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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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81/92

episode81

「おはよーございまーす!」

「はい。おはようございます。今日も元気いっぱいですね。」

「はーい!」


幼稚園にたどり着くと、元気な挨拶が飛び交っていた。いよいよとなると、剛はカチンコチンに固まってしまった。


「剛。大丈夫だ。ホラ、行こう?」

「お、おう...。」

「ここ...オレの出身幼稚園じゃねぇか。」

「ハァ?!今更?!なんで気が付かなかったんだよ!」

「いやぁ...アハハ。」


オレ達がそんなやり取りをしていると、高校生が幼稚園にいるのが物珍しいのか、ママさん達の注目を集めていた。


「おや?...もしかして叶弥君じゃありませんか?」

「ア?そーッスけど。...もしかして"タケちゃん先生"?」

「そうそう!そうですよ!いやぁ...大きくなりましたねぇ!」

「タケちゃん先生こそ、今もここに?もういい歳だろ?」

「今は園長をしているんですよ。それに...あ、いたいた。おーい、太一!」


まさか叶弥が通っていた頃からの先生がまだいるとは。しかも今では園長先生。これなら剛を安心して任せられる。そう考えていると、"太一"と呼ばれた男が駆け寄って来た。


「これは私の息子の太一です。今はこの幼稚園で共に働いています。ホラ、太一。挨拶を。...太一?」


太一と呼ばれた先生は何故かオレをみて固まっている。オレは思わず「あの...」と声をかけると、彼は俺の空いている方の手を握って頬を赤くしながら、


「ご、後藤 太一です!貴方のお名前は?!」

「え...あ、田河 京司です。」

「京司さん!あの、一目惚れしました!まずはお友達からどうでしょうか?!」


そう迫ってきたのだった。オレと叶弥、園長先生は「「ハァ?!」」と声を上げた。そして園長先生は太一...先生の頭をポカリと叩いた。


「痛ェ!何するんだよオヤ...園長先生!」

「太一先生が突拍子も無いことを言い出すからでしょう!すみません、えっと...」

「京司でいいです。」

「ありがとうございます、京司君。すみません、太一先生は昔から惚れっぽくて...。あ、もしかして今日から入園する...?」

「はい。ホラ剛。挨拶して。」

「い、五十嵐 剛です。おはよーございます。」


園長先生は太一先生の事を一旦置いておく事にしたのか、話題を剛にふってきた。剛は恥ずかしそうにオレの影に隠れながら挨拶をした。すると、太一先生がしゃがみこみ、剛に目線を合わせてきた。


「初めまして剛君。オレは後藤 太一。太一先生って呼んでね?」

「は、はい。たいち先生。」

「それでは剛君はお預かりしますね。叶弥君。久々に会えて良かったです。これからよろしくお願いしますね。」

「ウッス。」

「君達もこれから学校でしょう。気をつけて行ってらっしゃい。」

「ありがとうございます。剛の事、よろしくお願いします。」


そう言うと太一先生は再度オレの手を握ってきて、


「お任せ下さい!剛君はオレが責任を持ってお預かりします!」


そう言って熱い眼差しを向けてきたのだった。

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