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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode91

「つ、剛?でもね、新しいお父さんはお金持ちなのよ?」

「そんなの関係ない!お母さん変わった!前はお金がなくてもオレといれれば幸せだって言ってたのに!!」


剛は涙を流しながら涼香さんに詰め寄った。どうして、どうしてと言うばかりで他の言葉が出てこなくなった。そんな剛を見て涼香さんはショックを受けたようだ。


「涼香、今のお前は結婚のために剛を利用しようとしてるとしか思えない。そんなヤツの所に剛は渡せない。」

「!剛は私がお腹を痛めて産んだ子よ!私がどうしようと私の勝手だわ!」


...涼香さんの言葉にオレはプッツンしてしまった。剛を道具としか見ていない態度に。


「涼香さん。オレも貴方に剛を渡すのは反対です。剛は"家族"であって、再婚のための"道具"じゃない。」

「な、何よ!孤児のくせに私にいっちょまえに説教するつもり?!」

「いい加減にしないか!涼香!お前は勘当する!二度と五十嵐の敷居を跨ぐな!剛も絶対にお前なんかに渡さないぞ!!」

「そ、そんな...!!剛?貴方はお母さんと一緒にいたいわよね?ね?!」


...最早脅迫のようになっている。涼香さんの顔は恐ろしいものとなっていた。その顔を見た剛はオレの胸へと飛び込み涙を流した。


「怖い、怖いよぉ...けーじ、けーじはオレを捨てる?」

「捨てるわけがないだろう?剛はオレの家族だ。」

「京の言う通りだぞ、剛。この組にいる全員がお前の家族だ。」

「けーじ!きょーやぁ!!」


剛は泣きながらオレ達の名を呼びオレ達の元にいたいと訴えてきた。


「...どうやら剛の答えは出たようだな。言ってなかったが涼香。お前が剛を組に置き去りにした後、剛とオレは特別養子縁組をしている。だからお前の出る幕はハナからないんだよ。」

「そ、そんな...それじゃあ、私のセレブ生活が...」

「...結局、お前の目的はそこなんだな。」

「あ、いえ...それは...」


再会の時に涙していたのは嘘のようだった。所詮、涼香さんは"母親"ではなく"女"でいることを選び、そのために剛を利用しようとしていたというだけの話しだった。


「も、もういいわ!二度とこんな所になんて来ない!剛!貴方ももう私の息子じゃないわ!」


「お母さんなんて呼ばないで!」そう言うと、涼香さんは組から去っていった。残された剛のことを心配したが、剛はオレと叶弥の服をギュッと掴み、


「...けーじときょーやはずっと一緒?」


と問うてきたので、オレ達はその小さな手を取りながら、


「オレ達家族は、ずっと一緒だ。」

「離れる事は絶対にない。」


そう答え、誓い合ったのだった。

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