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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?〜魔法と理系の知識でゼロから生活を立ち上げる〜  作者: tinalight


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3-56.お菓子コンテスト(2)

危うくエントリー自体を忘れるところだったね。

こういうときにフォローしてもらうえる仲間がいるっていいね。

「姉さん、ただいま。調子はどう?」

「うん。女将さんに話をして、余った食材を引き取ってもらうことを前提に、調理場を借りれることになったよ。あと、今晩のご飯も3人前前払いしておいたよ。」


「それで、シュークリームとやらは大丈夫なの?」

「クリームを入れる器は、10セットぐらい焼き終わってる。あとはクリームなんだけど、今日試しに作って食べて、冷蔵庫で保管する。あとは、材料だけ持ち込んで明日クリームだけを追加で作れるようにするよ。器とクリームを一緒にすると、フニャフニャになって、味が半減どころか、クリームが漏れてきたりするんだよ。」


「ふ~ん。試食して明日のコンテストで入賞できるか確認しようよ。」

「そだね。アルさんや宿屋の女将さんの意見も参考になるかもね。」


で、出来立てのを試食することになった。

本当は味だけじゃなくて、スワン型のシュークリームとかで見栄えも良くしようと思えばできたんだけど、やりすぎかなとか思ってね。

さ、みんなの反応は如何に?


「みなさん、お菓子として如何でしょうか?」

「砂糖の味なのかい?このクリームが美味しいね。外側の器も食べられるのが良いじゃないか。」

「リカさんの食べ物はいつも不思議な物が多いですね。」

「姉さん、これだけで大丈夫かい?このまえのロールケーキよりインパクトが薄いというか、手抜きというか。」


「泡だて器がないからねぇ。カスタードクリームだけだとこんなもんだよ。ダブルクリームって言って、カスタードと白いホイップクリームの2重で楽しむ方法もあるし、白鳥型に器を作って、そこに粉状の砂糖をかけると綺麗に仕上がるのも知ってる。そこまでやっておく?」


「ユッカちゃんに知られると不味いレベルだと思う。」

「そうなんだよね。これがばれても問題ないとおもうんだけどさ。あとでエライことになるから、入賞ギリギリで良いと思うんだよ。」

「リカさん、ユッカちゃんは、ベッセルさんのところでお会いした人物でしょうか?」

「そうそう。アイスクリームのときにエライことになってね。このシュークリームも内緒にしておいてね。」

「分かりました。」


皆の感想からすると、味自体は問題がない。

だけど、<見栄え>や<斬新さ>のポイントを狙って、<スワン型>+<粉砂糖>という一段上の準備もすることになった。生クリームは撹拌機があるとのことで、それを借りて作って冷蔵保管することにした。当然冷蔵庫なんかないから、フウマに魔術で氷を出してもらったよ。


ーーーー


大会当日。

まず、城下町に入るまでに一苦労。馬車が連なっていて、城門までたどりくつのに大行列。予めチャーター便を予約してたから良かったものの、乗り合いだったら荷物のスペースとか無かっただろうね。イベントとしては大成功なんじゃないかな?

次に、城下町への入場だけど、これは門番のところににエントリーした名前があったから、これも問題無し。確かに、単なる観客であっても無許可で城下町に入れたら移民だらけになっちゃうからね。来年もやるなら城外で開催すればいいのにね。


城下町に入れさえすれば、あとは主催者が設けた専用の通路というか、会場への裏口を通って、参加者として会場へ入れた。てことは、観客がすごいってことなのかな?

いや、違った。

お祭りの屋台と屋台目当ての行列だった。

こういったイベントが開かれることは珍しいらしく、その客の懐を狙って屋台が沢山でてたみたい。確かに、お祭りってお神輿を担ぐより、くじ引きしたり珍しい物食べたりするのが楽しいもんね。


会場入り口で番号札を貰う。102番だって。


「フウマ、102番だって。」

「ああ、僕らは締め切り直前だったからね。それくらいがエントリーしてるんだろ」

「これってさ、審査官のお腹がいっぱいになったら不利じゃないかな?」

「先に料理出しちゃえばいいだろ?」

「そういうもんか。そうしよう。」


こっちは、下ごしらえが殆ど終わってるから、組み立てるだけ。

他の人でケーキとか調理しようとしている本職は材料の仕込みや、竈の順番待ちで結構時間かかってる。

逆に、持ってきたものだけで勝負しようとしてる人たちは、ヨーグルトにジャムを載せた物や、オリジナルのジュースとかそういうの。砂糖が高価なせいか、あまり焼き菓子の類がでてこないね。あったとしても、クラッカーの上にチーズとかフルーツを載せてるぐらい。


これは、ある意味で作戦勝ちでないかい?勝負後半のケーキをだしてくる連中がどこまでの仕上げをしてくるかだけど。


いけるいける!

とっとと、パーツごとにつくってあるシュークリームと予め作ってある生クリームとカスタードクリームを盛り付ける。そして、スワン型になるように羽と首を載せて、最後に粉砂糖を振りかける。

あ、粉砂糖とか無いから、一生懸命磨り潰したよ。それを今度は麻布で濾して、きめ細かいのにしてある。


「フウマ、こんな簡単にできちゃったけど大丈夫かな?」

「ルール違反じゃないし、ちゃんとここで調理してるから問題ないだろ?」

「そうだよね。盛り付けして、とっとっと出しに行こう」


一応、スワン型と丸まってる形の2つを1セットとして、5人前を準備した。番号札102をそれぞれ5つのトレイに付けて審査員に提出。農林大臣が主催だからロメオ王子とか飛竜隊のメンバーは居ないね。身バレする問題は無さそうだ。


審査員は貴族っぽいから、美味しい物をちゃんとわかってくれると思う。審査結果は夕方っていうから、それまで城下町を散歩することにした。


ーーーー


挿絵(By みてみん)


基本的にはミラニアと雰囲気は同じだね。ただ、城下町だけあって、奥の方には貴族の別荘とか屋敷みたいのが連なってるのが見える。王宮でのパーティーとかあるたびに宿をとっててもしょうがないから、主要な訪問地にはどんどこ別荘を建てておくのだとか、なんとか。

城下町としての役割の1つである城壁をいくつか超えて進むと、本当の王宮が見えた。今日はお祭りだから城門は閉ざされてるけど、雰囲気は外から伺えたよ。


これは・・・。

後ろが切り立った崖で上からの攻略は殆ど無理。

その上、飛竜騎士団がいるから忍び寄るのも難しいって噂通り。

周囲は森と貴族の別荘が立ち並んでいれば、怪しい行軍とかできる訳が無い。

かといって、正面から突破しようにも、城下町が長く複雑に入り組んでいるから大軍で寄せて攻めるには困難。


水路を見に行くことにした。

谷間に川が流れていて、堀にも水が来てる。堀は深めに掘られているから、王城が水で決壊するような状態では無かった。流石に城は堅固につくってあるね。


だったら、城下町の側はどうかというと・・・。

これ、地形的に、ミラニア川の方から低くなってないかな?

王宮や貴族の館辺りは崖の高台にできてるし、堀はミラニア側の西側の支流から水をとりこんでるけど、城下町の水路は東側を流れるミラニア川の本線から水を引き込んできてる様にみえるんだよね。


「フウマ、この城は堅そうだね。食料さえあれば、1年でも籠れるだろうし、諸侯が集まれば、この城を囲んでる間に挟み撃ちにされちゃうよ。」


「姉さん。お菓子コンテストが目的じゃなくて、本当に偵察が目的だったんだね。」

「リカさんはお菓子コンテストの勝利に夢中に見えました。」

「え?アルさんまで?」

「「ハイ」」


「君ら、どうでもいいから、この城を落とす方法を考えないと。サイナスで防衛してても勝ち目は無いんだからさ。」

「姉さんは裏からトンネルを掘るし、余計な住民を水害で水没させたくないんだろ?」

「私もそのように伺いました。」


「そりゃそうだけどさ。こう、正攻法で攻め落とせたらカッコいいじゃん!」

「姉さん、10:1で、この堅牢な城を落とせると思ってる?」


「<ナバロンの嵐>っていうサーガがあってさ。こういう難攻不落な城塞を少数精鋭の数人のチームが落とすんだよ。そういうのってカッコよくない?」

「ですから、3人で敵の王城へ堂々と偵察しに行くのでは?」


「そりゃ、そうだけどさぁ。」

「姉さんは何がしたいの?自分の作戦に自信が無いの?」


「なんか、ずるい。カッコよくない。」


「姉さん、僕が悪かった。美味しいごはんを食べよう。心が落ち着くよ。アルさん、飛び切り美味しいお店を探して。貴族とか使う所で構わないから。チップ渡して店に入れるように。」

「フウマはそういうの興味無いの?」

「お腹が空いては良い知恵が出ないよ。ご飯を食べながら話をしようよ。」


おかしいなぁ。

こんな天然の城塞をさ、裏から穴掘って、クーデターみたいに制圧して、いきなり勝利ってのはアリなの?ファンタジーなら何でもいいの?

こう、凄い苦労して、生と死の狭間を乗り越えて、多くの大切な仲間を失ってやっと報われる勝利みたいな。


あ、でも、仲間を失うのは嫌だから、やっぱ止めた。

元の作戦の通りで行こう。

治水工事と水没作戦はあくまで時間稼ぎのフリってやつで。


ーーーー


なんか、貴族の別荘街の方に大きなお洒落なレストランがあった。アルさんが前にお義父さんと来たことがあって、顔パスだったとか。ランドルさんの顔が効くってのは凄いね。とにかく、期待できそうなご飯にありつけるのはいいことだ。


「アルバート様、その、申し訳ございませんが、こちらの個室でも構いませんでしょうか?」


なんか、広間のみんなと同じテーブルが並んでるところではなくて、奥の部屋に通してもらうことになった。

これは、あれか!VIP待遇ってやつか!

いや、待てよ?

貴族でもない小汚い格好した男の子3人がVIP待遇は無いよね・・・。


「(姉さん、姉さんの想像とは違うからね。

僕らの恰好があまりにもおかしいので、他の食事をしている人の迷惑なんだ。

だけどランドルさんのご子息の顔を潰す訳には行かないから隔離されてるんだよ!)」

「(な、なんと!)」

「(なんだ、やっぱり、特別待遇されてると思ってたんだ。ある意味ランドルさんの力でもあるんだけどね。)」

「(アルさん、ありがとうね)」

「(あはは。次から堂々とヒカリ様のお名前で予約できるといいですね。)」


味は結構いいんじゃないの?

新鮮な川魚。マスかな?これを蒸したり、焼いたり。

山菜やキノコも綺麗にソテー。

そういえば、貴族が使うレストランってのがあるのか知らないけど、

ここのご飯は美味しいね。

パンもフワフワじゃないけど、カチカチに焼しめて無いパンで、

スープとかに漬けて食べるように出来てる。

スープの方もコンソメスープみたいな雑味が無い。

これは良いね!


「姉さん、味はどう?」

「とってもいいよ!アルさん、良いお店だね!」

「ハハハ。」

「なんか、笑うところ?」

「いえ、ヒカリ様は貴族のお嬢様とつくづく実感しました。」

「え?」

「ここは、貴族の料理人が見習いに来るぐらい凄腕の料理長が居るんですよ」

「へぇ~。フウマ、美味しいことは幸せだね。ところで料金もお高いのかな?」

「3人で金貨1枚になりますね。養父に付けておきます」

「ひゃ~!これ、飛竜騎士団のこと言えないじゃん!とりあえず、フウマ支払っておいてね。」

「姉さんの機嫌が良くなるなら安いもんだよ。元の作戦通り、裏から穴を掘るのでいいかな?」

「うん。下手な戦略で仲間が傷つくのは良くないよ。」

「いつもの姉さんに戻ってくれてよかったよ。計画通り、王宮の偵察で良いね?」

「うん。」


いや、本当は美味しい物食べる前から作戦は戻ってたんだけどね。

そんなことは、どうでもいいや!

よし、お菓子コンテストの結果発表に行こう!

いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。


ロメリア王国城下町の地図は要らなかったのかもですが、

難攻不落さ加減を無理やり表現したく。

絵の質は勝負してません!

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