episode81
「おはよーございまーす!」
「はい。おはようございます。今日も元気いっぱいですね。」
「はーい!」
幼稚園にたどり着くと、元気な挨拶が飛び交っていた。いよいよとなると、剛はカチンコチンに固まってしまった。
「剛。大丈夫だ。ホラ、行こう?」
「お、おう...。」
「ここ...オレの出身幼稚園じゃねぇか。」
「ハァ?!今更?!なんで気が付かなかったんだよ!」
「いやぁ...アハハ。」
オレ達がそんなやり取りをしていると、高校生が幼稚園にいるのが物珍しいのか、ママさん達の注目を集めていた。
「おや?...もしかして叶弥君じゃありませんか?」
「ア?そーッスけど。...もしかして"タケちゃん先生"?」
「そうそう!そうですよ!いやぁ...大きくなりましたねぇ!」
「タケちゃん先生こそ、今もここに?もういい歳だろ?」
「今は園長をしているんですよ。それに...あ、いたいた。おーい、太一!」
まさか叶弥が通っていた頃からの先生がまだいるとは。しかも今では園長先生。これなら剛を安心して任せられる。そう考えていると、"太一"と呼ばれた男が駆け寄って来た。
「これは私の息子の太一です。今はこの幼稚園で共に働いています。ホラ、太一。挨拶を。...太一?」
太一と呼ばれた先生は何故かオレをみて固まっている。オレは思わず「あの...」と声をかけると、彼は俺の空いている方の手を握って頬を赤くしながら、
「ご、後藤 太一です!貴方のお名前は?!」
「え...あ、田河 京司です。」
「京司さん!あの、一目惚れしました!まずはお友達からどうでしょうか?!」
そう迫ってきたのだった。オレと叶弥、園長先生は「「ハァ?!」」と声を上げた。そして園長先生は太一...先生の頭をポカリと叩いた。
「痛ェ!何するんだよオヤ...園長先生!」
「太一先生が突拍子も無いことを言い出すからでしょう!すみません、えっと...」
「京司でいいです。」
「ありがとうございます、京司君。すみません、太一先生は昔から惚れっぽくて...。あ、もしかして今日から入園する...?」
「はい。ホラ剛。挨拶して。」
「い、五十嵐 剛です。おはよーございます。」
園長先生は太一先生の事を一旦置いておく事にしたのか、話題を剛にふってきた。剛は恥ずかしそうにオレの影に隠れながら挨拶をした。すると、太一先生がしゃがみこみ、剛に目線を合わせてきた。
「初めまして剛君。オレは後藤 太一。太一先生って呼んでね?」
「は、はい。たいち先生。」
「それでは剛君はお預かりしますね。叶弥君。久々に会えて良かったです。これからよろしくお願いしますね。」
「ウッス。」
「君達もこれから学校でしょう。気をつけて行ってらっしゃい。」
「ありがとうございます。剛の事、よろしくお願いします。」
そう言うと太一先生は再度オレの手を握ってきて、
「お任せ下さい!剛君はオレが責任を持ってお預かりします!」
そう言って熱い眼差しを向けてきたのだった。




