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お勉強の時間

食事中も王子の動作は実に優雅だった。隠しきれない高貴オーラがにじみ出ている。

緑のパスタに驚いたようなので、きっとあちらには麺というものがあまり無いのだろう。あと緑。

そんな謎の食べものを果敢にも口に入れる王子は勇気あると思う。俺は絶対に無理だわ。そんなモン作るなよって言う話しだけど。

どちらも手につけて驚いている。

うーん、ドキドキする。王子の口に合うものなんか解らないし気づいたらノリノリで作っちゃったけど。

『すごい、これはうまいな』

出た!王子のイケメンスマイル!何言ってるか解らないけど多分喜んでくれたんだねひゃっほう!喜びに満たされつつ自分も腹を満たす。

王子は優雅な動作で完食してくれた。あああ、爺はこの上なく幸せです。何で爺なのかは自分でも不明。


後片付けをして、言葉の壁をよじ登るべく話を再開。

妹の小さい時に使っていたひらがなの五十音表を探し出せたので目の前に広げる。

王子は興味深そうに五十音表をまじまじと見つめている。

えーっと、次はどうしよう。そうだ、あれだ、英語習う時ってアルファベットの読み方から習うよな。その後に単語だよな。よし、まずは読み方だ。

まずあ行を指差して読んでやる。

「あ、い、う、え、お」

さぁリピートアフターミー!と言う風にもう一度繰り返すと、一緒に発音していた。え、ちょ、早くない?一回しか聞いてないよね。ま、いっか気にしない。

それをか行た行な行……と繰り返す。

王子の発音はやっぱり外人さんイントネーションだけど、ほぼ間違いなく発音出来てる。母音が少ない民族ではないらしいので一安心というところかな。

「よし、王子、これは?」

と「あ」の文字を指差す。

「"あ"」

うん、早いね。じゃぁこれ、これ、といくつか指して発音させてみると、全て正解。覚えるのはっや!

シエラの名前と自分の名前を教えてあげると嬉しそうだった。アルファベットで名前を書けた時少なからず嬉しかったのを思い出すなぁ。

さて、ここですこし意地悪してページをめくる。

「さぁ王子、カタカナいくぜ」

とカタカナの表を指しながらもう一度五十音をなぞっていく。

王子は驚きながらもおいついてくる。

『文字は違うのに読み方は同じなのか』

と、なにやら呟いていた。

ランダムに指す方はわざとひらがなから掛け離れた姿のヤツを読ませたんだけど、少し間を開けただけで全問正解。なんだろうこの悔しさ。

いいんだ、言葉を知ったあとの漢字に苦しむがいいっ。

さて、次は何を教えるべきか。

えー、かつて国語や英語の授業で何を教わったかな。文字の読み方以外思いつかないヤバイ。

えー、次どうしよう。発音は怪しいけどどうにかなるだろうし……。あ!あれだ!単語と絵が書いてあるやつ!

先程五十音表と共に持ってきた絵本の束を探す。

と、不気味な本が出てきた。あー、しりとりになってるやつな。うん、何故か登場人物が鬼で、最後はやたらきしょい絵になるトラウマものの絵本な。幼児にトラウマを与えることで有名なTngw氏の絵本だ。紛れてたんだな。却下!!!!

というわけで可愛い絵の本を探り当てた。

「まぁ、いいよな、単語で」

まずは発音とものの名前を教えないとな。

厚紙の絵本を開くとぎしりと音がする。

犬なら犬の絵があり隣にひらがなとカタカナがある。それを見せながら単語を覚えて貰う。

その中でもやっぱり、テレビだとか飛行機だとか車というものに首を捻っていた。うん、おいおい教えてあげるから待っててね。

絵本一冊を読み終えると喉が渇いてきたのでお茶にしよう。

ちょっと待ってて、と言っても通じないけど一応断る。

「お茶いれるから待ってて」

我が家はね、茶道楽の父親のおかげで色々なお茶があるんです。

気分は紅茶をアイスでストレート。

アールグレイの茶番を用意し、カップ2杯分の水を鍋に入れて火にかける。

砂糖をほんの少しだけ用意して小さめなガラスのピッチャーに入れておく。

そんな作業をしてると王子が先程と同じくカウンターの向こうから見ていた。マリア様ならぬ王子様が見てる。

そんなことより茶漉を用意。

お湯が沸騰してきたので蓋を用意し、火を止める。

お湯に茶葉をほうり込み直ぐに蓋して10秒待つ。

そして10秒たったら茶漉を通して琺瑯のピッチャーへ。砂糖を溶かすように混ぜてから水を張った洗い桶に入れて荒熱をとる。

本当はカップで1つずつが良いんだけど、面倒だからね。家だからいいのさ。

その間にグラスを取り出して氷を入れる。

カラカラと良い音がする。

氷が入ったグラスに冷ましたお茶をいれる。キンキンに冷えたわけではなくてもちょっと冷たい程度なら今の季節でも大丈夫なはず。

お盆に乗せてリビングへ戻る。

また二人向かい合って座り、アイスティーを渡す。受け取る王子は冷たさに驚いたようだふひひ。さて、授業を再開。

王子に文字や名前、挨拶など教えてて思ったことがある。

教えたものの吸収がやたら早い。さっきの文字が良い例なんだけどそれだけじゃなくて、何を覚えるのも早い。実はとりあえず、とメモ用にルーズリーフとペンを渡している。やたらメモしているのは解る。でもメモ居るのってくらい覚えが早いし発音もまぁ悪くない。

なにこれ、俗に言う異世界チート?でもだったら言語翻訳チートつけば良かったのにねぇ。もっと楽に意思疎通が出来ただろうに。

まぁ王子本人は何だろう、楽しそうだから良いけどさ。そう、不思議と楽しそうなんだ。

普通ならもっとなんやらかんやらありそうなのに今とても静かなのでなにこれ夜に嵐でもくるのかって程に王子は落ち着いてる。

まぁ、とにもかくにも言語の壁は越えなきゃいかんよね。覚えてくれるならそれに越したことはないし。

と、しみじみしていると玄関の扉が開く音がした。

長い間放置したものの続きを書いていたので途中からテンションが下がってますね。

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