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第2話 救いようがない世界


俺は担任の先生である女性教師、高木智子先生から呼び出しがあった。俺は呼び出しの理由に心当たりがなかったが、教師に呼ばれたら職員室に行くべきだろう。そう思い腰を上げて席を立つ。

友達がいないため俺は高校生活で自由行動ができる。これはぼっちの特権だな。グループで行動していると自由を制限されたり余計な出費がかさむことがある。自販機で飲み物をおごったりおごられたりとか。


「足鷹、この作文に関して聞きたいことがある」


「聞きたいこと?」


なんだろうか。心当たりがないが。もしかして半分以上作り話で書いていることがバレたのだろうか。だとしたらめんどくさいことになりそうだ。


「この夢と希望に溢れた作文は何だ。君はこんなキャラじゃないだろう」


やはりバレてた。


「ここだけの話だがな、君の中学の校長先生から君のことを頼まれてるんだよ」


「俺のことを?」


中学の頃の校長先生と俺の接点といえば俺がスケッチ大会で入賞したときに声を掛けられたぐらいだ。あのときの校長先生の顔と口調は優しかった。なぜかはわからないが校長先生に似顔絵を書くことを頼まれて校長室でスケッチしたことがあるのだ。


「校長先生は俺のことなんて言っていたんですか?」


「君はとても優しい生徒だと聞かされてる」


「はあ、俺のどこを見てそんなことを言ったんですかね。俺と校長先生との接点はスケッチ大会で少し話した程度ですけど」


だからなぜ校長先生が話題にあがったかわからない。あの一度の接点で気に入られるほど俺はコミュ力に長けていない。


「この作文は君のトラウマを突く形になってしまったのだろう。配慮が足りなかったことをまず謝らせてくれ」


「あれ、先生って俺の中学の頃の話を知ってるんですか?」


「先生同士の横の繋がりは広くてな、君が孤立しても頑張っていた姿は結構有名だぞ」


「嫌な有名のなりかたですね」


そんなことで有名になっても嬉しくないし困るのだが。先生たちは俺のことをどう思っているのだろう。俺を客観的に見ても不愛想で付き合いの悪い生徒だとしか思えないと思うが。


「ふ、他の生徒がお遊びに耽っていても君だけは違ったらしいからな」


「お遊び?」


「そ、青春と言うお遊びだよ。勉学に恋愛に友情、君はその狭い箱庭に縛られなかったからな」


「箱庭ですか……」


なんとなくわかる気がする。


「君は青春をどう思う。普通に充実した人生を送る彼らを」


俺は彼らをどう思うだろうか。まず思うのは俺は彼らと同じにはなれないと言うこと。そして粗利が合わないと言うこと。


「青春は大人になる前の罠としか思えませんね」


大人になったら青春の思い出など思い出に過ぎなくなるのだ。それなら他のことに時間を費やすほうがいい。趣味とか資格を取ったり、部活に本気で取り組むとか。


「みんな、いつも学内で起こる問題をすり替えて先延ばしにして、納得している生徒だけとは限らないのに空気が蔓延して誰かか妥協する世界。俺はそんなものには興味はないので」


俺の言葉を聞いて高木先生はふっと微笑んだ。

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