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第4話 誰の為かはわからない


「先生、もう俺以外の部員のめぼしはついてるんですか」


俺は新しく部室になるであろう空き教室の掃除をしていた。箒と塵取りでごみを取り、雑巾をかける。俺は掃除が嫌いじゃない。綺麗になっていく教室を見て、ひとり満足げに立っていた。


「君に匹敵するほどの能力を持った人間となると当てがないんだよなこれが」


「それって全然大丈夫じゃないですよね」


部活を設立するには最低三人の部員と顧問が二人必要と書いてあったんだが。


「顧問は先生がやるとして、副顧問は誰がするんですか」


「ああ、それは校長先生が引き受けてくれたよ」


マジか。校長先生自らこの部をけん引するんかい。なんかこの部活に力を入れすぎじゃなかろうかこの先生は。


「それに、問題は実力よりも精神面のほうだな。君は戦闘中、冷静な理性を保つ自信はあるか?」


先生の質問はもっともだ。俺は実戦経験がまったくない。いや、師範相手に木刀で本気の試合をしたことは一応あるがあれは半分遊びだったしな。師範もこの時代に真剣はそぐわないと言っていた。


「多分大丈夫じゃないですかね」


「おいおいおい、たぶんじゃ困るぞ。君には頑張ってもらうつもりだからな」


「でも、部員が集まるまで部活は始まらないですよね」


「そこは校長先生が融通を利かせてくれた。部員君一人の今からスタートだ。他の部員はわたしのほうが後から勧誘しとく」


校長先生まで本気になってないだろうか。俺はまだ冒険者と言う命を懸けるバイトに現実感が追いついていない。本当に俺が魔物と戦うのだろうかと。今の時代にそんな俗物的な戦士なんてものが実在するのかと。疑問になるばかりだ。


「はいこれ、君の冒険者カードだ」


高木先生に一枚の銀のカードを渡された。表には俺の写真と住所などが書かれていた。あと所属場所とか責任者の名前とか。


「用意がいいですね、先生」


俺はジト目を送らざる得なかった。この先生、俺の外堀を埋めてきている。


「俺がこのバイトを断ったらどうするつもりだったんですか」


「そのときは別の説得する方法を考えるだけさ。君が冒険者になるのはわたしの決定事項だ」


「理不尽だ」


高木先生はわははと笑い転げている。まあ俺もお小遣いが稼げるのならそれでいいと納得することにした。バイトは普段禁止されているから、特例として許されている現状をラッキーと思うことにした。


「さて、あらかた散らかっていたこの教室も片付いたことだし。早速冒険者ギルドに行ってきたまえ」


「わかりました」


俺は掃除道具をロッカーに仕舞い、教室を後にする。冒険者ギルドの住所をスマホで確認すると自転車で20分ぐらいの場所に小さなギルドがあった。ここに行けば冒険者について詳しく教えてくれるだろう。


「なんか高木先生の思うつぼのような気がしてならないけど」


一人愚痴っても誰も賛同してくれない。俺は一人現実を受け入れることにして自転車を置いているところに向かった。自転車のロックを外し鞄を括り付け、自転車に乗る。そのまま冒険者ギルドに向かった。

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