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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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3-09.ゴードン無双

私、死んじゃったね。

どうする?


・・・。

なんてね。

ここでニーニャが<誕生会の護身用>に作ってくれた小道具が役に立つとは思わなかったね。地下迷宮の段階でフウマにナイフを預けていたのも助かったかもしれない。

面倒だから、このまま寝てよう。

迷宮クリアした後の徹夜で疲れてるしね。


・・・。

え?みんな寝てるの?

ここはさ、驚くシーンだよね。

で、『ヒカリさん大丈夫ですか?』とか、聞くシーン。

お~い~!

この面倒なの私に押し付けるの?

てか、読まれてるのか・・・。


もう、いい。我慢比べ。

きっとみんなも疲れてるし、面倒だよね。

寝よう寝よう。

きっと、ゴードンが起こしてくれる。


「みんな、起きなさい。悪い魔法使いは退治した。安心して目覚めるのよ!」


シーン・・・。

みんな死んだ振りか寝た振りか、本当に寝てる。

まさか、起きてるの私だけ?


<<おきなさ~~い!!>>


うわ~~~。

大ボリューム念話ってあるんだね。

頭の中がグワングワンしてる。

みんな返事しないね。

私は死んだ振りだもんね。

我慢我慢。


「お父様・・・。妖精のみんな・・・。ねぇ・・・。返事して・・・。」


いいよ!

これは心にグッと来るね。

ついつい声を掛けたくなるじゃない。

いい演出だ。

私ならコロッと引っ掛かる。

って、まさかね?

みんな読み切ってる?

か、私の考え漏れてて読まれてる?


<<<思考漏れ防御・念話停止>>>


『ぐふっ』


あ、どっかで咳き込んでる。

やっぱ、私の思考漏れてたか・・・。


「今、咳をした人は誰?返事しなさい!私をたばかることなんて出来ないわよ!」

って、ちょっと。

貴方が先に人を殺したり、芝居打ってまで歓心を買おうとしたわけでしょ。

こんな事態だ。咳をした人に責任とってもらおう。


『ぐぅ・・・。』

「寝てるの?どこなの?」


ウロウロ歩いて探し回るんだけど、食堂では部屋が狭いんだろうね。音が反響したりして、誰が寝てるのか判らないみたい。当然近づかれた瞬間に<隠密行動>で反応を殺してるんだろうけどさ。


「おはようございます。モリスさん、朝食はどの様に準備しま・・・。あれ。」


「貴方誰?」

「料理長のゴードンです。」


「ここにあるお菓子は貴方が作ったのかしら?」

「はい。」


「私に作ってきなさい。」

「ヒカリさんの許可が必要です。」


「死んだわ。」

「え?」


「そこに血を流して倒れているでしょ。悪い魔女はもういないわ。貴方も好きな料理を自由に作っていいの。手始めに私に昨日のお菓子を作ってきなさい。」

「・・・。」


「何かしら?」

「・・・。」


「言いたいことがあればいいなさい。」


「ヒントをください。」

「何が!」


「この状態を私が理解できるように、ヒントをください。」

「私は光の妖精<ライト>。封印のペンダントから解放され、大理石の体を得たわ。ナイトメア本人以外があの封印を解けるはずがないし、ヒカリの仲間を調べたら、妖精たちや有名なドワーフ族、エルフ族の族長にまで奴隷の印がついてるじゃない。だから私が殺したわ。」


「とすると、私も殺されるので?」

「殺さないわ。」


「何故?」

「貴方がお菓子を作れるから。」


「作らないと?」

「作りたくなるまで、光の檻に閉じ込めてみようかしら。」


「では、それで結構です。」

「閉じ込めるのは今度にするので、朝食を作りなさい。」


「誰の分をでしょうか?」

「私のに決まってるでしょ?」


「この関所の客人でも、雇用者でも奴隷でもない人に無償で与える食料はございません。よって、食事の提供もできません。」

「私は客よ。召喚されたのだから。」


「封印を解いただけと伺いましたが?」

「ヒカリが悪いの。」


「ヒカリ殿が貴方を召喚して、召喚主が亡くなられたら、あなたは自由ですね。」

「そうよ。貴方も自由よ。」


「ヒカリ殿が亡くなられたなら、貴方は客人でも、召喚者でもないですね?」

「そうよ。」


「でしたら、先ほど述べた通り、貴方に食事の提供はできません。」

「何よ!何が不満なの?私はヒカリなんかより凄いんだから!言うことを聞きなさい!」

「でしたら、ご自分でお菓子をお作りください。あのお菓子は全てヒカリ殿の発案を元に材料を集め、調理したものになります。ヒカリ殿にできて、貴方に出来ないことはありませんよね?」

「・・・ないわ。」


「はい?」

「私には出来ないわ!」


「そうですか。私は生きている方の分の朝食を作りに戻ります。失礼します。」

「あの・・・、私の分は?」


「ありません。妖精は食事を摂らないでも生きていけると聞いております。」

「お願い。苦しかったの。心を癒したいの。外部からの栄養も少しは必要なの。」


「森があります。どうぞご自由に。それぐらいは次の領主も許してくださるでしょう。」「何が不満なの?」


「貴方は私から全てを奪った。なので貴方に差し上げるものは何もありません。」

「貴方には何もしてないわ。」


「ヒカリ殿を奪いました。」

「あれは悪い魔女よ!」


「貴方にとってはそうみえたのかもしれませんが、私にとっては違います。」

「どういうこと?」


「そこで寝ている方達に聞いてください。私は食事を作ってきます。」

「みんな寝てるの?ヒカリは悪い魔女なんでしょ?みんな困ってたんでしょ?私はそれを救ったのよ?」


「おはようございます。モリスと申します。ヒカリさんのお客様でしょうか?ごゆっくりくつろぎください。私は食事のオーダーと館の管理に参ります。」


「ライトさんや、おはようなのじゃ。ちょっと畑に水撒きにいくんじゃ。またのぅ。」

「あ、ウンディーネ、僕も手伝うよ。」


「ライトさん、おはようございます。関所で提供するハーブや革の手入れをしにいきますわ。失礼します。」

「ステラ、私も風車の手入れに行くんだぞ。途中まで一緒にいくぞ。」


「皆さん、おはようございます。あれ、誰もいませんね。ユッカちゃんが魔力切れかな?俺が寝室まで連れて行ってあげよう。」


お~い~!

私一人残すか?

まぁ、いいや。

このまま死んだ振り。


「なんで?なんでみんな私を無視するの?光の妖精が復活したのよ?シルフは私のことを忘れてしまったのかしら・・・。くすん、くすん・・・。」


ああ、もう。面倒だなぁ・・・。

あ、クロさんとゴードンだ。

この人たちに任せよう。そうしよう。


「ゴードン殿、朝早くからの朝食の提供は非常に助かる。他の人たちは、まだ居ないのか?」

「モリス殿より、クロ殿の食事を提供するように申し遣っております。他の方達は朝食前のひと仕事に向かわれたようですね。徹夜で作業されていたにもかかわらず、皆働き者です。」

「そうか。そこの子はユッカちゃんか?何故泣いている。一緒に食事をしよう。そして元気をだせ。」


「なんでお父様がいるの?これもヒカリの魔術なの!ヒカリは殺したはずなのに!」

「・・・。ライトか?なんでお前がここに居て、ユッカちゃんの姿をしている?」


「お父様・・・。私、悪い魔女を倒したの。」

「ほう。呪いが解けたのか?」


「ううん。魔女が呪いを解いたから殺したの。」

「お前じゃ意味がわからん。ヒカリ殿はどこだ?」


「そこで死んでるわ。」

「誰に殺された!!!!」


「私が退治したの。凄いでしょ?」


<バシーーーン!>


いきなり背丈2mに届きそうな大柄の黒い鎧を着た武者が、6歳くらいの120cmくらいの女の子を引っぱたいて、吹き飛ばしたのね。

大理石は壊れないのかね?

まぁ、そんなこと考えても無駄だよね。

石が曲がったり動いたりしないもんね。


「おい。ライト。何をしたって?」

「悪い魔女のヒカリを倒したって・・・。そこで倒れているでしょ?」


クロが私に近づいてくる。

で、胸に手を当てたり、息を確かめたり、目を開けたりしてる。

瞳孔の動きは確認できないんじゃないかと思うんだけど、なんか判別できる方法があるのかね。


「ヒカリ殿、娘の不始末申し訳ない。許してほしい。出来れば、起きて一緒に食事をしていただけないだろうか?」

「いいけど、私は簡単に殺されちゃうよ?」


「すまない。次から必ず守ります。」

「わかったよ。モリス!ご飯と替えの服頂戴!あと、みんなも呼んでね。」

「承知しました。」


「ほら!お父様!悪い魔女が復活しま(もごもご)」

「ライト、暫く黙れ。人の話を良く聞いておけ。」


いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

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