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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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最終話

ーー誓いを立てた小さな手は、今では立派な男の手となっていた。「けーじ!きょーや!」と慕っていた子供は今では「京兄、叶兄」と呼ぶように。


「京兄、今日手合わせ付き合ってくれる?」

「んー、そうだな。久々に身体動かさないと。デスク業務ばっかでなまっちまうからな。」

「!それじゃあ...痛っ!」

「おいおい、どこに目ェ付けてんだ、兄ちゃん?」


図体のデカい男がぶつかって来てイチャモンをつけてきた。見たところ、どっかのチンピラであろう。


「オレ達はなぁ、天下の"五十嵐組"の幹部なんだぜ?痛い目見たくなきゃ慰謝料、払ってもらおうか?」


...これは脅迫罪に恐喝罪。アウトだ。


「おかしいな...お前らみたいな三下、ウチの組で見た事ねぇぞ?」

「"ウチの組"だァ?兄ちゃん冗談言っちゃあいけねぇよ?...もしかして痛い目見たいドマゾちゃんかァ?」

「やっちまってください!兄貴!」


兄貴と呼ばれた男は俺に向かって拳を大きく振りかぶったりそしてその拳をそのまま振り下ろす。しかしその拳はまるで止まっているかのように遅く、受け止めるのは容易かった。オレがその拳を片手で受け止める流すと、チンピラ二人組は「そんなバカな!!」と言って目をまん丸くする。その隙をついて、オレは回し蹴りをお見舞いした。すると男はいとも簡単に吹っ飛んで行ったのであった。


「あ、兄貴ィ?!」

「ヒュー。流石"五十嵐組の番犬、田河 京司"!」


剛がわざとらしくオレの通り名と名前を言うと、男どもは「ま、まさかあの伝説の...?!」とガタガタと震え始めた。


「...で?"五十嵐組"の幹部がなんだって?」

「い、いえ!すすす、すみませーん!!」


そう言うと偽幹部は走り去って行った。


「おっと、"若頭補佐"って教えてやるの忘れてた。」

「...そこまで言わんでいいわ。」


オレは剛の頭をペシリと叩いた。身長はとっくのとうに追い越されている。...悔しい所だ。オレ達がそんな事をしていると、一台の黒いリムジンが停まった。そして中から叶弥が顔を出してきた。


「お前らいつまで待っても帰ってこないと思ったら...こんな所で何してやがる。」

「...いや、ちょっと地域貢献の為のゴミ掃除を...」

「そうそう!京兄はいい事しただけだよ!」

「まぁいい。京、もうじき会合の時間だ。早く車に乗れ。剛もだ。今後の勉強の為に見学してろ。」


叶弥がそう言うと、運転手がリムジンのドアを開け、中に入るよう促してきた。


「今日の会合もよろしくお願いしますよ、若頭殿?」

「お前も。頼りにしてるぜ?オレのワン公。」

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