3-55.お菓子コンテスト(1)
自分の得意分野で勝負だ!
なんか、自分がトロイの木馬になる気分だよね。
先ずは、お菓子コンテストにエントリーするための条件確認だ。
ミラニアの広場の目立つところにも掲示されているとのことで、皆で見に行った。
<第一回お菓子コンテスト開催について>
主催:農林大臣 メトロポリタン侯爵
日時:9の月の1日
場所:ロメリア王国城下町の中央広場にて
参加費:無料
受付:ロメリア王国城下町城門にて
(1)応募資格
・貴族、平民、移民、旅人など誰でもOK。
・年齢、性別、職業問わず。ただし、伝染病などの病にかかっていないこと。
・1チーム3人までとすること
(2)お菓子の製作について
・材料は持参すること。下ごしらえした物を持参しても良いが、完成品は不可とする。
・調理器具はコンテスト会場にあるものを使ってよい。自分で持ち込み可とする
・審査官5人分を製作すること
(3)審査方法
・5人の審査官が1人10点で50点満点で評価する。
・味、香り、見栄え、斬新さ、総合力の5項目で評価する。
(4)賞品
・1位のチーム金貨20枚。以下、2位10枚、3位5枚、4~10位1枚
・1位~3位のチームは王宮見学に招待する
(5)その他注意事項
・盗作疑惑が出た場合は、順位を保留とし、後日審査とする。
・広場での調理となるため、秘伝のレシピなどの漏洩は自己責任とする
・参加者同士の揉め事は即時失格とする
・その他問い合わせは各騎士団詰所まで
ふ~ん。細かく規定があるのは公平でいいね。
で、主催はなぜか、農林大臣なんだね。飛竜騎士団かロメオ王子かと思ったんだけどね。よし、食材、機材を集めつつ下ごしらえを始めよう。
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「姉さん、今度は何を作るの?」
「シュークリーム」
「なにそれ?」
「キャベツの葉っぱに、クリームが入ってる」
「姉さん?」
「靴磨きクリーム」
「ヒカリ様、それは異国言語を直訳していませんか?」
「え?アルさん判るの?」
「1つ目は、正式にはシュー・ア・ラ・クレームと発音し、キャベツの形の中にクリームが入ったお菓子の名前と考えられます。
2つ目は、靴のシューズと、靴の艶を出す蜜蝋などを柔らかくしたものをクリームになぞらえて、フウマ様をからかっています」
「姉さん?」
「何?」
「アルさんは騙せないよ。良かったね。」
「結構びっくりしてるよ。どこで習ったの?」
「一応、大陸が変わりますが、5ヶ国語とその類似方言は習得しています。獣人族などの特殊な音声会話は習得できておりませんが。」
「そっか、そっか、ひょっとして、フウマの母国語も理解できちゃったりとか?」
「ベースとなる言語をいくつか習得すると、その規則性から新たなる言語の積み増しは、新たなる文法は少なく、単語の増強だけで済む場合があります。ですから、単語自体が判らないと流石に難しいですね。」
「なるほどね。今後異国を訪問するときは通訳係に必要かも。」
「ヒカリ様は、まだどこかへ冒険されるのですか?」
「今回の戦争が終わったら考える。」
「姉さんが、どこかでじっとしている訳がないだろ?」
「そんなの判んないじゃん!」
「いや、今回だって視察のはずが、わざわざコンテストに出場するだろ?」
「これは作戦でしょ?二人も賛成してくれてたし。」
「姉さんがお土産もって、直接ロメオ王子を訪問すればいいだけだろ?」
「あ、あの・・・。ヒカリ様?」
「アルさん、なに?」
「ロメオ王子とお知り合いなので?」
「ふふ~ん。指輪をもらっちゃったよ!」
「「え?」」
「あ、婚約指輪とかじゃないよ。出会った記念ってやつね。」
胸の谷間にしまってある小袋から龍を象った指輪をとりだす。
「ほら、これ。なんか骨董市で見つけたんだって。」
「姉さんは、なんだか歩いてるだけで、いろいろ拾えるんだね。」
「ヒカリ様、それは飛竜でなくて、龍なのですね。私は鑑定出来ませんが、掘り出し物の可能性もありますよ。」
「フウマ!拾ったんじゃない!もらったの!
アルさん、役に立つときが来るかも?こなくても、泣かない!
てか、そろそろ材料の調達とか準備始めたいんだけど。」
「「ハイ」」
「最初に、魔石を売れる店で魔石を売って、金貨を調達したい。
次に、小麦粉、砂糖、卵、バター、皿が5人前必要。練習もしたいから多めにね。
最後に余裕があれば、布とか、ヘラとか平らな鉄板のトレイとか欲しい。
ちなみに、ミラニアから城下町の広場って遠いの?」
「馬車で1時間ぐらいでしょうか。乗り合いでも定期的に出てますし、チャーター便を雇うこともできます。魔物や獣、盗賊も出ないので料金は安めです。」
「それじゃ、初めてのイベントで普段以上の混雑とかあると嫌だから、後で明日用の馬車もチャーターしておいて。宿はこっちを押さえておいて、遅くなるなら向こうで泊ってもいいかもね。」
「承知しました。」
「アルさん、魔石の大きさと相場とか判る?それか、冒険者登録所みたいなところで大量に買って貰えるとか。」
「あまり、魔石を所持したり売買した経験がありませんので、良く判りません。基本的には、メルマと同じと考えて頂ければ良いかと。
また、<冒険者登録所>というのはロメリア王国にはありませんが、傭兵を斡旋する<万事屋>はございます。魔物退治も仕事として請け負いますので、魔物や獣を倒したあとの魔石や肉類が取引されています。貴重な薬草なども万事屋だと手に入る場合があります。」
「じゃ、<万事屋>に先にいって、魔石の取引価格を見てから、必要なら魔道具のある商店街へ行くことにしよう。」
「「ハイ」」
ーーーー
万事屋にやってきたんだけど、エスティア王国で使ってた<冒険者登録証>が使えるんだって。ラッキー!
同じシステムで動いているなら、依頼を受けたり、依頼したりも出来るから手続きが楽でいいね。
私の冒険者登録証を利用して、フウマに対応をお願いする。
そのあいだ、ポケットの中で魔石をゴソゴソと作っておく。
「すみません。魔石の注文とか入ってませんかね?」
「ここだと傭兵が多いから、ウズラの卵サイズの大きさが良く捌けるよ。属性石と合わせてちょっとした魔物はやっつけられるからね。」
「何個で、いくらぐらいで買って貰えますか?」
「ちょっとまっててごらん。」
と、奥まで確認をしにいく。
魔石は換金性が高いから別管理なのかもね。
依頼ボードに張り紙とかしてない。
あ、ここにも<第一回お菓子コンテスト>の張り紙があるよ。
「お待たせ。鶏の卵サイズのが5個ってのがあるよ。なかなか珍しいね。金貨100枚での買い取りを希望してるよ。ウズラの卵サイズは、合計50個ぐらいにはなるけど、そっちは50個でも金貨20枚ぐらいだね。」
「今の手持ちを確認します。少々お時間をください。」
砂糖とか大量に買うから、テニスボールサイズをゴロゴロ作っておいたので十分だけど、これが鶏の卵サイズかといわれると、ちょっと大きいかな。フウマに一応確認だ。
「(フウマ、これ、ちょっと大きめなのかな?これなら10個ぐらい作ってある)」
「(思ったより、魔石の取引は少ないみたいだね。1個見せて確認するよ。買い取ってもらえないと不味いから、小さいのも追加でおねがい。こっちの革袋に入れておいて)」
「(了解)」
「あの、すみません。このサイズの魔石の買い取り募集はありますか?」
「おやおや。これは大きいね。うちの万事屋で直接買い取ろうか?金貨50枚でどうだい?」
「では、それで結構です。2個ほど買い取ってください。」
「ほぅ。2個もあるのかい。エスティア王国にはこういった魔物がたくさんでるのかい?それにしてもあんた達、見かけに依らず強いんだね。」
「ええ、まぁ。旅の途中でエスティアに立ち寄っただけですので、これはエスティア王国にいた魔物ではありません。」
「そうかそうか。ちょっとまってておくれ。」
金貨50枚の小袋を2つもってきた。
こっちは、魔石2個を手渡す。
「どうもありがとうね。また立ち寄ることがあったら宜しく頼むよ。」
「はい。そのときは、またこちらに来てみます」
魔石の換金性が高いのはいいね。これで簡単に砂糖とかの高級材料も手に入るはず。
でもなんかさ、私の魔力はお菓子に化けてる気がしてきたよ。
早いところサトウキビの栽培に成功するか、大量輸入の航路を開拓したいね。
サトウダイコンもあるらしいけど、砂糖の含有率が低いってきくし、この世界だとどうなんだろうね?
まぁ、お菓子は趣味みたいなもんだし、趣味に魔力使ってても良いよね?
「アルさん、フウマ、金貨100枚でコンテストの予算は足りるかな?」
「姉さん、そもそも入賞して金貨5枚とかだよ。得しないだろ。」
「コンテストの副賞が目的なんだから、情報収集のための投資としたら安いでしょ?」
「安全で僕たちの素性を詮索されずに王城に入れるなら安いもんだね。」
「あの。ヒカリ様は常日頃から、それほど大量に魔石を持ち歩いてるのでしょうか?」
「重くないし、大きめだと金貨より楽だし、国を跨いでも現地通貨になるから便利でしょ?」
「は、はい。先ほど万事屋で会話していた通り、異国を旅してきたときに倒した魔物から入手したのでしょうか。それともステラ様にお願いして、なんらか魔石の生成をしてるのでしょうか。」
「そのうち分るよ。今は気にしないでいいよ。だから、金銭で解決できるなら時間と安全を優先で買ってね。そういう提案はどんどん歓迎だよ。」
「承知しました。」
しかし、まぁ、砂糖が高いのなんのって。金貨20枚で2kgぐらいしか買えなかったよ。
小麦粉一袋、牛乳やバター、卵なんか1週間分の大量購入でも金貨1枚でお釣りが来るって言うのに。
運搬用の緩衝材とか箱、塩、トレイ、麻布、シューを平らに焼くための鉄板を購入した。鉄板は鎧とか作ってる店に行ったら、金貨1枚で握り手の加工までしてくれた。
よしよし順調。後は明日のチャーター便の手配が終われば準備は万端だね。
早速、キッチンを借りるために宿屋に帰還だ。
「なにか他に必要なこととか、忘れ物とかある?」
「姉さん、エントリーは?」
「あ!ごめん・・・。フウマお願いできる?」
「いいよ。行ってくる。代表者の名前は?」
「チーム アルバートで。フウマとリカを入れておいて。」
「了解。姉さんは念のためにアルバートさんと一緒に行動して、宿に帰ってね。」
「うん。わかった。いうこと聞く」
宿に帰りながらアルさんと貧富の差について話をした。
ここ最近、人は増えても貧富の差が拡大して、スラム街が拡大している。
このような状態を改善するには、労働を与える前に炊き出しなどのようなことをして、先ず住人の病気の快復や体力の改善を行うこと。
さもないと、仕事を請け負える気力も体力もないであろうって話だった。
なるほどね。単純に仕事があればいいってもんじゃないんだね。
なんかいい方法は無いかな。
炊き出しをして、さらに労働力を集めて治水工事かな・・・。
先ずは戦争に勝たないとね。
そのためには明日のコンテストの準備からだよ!
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




