第9話 地上決戦、誰彼も
「お前、名は何と言う?」
ここで名乗らず逃げ出したいところだけど、達人相手にそれをしたら失礼になる。だから一応、名乗ることにする。
「足鷹陽介」
「そうか、陽介、なぜさっきは俺の邪魔をした」
女の子を殺そうとしたのを止めるのは普通じゃないのだろうか。まあ実際のところそんなことは考えていないが。俺はあの現場に理由がわからないが引き寄せられたのだ。まるでカルマと出会うべきだと天が俺を導いているように。
「別に理由なんてない、なんとなくだよ」
「娘に情が湧いたか? お人よしか?」
「それはない。俺はなんとなくあの女の子を助けたほうがいいと感じただけだ。正直、彼女の生死はどうでもいい」
まあ、自分の命含めて俺は人類すべての命と魂を大切にしているけど。
「そうか、どうでもいいか」
カルマが拳を構えた。まだ戦う意思があるようだ。俺は戦う意思はないけどただで逃げさせてくれる相手じゃなさそうだ。とりあえず今は今の時間を潰そう。なにせこの後に特に予定はない。暇だから戦うのもいい。あと、相手が強ければ学ぶこともできる。
「いくぞ?」
カルマはその場で拳を振り下ろした。俺は空間が揺らめくのを感じる。気のせいか身体を横にずらしたほうがいい気がしてそれを避けた。俺の足元がクレータかして陥没する。俺はなにが起こったのかわからなかった。
「お前、星に気に入られてるんだな」
その言葉の意味から考えると星にまつわる魔法みたいだ。俺はカルマの魔法の正体がわからないがこっちも星にまつわる魔法を知っている。
「じゃあ、こっちの番」
俺は足を一歩力強く踏み切る。
「おっと」
そう言い、カルマは俺の次砲にやられ空の彼方に吹っ飛んでいった。そのまま姿が見えなくなりカルマは宇宙の彼方に飛んでいった。その結果に俺は呆れた。
「あいつ、そうとう星に嫌われてるんだなあ」
「ふむ、仕方がないだろう」
風が吹き再び地上に顕現してそんなことを呟くカルマ。
「驚いたぞ、俺をこんな形で殺すとはな」
やっぱり一度死んでも復活するんだなあ。不死性を持つ相手ってホント面倒だ。これは長引きそうと思い俺は停戦を頼むことにした。
「なあ、ここは引き分けってことにして終わらないか? あの女の子のことも見逃してくれよ」
「そうだな。あの娘よりも面白いモノが見れたしな……よし、これは礼だ、受け入れよう」
意外とすんなり交渉成立したことに驚いた。俺は女の子が居た場所と少しずれた位置に座標を設定し、元の時代に戻った。打ち合わせた両手をおろし俺はカルマに尋ねる。
「あの子を狙う理由はなんだったんだ?」
「大したことではない。あの娘の体質に興味があった」
俺はまた疑問が増えた。




