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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode82

太一先生はオレの手を握ったまま離してくれない。もうそろそろ学校に向かいたいと言うのに...。そう思っていると叶弥がオレを背後からギュッと抱きしめ太一先生を睨みつけた。


「オイ...いつまで京の手を握ってやがる?」

「叶弥さん...でしたっけ?一体なんの権利があって邪魔して来るんですか?」

「オレは京の恋人だ。口出す権利はあるに決まってるだろ?」

「な...な、なんだって?!京司さん!ウソですよね?ウソだと言ってください!」

「それは...」


太一先生のあまりの勢いに押され、オレは応える事が出来ずにいた。すると叶弥は無理やりオレと太一先生を引き離し、園長先生に「それじゃ!剛の事、よろしくお願いします!」と言ってオレの手を引き幼稚園を後にした。後ろからは「京司さぁーん!」と言う太一先生の情けない声が聞こえた気がした。


「ちょ、叶弥!痛いって!」

「あ、悪ぃ。...つい。」


叶弥はそう言うと握った手を離した。それがちょっと名残り惜しく感じたのはオレの心の中に秘めておくことにした。


「いいか、京。剛の送迎は絶対一人で行くなよ?いいな?」

「いや、絶対はムリだろう。」

「グッ...。じゃあ、せめてあの太一とかいう奴はと二人きりになるなよ?いいな?」


叶弥のあまりにも真剣な眼差しにオレは「分かった」と了承の返事をするしかなかった。


「しかし、まぁ、オレの京はなんでこうも男を惹きつけるのかねぇ...。」

「そ、そうは言ってもオレにはどうする事も出来ねぇよ...。」


「オレだって分かんねぇから困ってんだよ...」と言うと叶弥も「だよなぁ...」と同意した。まぁ、武術の心得もケンカの腕っ節もあるので余程の事が無い限り何かが起こる事は無いだろう。...まぁ、何度かピンチに陥った事はあるが。オレ達は「朝から疲れたなぁ」と言うと学校へ向かおうとした。が、その時だった。幼稚園のママさんらしき人達に囲まれてしまったのだ。


「さっきの見てたわよぉ?太一先生、またやったのねぇ。」

「「また?」」

「ほら、園長先生も言ってたでしょう?惚れやすいって。でもこれから大変ねぇ。」

「「?」」

「太一先生、惚れやすいけど、一度惚れると厄介って噂よ?」


「気をつけてね?」と言うと、ママさん達は去って行った。オレはゾクリとしながら叶弥と共に学校へと向かった。これは遅刻確定だ。

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