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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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3-40.飛竜を訪ねて(2)

滝を見ながら山登り。

森林限界なのか、ちょっと寒いね。

「ステラ、ユッカちゃん寒くない?」

「大丈夫ですわ。見掛けは変わりませんが、断熱コーティングも掛けてますから。」

「寒いから<身体強化>で表面を活性化させてるよ!」


「みんな、工夫してるんだね。私はどんどん表面から熱が逃げて寒いよ。もう、森の中を抜けて、灌木しか生えてないから、風もきつくなってきたしね。」

「ヒカリさん、低体温症になるかもしれませんわ。断熱コーティングしますね。」

「そっか。早く言えばよかったね。ステラお願い。」


うわ・・・。

ナニコレ、すごい温かい。

ヒートテックやダウン、毛皮の類が水分を利用して発熱するのに対して、

これは熱が逃げないから、体温の発熱がそのまま籠る。

これって、このまま冷蔵庫の断熱材に使えるんじゃないかい?

あ、結界とかとちがって、術師がいなきゃいけないのかな・・・。


「ステラ、これ、すごい温かい。熱くなってきたらどうするの?」

「ああ、そうですわね。私は適当に断熱を解除したり、緩めたりするのですけど、汗ばむようでしたら、少し断熱度合いを少なくしますので言ってください。」

「わかった。よろしくね。」


さてさて・・・

暗くなってきたし、岩陰見つけて晩御飯と睡眠とりたいね。髪の毛を光らせれば足元は照らせるけど、全体のルート把握とか判りにくいからね。


「そろそろ、夕ご飯とか寝る場所を探そう。ユッカちゃんのカバンがあるから食料とか水は気にしなくていいのがいいね。」

「ゴードンさんにいろいろ作って貰ったよ!」

「ユッカちゃん、流石ですわ」


この入れた時間で状態が停止して、カバンに入れた向き情報を固定できるカバンはいいね。スープだろうが、パスタだろうが、カバンにいれた方向を覚えていれば、それがそのまま取り出せる。温かいままだから電子レンジ不要だし、コッヘルでお湯を沸かしてからカップラーメン作るとかしなくてもいい。こんな楽な山登りは日本でも経験したことが無いよ。パンとスープ、お肉の薄切り、そしてユッカちゃんは追加でデザートを食べた。


ステラのコーティングが素敵だから、岩陰で直に寝ても寒くないね。

ゴツゴツして寝心地が悪い分は体重を軽くして凌ぐことにした。風で飛ばされない程度に紐をお腹に結わいて、逆端を岩に結んでおけばOKだ。

よし、今日は良く寝て、明日また元気になって出発だ!


ーーーー


夜明け、とても寒かった。ステラを起こすのは悪い気がしたから体が強張るのを我慢して、皆が起きるまで震えて待とうかな。

朝日が昇る前の寒さは堪えるけど、夜明けの薄暗い状態から紫色になって茜色に変化するのはいいね。あ、これが<春はあけぼの>ってやつか。

日本は湿度が高いのもあって、雲の上の高度まで登っちゃえば晴れててご来光を拝めるんだけど、それって雲海になっちゃって、この幻想的な状態と出会い難いんだよね。飛行機に乗りながら夜明けに遭遇するのと似た感じでさ。


う~ん。いいね。

温かいコーヒーでも沸かしたいね。

ユッカちゃんのカバンからクッキーでもだそうかな?

ゴソゴソゴソ・・・。


「うん?おねえちゃん、起きた?もう出かける?」

「ううん。もうちょっと明るくなってからでいいよ。目が覚めちゃってね。ちょっと何か食べようかなって。」

「ヒカリさん、おはようございます。今日は一番最初に起きたんですか。ひょっとして寒くて目が覚めたとかありませんでしたか?」


「うん。大丈夫だよ。<ニホン>にいた頃をちょっと思い出してた。父がたまに山登りに連れて行ってくれたんだ。私は父の背中を見ながら歩くだけだったけど、それでも私にとっては大変な冒険だったんだよね。」

「ヒカリさんにいろいろな物を授けてくれたんですね。素敵なお父様ですわ。」

「うん。そうかも。20年も一緒にいられなかったけどさ、一緒に過ごして得られた知識や経験、物事の本質を捉える考え方とか、今とっても役に立ってるよ。」


「お母様もそうだったんですか?」

「母は専業主婦で子育て熱心だったね。女の子は学歴より、教養、家事のさしすせそは絶対とか、割と古い考え方の持ち主だったよ。ただ、父も母もお金についてはとやかく言わずに好き勝手に色々なことに挑戦させてくれる人たちだったね。ここだとお妃様が良く似てるかも。」


「お妃様も王子を育てただけあって、素敵な方ですね。」

「うん。このあいだ、レイさんの所で話をしてたんだけど、あの人の人生もすさまじいね。貴族出身で政略結婚とかそういう話じゃないんだもん。」

「へぇ~。あの胆力と物事への洞察力は、のほほんと生きていたら身に着かないですよね~。」

「うん。お妃様が関所にいてくれるうちに、もっと私もいろいろ勉強したいよ。」

「上手く交流できるといいですね。」

「そだね。」


「じゃ、私のお父さんがお姉ちゃんで、私のお母さんがステラでいい?」

「ああ、ユッカちゃんごめんね。私で良ければ一緒に冒険したり、遊んだりしようね。」「ユッカちゃん、私も服飾や魔術なんか、多少は教えられると思いますわ。」

「おねえちゃん、ステラさんありがとう!」


うーーん。ユッカちゃんごめん!

私が変な思い出話とかしちゃったせいで。

こういうところが天然でデリカシーが無いんだろうね。

ああ・・・、ちょっと自己嫌悪。


「じゃ、ちょっとだけ朝ごはんを食べて、ゆっくり歩き始めようか。」

「「ハイ」」


歩き始めたときには、完全に空は白けていて、青みもさしてきていた。山裾の方には上昇気流にのって、霞みが雲になろうとしている。夜寝たところは既に八合目ぐらいまで来てたみたいで、1時間も歩くと周囲が見渡せてる頂上っぽいところに出た。眼下には火口湖みたいのが見えて。この頂上らしき部分も外輪山の一部っぽい。湖の周囲は2㎞ぐらいあるのかな。そんなに大きくないから時間も掛からず周れそうだ。


「おねえちゃん、湖だよ!飛竜はこっちの方にいるんだよね?」

「たぶん、そうなんだろうけど・・・。ステラ何かわかる?」

「妖精さん達の力も借りれないので、視力に頼るしかないですわ。魔術が封じられるって結構不便ですわね」

「おねえちゃん、あそこ!湖から何か飛び上がった!飛竜だよ!」


鳥とは全然ちがう大きさの影が飛行して、外輪山の向こうへ消えていった。

飛竜はなにしてたんだろう?水浴びでもするのかね?まいっか。


「ユッカちゃん良く気付いたね。あの向こう側へ降りて行ったから、私たちも行って見よう!」

「「ハイ」」



湖の外輪山の尾根を歩いて進むと、なんと数十頭はいると思われる飛竜の群れが!

これ、食料とかどうしてるんだろうね?って変なところが心配になっちゃうよ。

<念話>での会話が出来ないから、近くまで行って見るしかないね。

そもそも人間の言葉が通じるか判らないけどさ。


「お姉ちゃん、飛竜だよ! 早く挨拶しにいこう!」

「う、うん。いきなり攻撃はしてこないと思うけど、<念話>も出来ないし、こっちは魔法防御も限られているから気を付けようね。」

「ステラ、出来る範囲で構わないので、状態異常ガードとか防御系のガードを一通りコーティングしてもらえるかな?」

「はい。断熱コーティングなんかも耐久性重視でかけなおしします。温調がしにくくなりますが多少の不便は我慢してくださいな」

「うん、ありがとうね。」


群れの手前側に、こちらを睨む二頭の飛竜が居た。

まずは、ここの二頭とのコミュニケーションを試みよう。


「あの、すみません。飛竜の族長に会いに来ました」


人間の音声言語で語り掛けてみる。

なんか、飛竜がギャーギャー喚いてるだけで良く判らない。

主神のオマケには人間達の文化や言語はあっても、動物との会話は含まれてなかったみたいだね。

しゃぁない。直接触って<念話>を通してみよう。

ずかずかと近寄って、足の部分に触ってみる。

そして<念話>で語りかける


<<すみません。<念話>は通じるでしょうか>>

<<何しに来た。飛竜隊はどうした。>>


<<飛竜隊とは、別の国からやってきました。>>

<<人間がおいそれと、ここまで来れないだろう。それにこの場所はロメリア王国の国民以外には知らないはずだが。>>

<<飛竜の住処については、ロメリアの飛竜隊の人たちから聞きました。こちらの訪問に際しては、途中から魔術が封じられていたので、私たち人間にとっては、とても大変な道のりでした。>>


<<ロメリアの飛竜隊が他国の人間に情報を漏らしただと?>>

<<あ、いえ。本人たちは酒場の雑談として話をしていた様ですが、たまたま漏れ聞こえる声を聞いただけです。>>


<<ふんっ。これだから人間は信用がならん。>>

<<それで、その、族長に会いに来たのですが、どちらに・・・。>>


<<族長に何の用だ?>>


「ええと、ステラ、飛竜の族長に会ってなにするんだっけ?」

「<協力の証>を貰ってくるように言われました。」


<<<協力の証>を貰いたいのです>>

<<何故それを知っている>>


<<飛竜隊の一頭と会話をして、助けを求めたところ、そのように言われました。>>

<<嘘をつけ!<魔術封じの兜>が頭に嵌められていて、会話なんか出来ないはずだ!>>


「ステラ、兜を外して、会話できたんだよね?」

「それなりに苦労しましたが、成功しました。」


<<種々苦労の結果、<兜>を外して、<念話>での会話に成功しました。>>

<<<兜>そのものより、<針>が問題なのだ。死ぬまで抜くことは出来ぬ!>>

<<その<針>も除去しました>>


<<ほう・・・。

そこまで堂々と嘘を吐けるなら、飛竜族の前で晒し者にしてやろう。

一緒についてこい!>>


「ステラ、ユッカちゃん、どうやら私たち兜の針を除去できたのを信用されてないよ。でも、ついてこいって。」

「おねえちゃん、いってみよう!」

「ヒカリさん、兜が無くて、針だけでしたら私とユッカちゃんでもできますわ。」

「じゃ、いってみよっか。」


なんで、こう信用が無いかね。

あと、<妖精の加護>も効果がないのかね。

実際にやって見せて信用してもらうしかないね。


いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

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