第8話 天と点
俺とカルマと呼ばれている男が対峙して約三秒。俺と男は互いに達人同士の気配を察した。体感、隠す呪力量と溜まりに溜まった魔力。そして互いに体に隠し持つ武器たちの視線。それらが交差し互いに言葉はいらなかった。
バチッ!
俺とカルマの放った斬撃がぶつかり合い逸れたものが周りを破壊していく。俺はと言うと戦う意思がなかったが相手が攻撃してくるからには仕方がない。女の子のほうに被害が出ないよう精霊たちに警戒してもらった。
「お前は誰だ?」
「いやこっちこそ聞きたいよ」
いきなり女の子を殺そうとすることといい俺をすぐに攻撃対象にすることといい喧嘩早い。いや、男の身体を観察しオーラを感じて気づいた。この男は人間の姿をしているが根本的な存在としての在り方が概念に近い。恐らく祟りや天災の類が顕現した姿なのだろう。
「場所を移すか──」
俺は空間と時間を接続し両手を打ち合わせる。一瞬で縄文時代の高野に俺とカルマは存在した。
「ほう、時空を掌握しているのか」
いきなり転移されても落ち着きがあるカルマ。概念の顕現した姿というのも頷ける。彼らに時間の概念はあってないようなものだから。斬撃の応酬が続きつつもこれではきりがない。
「俺に戦う意思はない。とりあえず話し合わないか?」
「お前がその価値を示したらよい。手始めにこれだ」
意味の分からない宣言と共に俺の立っている地面が隆起して俺を串刺しにしようとしてくる。俺は土の精霊に頼んでそれを分解してもらうことで対処した。
「効かんか。ならばこれならどうだ」
カルマはその手に圧縮された炎を宿す。その炎のやばさに気付く。あの炎は自然界の炎ではなく浄化を目的とした高火力の魔法だ。俺は他人の為に作られた術式や魔法の怖さを知っている。だから俺もその炎に対して稲妻で対処することにする。
「口」
「来」
カルマの口と俺の来がぶつかる。コントロールを精霊に任せて俺は接近戦に持ち込んだ。炎と電がぶつかることを横目に流し、俺はカルマにビンタを放つ。それを右手で打ち払うカルマ。俺の腕を掴もうとしてきたので放電してそれを躱す。互いに格闘戦に切り替え互いの手を打ち払い続ける。俺の手がカルマを捉えようとするとカルマの熱が爆発し、カルマの手が俺を捉えようとすると俺の身体が放電する。
「その技術、魔法、どこで覚えた?」
カルマが突然聞いてきた。俺もカルマもまだ話す余裕はある。
「師匠を見ていたらいつの間にかできてた」
「そうか、独学か」
「まあ、半分は」
「ならばこれはどうだ」
カルマは身体に炎を纏って手刀を放ってくる俺は呪力を高め肉体の成長速度を底上げする魔法を唱える。俺の身体が茶色のオーラに染まり自然界に存在する植物たちが俺にエネルギーを分け与えてくれる。
「そうくるか──」
俺が炎を受けても無傷なのを見て初めてカルマが笑った。
「よい」
カルマは手を引いて立ち止った。




