだ。一緒に行動してもらってもいいかな。

もし、代わりにアドルフさんの手が空くようなら、こっちに帰ってきて貰えると嬉しいかも。

あ、最後に、ラナちゃんからお土産があるらしいよ。受け取ってから出かけてね。」


「アルさんとアドルフさんの件は分かったよ。ラナちゃんのお土産ってなんだろ?」

「多分、フウマが欲しかったものじゃないかな?」


あとで、ラナちゃんに怒られた。


『なんで、<飛竜の血>と<私の飛竜>を渡したらフウマが泣くのよ!あんたたち姉弟(してい)はなんなの?』って。


ラナちゃんに謝った。

そして、心の中でフウマにも謝った。

いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

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