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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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79/92

episode79

オレ達は帰り道、しばらく無言で歩いていた。その無言にお互い耐えきれなくなって、同時に「「あのさ」」と声を上げた。それがおかしくって、オレ達は顔を見合せながら笑った。


「お先にどうぞ?」

「いや、京からいけよ。仕方ないから譲ってやるよ。」

「なんだそれ。それじゃあ遠慮なく。...里倉さ、どうやら母さんに対して姉弟以上の感情を抱いていたらしくってさ。」

「...それって恋愛的な意味で?」

「そ。だから母さんに似ているオレを自分の物だって。...オレってそんなに母さんに似てるのかな?」


オレはそう言うと自分の顔に手を当てた。叶弥はふっと笑うと、オレの頬にかかった髪を耳にかけ、「オレは写真でしか見てないが」と言葉を発した。


「纏ってる雰囲気が特に似てるな。あと、顔は完全に母親似。」


「親父さんの面影どこだよ。」と笑いながら言った。


「それにしてもお前相手に手ぶらで挑むとか考え無しにも程があるな。」

「赤子の手をひねる程も無かったわ。」

「ハハッ。でもみぞおちに蹴りを入れた時はやり過ぎないか心配になったぞ?」

「オレは叶弥に危害が加えられないよう番犬としての仕事をしたまで。それに叶弥の手を汚すことなんてさせるつもりはないからな?」


オレの言葉に叶弥は「流石オレの可愛いわんちゃん」だな?と頭を撫でてきた。


「おい、"わんちゃん"はやめろ。"番犬"に訂正しろ。」

「どっちも変わんねぇよ。」

「変わる!威厳さが全然違う!...それはそうと、お前は何を言いかけたんだ?」

「京の話しとさほど変わりねぇよ。あのお邪魔虫がいなくなったことで、これで晴れて"五十嵐組の人間"になってくれたんだなぁって思ってさ。」


「喜ばしい限りだ。」と叶弥はそう言うと先程まで優しく撫で優しく撫でていた手を思い切りわしゃわしゃと動かしてきた。


「ちょ、痛ェ!やめろよ叶弥!」


口では拒否していたが、どうもオレは叶弥に頭を撫でられるのが嫌ではないらしい。甘んじてその手を受け入れていた。


「さて、と。今日の夕メシは何かなぁ?」

「今日は剛のリクエストでハンバーグ。」

「...剛のリクエストばっかり聞きすぎじゃね?」

「昨日はお前のリクエストだったろ?交互に聞いているつもり。」


「気づいてなかったか?」と問うと、「オレはガキと同じ扱いか...」と叶弥は肩を落とした。

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